がんと向き合っている人への誹謗中傷
私のフェイスブックのお友達で厳しいがんと闘っていらっしゃる方があります。抗がん剤でしんどい所ですが、でも、とても意欲をもって闘病していらっしゃいます。
その方のフェイブックに、代替医療をしている医師から、ひどい、誹謗中傷としか思えないような書き込みがされています。抗がん剤は殺すだけだと。
闘っている最中の方にひどいと思います。科学的データ、いわゆるエビデンスが示されるならまだしも、思い込みだけとしか思えないような代替医療。もっとも、効くと思ったらうどんこでも聞くと言われるような病の世界ですが、全く無駄とは言えないかもしれません。
前にも書きましたが、がんと闘っている方の食事をあれはいけない、これはいけないという人がいました。私は、食べられるもの、食べたいものを大いに食べたらいいと思っています。少しでも採れる時にカロリーをとること、エネルギーを入れて体力をつけること。せっかくおいしく食べている人に、これはいけないと強く言ってのけた人がいました。
ごはんや砂糖はがんの餌だとか、それこそエビデンスもないままに。
もう、ずっと前、私の夫は31歳で胃がんになりました。それは大きながんで、胃は全摘、肝臓の一部と脾臓もとりました。リンパ腺にも広がっていました。
2歳と3歳の子どもを抱えて、まだがんを告知してはいけないとされている時に、夫本人に話すこともできず、相談相手のいない私が一番つらかったのは、夫に生きてほしいと願うこと。かなわぬことだと思いながら、切なくて。
それと同時に、様々な医療以外のものをいろいろな人に勧められたことです。お茶だとか、ワクチンとか、宗教に至るまで。私は医師ですから、信頼して治療をお願いしている先生方に迷惑をかけることまで。それらを私の所でブロックし、医療をきちんと受けてもらうようにすることに、ものすごいエネルギーが必要でした。
様々な雑音。がんに罹ったと知った人たちから、それこそ群がるようにいろいろと言ってきます。
標準医療は、世界中の医師や研究者たちが確かなデータを持ち寄って、日々作っています。がんの専門医は、それ等を使いながら、一人ひとりと向き合いながら、治療をして下さいます。
ちなみに、夫は胃が全くないままにもう40年。生き続けています。夫のしたいことをしてもらう。それは、記者という厳しい仕事でもありましたが。食べられるもの、好きにものを食べてもらう。まず朝には、たっぷりの砂糖とミルクを入れたコーヒーを飲むことから始まります。低血糖で苦しんだ挙句の対策です。以来、砂糖でカロリーを採ることを40年続けています。ですから、砂糖ががんの餌と言われると苦笑します。
あれだけ喜んで食べていた人の食卓の写真が、それは食べてはだめだと、強く言った人の影響でしょうか。みるみる変わって行ったのを悲しく見ていました。好きなものを思いっきり食べさせてあげたかったなあと。
自分が気持ちよく、長く生きるために頑張っている人にあれこれ中傷しないでほしい。
乱暴な言い方かもしれませんが、闘っている、頑張ってっている人に、激励ならまだしも、自分の代替医療の宣伝かのような誹謗中傷、本当にやめてほしいと憤りました。
一昨日、芸州で食べた牡蠣の土手鍋です。牡蠣がもうおいしくなりました。
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