« 子宮頸がんワクチンについて | トップページ | 福井県武生で中学生に話しました。1. »

子宮頸がんワクチンについて・続

おはようございます。京都です。

午前8時、京都駅の近くのホテルの部屋からの写真です。停まっているたくさんの車には「京都市上下水道局」と書いてありますので、建物は水道局でしょうか。8時でも、もうたくさんの人が電気を点けて働いているのが見えます。京都の公務員さん、朝早くからすごいなあと思います。


3


今日は、福井の中学3年生に話しに行きます。来月も福井に、また再来月は京都教育大学生に話に行きますので、このホテルに泊まります。駅から近いし、じゃらんでお安いし、ポイントもつくし、私にとっては、ここが一番のホテルです。

さて、子宮頸がんのお話です。WHOだけでなく、多くの世界的な団体から、日本に対して早く積極的勧奨を再開せよと勧告していますし、日本産科婦人科学会、小児科学会なども早く再開せよという声明を発表しています。

ちょうど昨日、日本産婦人科医会がWHOの安全性の評価の発表を受けての声明を発表しましたので、それをそのまま添付しますね。


平成 29 年 10 月 10 日
各 位

HPVワクチンの安全性に関する最新情報 WHO ワクチン安全性諮問委員会(GACVS)における安全性の再評価

公 益 社 団 法 人 日 本 産 婦 人 科 医 会  会 長     木 下 勝 之   がん部会担当常務理事 鈴 木 光 明

[はじめに]

我が国で積極的な接種勧奨が一時中止になったままであるHPVワクチンは、その安全 性に関して、国際的に、科学的医学的に安全であることが証明されている。今日では、政治 的問題になって久しい我が国の現状に対して、本年6月7‐8日に開催されたWHOワク チン安全性諮問委員会(GACVS)において、改めてHPVワクチンの安全性が評価された。
そこで、最新の会議録*よりその要旨をまとめたので、HPVワクチンの医学的事実によ る安全性を再度確認していただきたい。


[我が国のHPVワクチン勧奨中止から今日まで]

HPVワクチンは本邦では 2013 年4月から定期接種として導入され、12 歳から 16 歳(小 学校6年~高校1年相当)の女子が公費助成を受けられるようになった。 その後、因果関係は不明だが、本ワクチン接種後に持続的な疼痛と運動障害などの有害事 象報告がメディアから繰り返し報道されたため、定期接種化されて僅か2か月後に厚生労 働省は、本ワクチンの積極的な接種勧奨の一時中止を決定した。

厚生労働省による副反応検討部会を中心に議論が重ねられ、「ワクチン接種後の多様な症 状は接種後局所疼痛が惹起した機能的身体症状とするのが適切」との結論に至っている。 しかし、現在(2017 年 10 月現在)もなお、積極的な接種勧奨中止の状態が続いている。 そのため公費助成対象である女性の 70%以上が接種していた本ワクチンの接種率は急落し、 現在は1%にも満たない低接種率となっている。


[WHOの動き]

一方、世界保健機関(WHO)は、現在までにHPVワクチンの安全性について注意深い 検証とモニタリングを続け、ワクチン接種とそれに伴う多様な症状もしくは慢性疼痛など の疾患との間には生物学的・疫学的なエビデンスが認められず、日本でのHPVワクチンの 勧奨中止を憂慮する旨の声明を重ねて発表している。 本年6月7‐8日に開催された WHO ワクチン安全性諮問委員会(GACVS)において、改め てHPVワクチンの安全性が評価された。

<GACVS 会議録 要旨**>

・HPV ワクチンは 2006 年に認可されて以来、現在までに2億7千万本以上が供給。
・アナフィラキシーのリスクは 100 万回接種あたり約 1.7 人。
・ギラン・バレー症候群(GBS)の発症リスクは 100 万回接種あたり 1 人以下。 (最新の英国 1040 万回接種の大規模研究、米国 270 万接種データより)
・複合性局所疼痛症候群(CRPS)、体位性頻脈症候群(POTS)、早発卵巣不全・原発性卵 巣機能不全、静脈血栓塞栓症などとの因果関係は否定。 (米国、デンマークの大規模調査より)
・妊娠・分娩への影響、また胎児奇形への影響もみられず。 (デンマーク:540,805 人、米国:92,000 人以上の妊婦対象調査より)
・CRPS、POTS あるいは疼痛、運動障害を含む多様な症状との因果関係を示す科学的根拠は ないと結論。 (日本における全国疫学調査:多様な症状は、女子だけではなく男子にもみられた。ワ クチン接種者だけではなく非接種者にもみられた。)
・ワクチン接種者、非接種者間での様々な転帰を比較した数百万人規模の安全性に関する 研究成績の蓄積。
・HPVワクチンが積極的に勧奨されていない日本における子宮頸がんによる死亡率増 加の見込み (1995 年-2005 年にかけて 3.4%増加、2005 年-2015 年にかけて 5.9%増加)
・問題となる新たな有害事象は認められず、今回の会議で示された新しいデータからも、 HPVワクチンの安全性を再確認。


[おわりに]

HPVワクチンの安全性に関して膨大なデータがあるにもかかわらず、まことしやかな 症例報告や根拠のない主張に社会の注目が集まっていることから、GACVS は「今なお続いて いる根拠のない主張の影響によってワクチン接種率が低迷するなど、真の害悪をもたらす ことを懸念している。」と繰り返し日本の現状に憂慮を示している。


*:World Health Organization: Meeting of the Global Advisory Committee on Vaccine Safety, 7–8 June 2017 Wkly Epidemiol Rec 2017; 92: 393-402. http://www.who.int/vaccine_safety/committee/reports/June_2017/en/ **:邦訳による要旨であり、内容に関しては英語原文が優先される。

ヨーロッパやオセアニアなど世界中ではどんどん接種しているし、その効果ももう見える形で出ています。今や子宮頸がんはアジアの病気、日本も含めたアジア人が罹り、アジア人が死んでいるといわれています。この病気を予防するワクチンができているのですから、早く接種の積極的勧奨を再開してほしいと、切に望みます。

『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。

広島ブログに参加しています。このバナーをクリックすると、
私のポイントになります。ご協力よろしくお願いします。
広島ブログ

|

« 子宮頸がんワクチンについて | トップページ | 福井県武生で中学生に話しました。1. »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 子宮頸がんワクチンについて・続:

« 子宮頸がんワクチンについて | トップページ | 福井県武生で中学生に話しました。1. »