« 性暴力について3. | トップページ | 漆芸教室「一漆会展」 »

性暴力について4.

昨日、クリニックの前の路上で、一人の女性に呼び止められました。挨拶をされてももすぐにはどなたなのか分かりませんでしたが、話していて、アッと気づきました。中学生の少女の母親でした。もう、一年になりますと。後で改めてカルテを出してみました。小学生の時から何度も母親の再婚相手、義理の父親にレイプされ続けていました。警察にも相談に行きました。でも、事件とはされていません。13歳未満の少女に対しては、合意の有り無しにかかわらず、強姦とされているのですが。私も診断書を書いて警察に提出しています。でも、男に対しては、罪に問われることはされていません。

性暴力の被害に遭って、その加害者を罪に問うことにはとても多くの高いハードルがあります。明らかな犯罪でも、例えば強盗に遭った、窃盗に遭ったなどという時には、まずほとんどの人がためらうことなく警察に通報します。警察も、それなりに対応してくれます。

まず、それが難しい。通報することにまずためらいがあります。というか、どこにどうしたらいいのか分からないといえるでしょう。今回の詩織さんの件でも、やっと警察に話しをしても、はなかちゃんと取り合ってくれませんでした。彼女の粘り強い訴えでこれまたやっと警察が動き、事件として捜査をしてくれました。

タクシーの中で何度も駅に下ろしてくださいと訴えたというタクシーの運転手さんの証言もとれました。意識のない彼女を引きずるようにしてホテルに入って行く防犯カメラのフィルムも押さえたと。ホテルの掃除の人からのツインのベットの片方しか使っていなかった、嘔吐した痕跡はなかったとの証言も取れました。そして、何より彼女の下着から山口氏のDNAが検出された、これらより警察は、逮捕状を取りました。それに当たっては、何度も本庁とも相談したし、検察とも相談したということなのですが。

2 でも、その逮捕状が執行されることはありませんでした。逮捕直前に警視庁本部・中村格刑事部長の指示により逮捕が取りやめになり、それまで捜査をしていた警察官は、その捜査から外されました。中村格氏は以前、菅義偉官房長官時代の秘書官でした。

その後、さらなる捜査もなく、あとを引き継いだ警察官から彼女は示談をするように強く勧められ、警察の車で、弁護士の所に連れていかれています。その弁護士に示談するよう話をされる時に、ずっと警察官は同席し、話を聞いていたと。

そして、形だけ送検し、検察庁は不起訴としました。詩織さんの検察審査会への申し立てにも再度彼女から話を聞くこともなく、不起訴相当との決定が出ました。これにより、この件は、裁判にかけられることもなく、刑事事件としては終了し、彼は罪に問われることはなくなりました。

要するに、罪に問われるためには、警察、検察という高ーいハードルを越えなければなりません。私は、裁判の場で、罪があるか否かを判断すべきだと思うのですが、その前に、警察や検察の段階で判断されてしまうこと、ここに大きな問題があると思います。

三権分立、司法が独立していると言っても、その前の段階で、権力者の手が及ぶ所で、判断や処理をされてしまうということ。

それなら、警察や検察が、この性犯罪についての確かな勉強、研修をしてほしいものです。被害者の心情も含めて、性被害に遭うということは、心が殺されるに等しいということを含めて。合意のない性はレイプなのだと、これが西欧では常識となっているにも関わらず、日本では、どれだけ抵抗したかがレイプの条件になるという、女性の人権が守られないままでいます。

これまで私自身も何度愕然したことでしょう。

このシリーズの1にも書きました。中学生の少女に対するレイプは、「バスタオルをかけていて、見えなかったから、何を入れたかわからない」とは検事が言ったことなのですね。

ある中学生は、早朝にホテルから逃げ出して、警察に飛び込んだと。家に帰るお金も持っていませんでした。そこで警察官は、何があったかを尋ねることなく、「こんな遅くまで夜遊びをせず、早く家へ帰れ」と追い払われたと。たまたま通りかかった大人の人に家まで連れて帰ってもらったと。家で母親に話し、母親が私のクリニックに連れてきて、私から県警に通報し、県警本部から証拠採取にき来てもらいました。

ある高校生は、四人の男に集団でレイプされ、妊娠、人工中絶まで受けました。警察は頑張って四人の男を逮捕しましたが、結局男たちは不起訴になりました。飛び蹴りをされ、倒れた所に襲いかかられてのレイプです。でも、これは彼女の合意であったと検察は判断したと。四人にレイプされることを合意するなんて。それも、検察は調べの時に、彼女に対して「あまりつらそうな顔をしていませんね」と言ったと。検察官の意識がとても貧しいままだと思います。

裁判の場での裁判官の判断の前に、そうして行政が判断してしまうということ。これが現実なのですね。このシリーズ、まだ続きます。

今日は、午前中は性被害の電話当番。午後は性教協の仲間たちと会議です。


『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。

広島ブログに参加しています。このバナーをクリックすると、
私のポイントになります。ご協力よろしくお願いします。
広島ブログ

|

« 性暴力について3. | トップページ | 漆芸教室「一漆会展」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/205567/66033156

この記事へのトラックバック一覧です: 性暴力について4.:

« 性暴力について3. | トップページ | 漆芸教室「一漆会展」 »