性暴力の被害者について
河口先生の「性的マイノリティに対する社会意識」はまだ続きますが、今日は横道にそれます。
昨日の事。ある事件の被害者の診断書を書くために、警察の方と話していました。被害者は子どもです。
「でも、この子が殺されなくってよかった。こういう事件は、殺人にまで行くことが結構あるでしょう。この前のベトナムの少女も。この子が生きてて、本当によかったと思うのよ。」
そしたら、警察官が、言ったのです。
「この頃、子どもがついて行くんですねえ」と。私は怒りました。
「何を言ってるの。こういう事件を被害者の問題として捉えたらいけんでしょ。まだ子どもよ。いい年した大人が、こんな年の子をだまして連れて行くくらいちょろいものよ。被害者の問題じゃなくって、加害者の男の問題でしょうが。警察がそんなことを言ってどうするんね。男の問題として捉えてくれなければ。」
性暴力を被害者の問題として捉えるから、セカンドレイプになるのですよ。私たちは、「あなたが悪いのではない、加害者が悪いのだから。自分を責めないで」と必死で言い続けているのに。
「いや、そんなことは被害者には言いませんよ」と警察官は言いましたが、言う、言わんじゃなくて、そんな考え方が問題なんよ、と言いました。
「親御さんが、ちゃんと目を光らせておけばよかったと、後悔されています」と、さらに警察官は言いました。目を光らせるということではなく、基礎をきちんと教える、それは大切なことです。でも、それ以上に、男たちにも教えなければ。性と言うのは、一方的にするものではない、そこに信頼や尊敬やお互いの思いやりや、暖かな心の交流があってこそのものだと。
全くもう。
性被害の事件の法律が変わります。でも、法が変わっても、私は、司法の現場、警察、弁護士、検察、裁判官の意識が変わらなければ、女性がつらい思いをするのは変わらないと思っています。ついて行った女が悪いだの、抵抗しなかった女性の問題だの、証拠がないだの、それによって男が不起訴や無罪になるなんて。被害に遭った女性たちは、それでなくとも、誰にも言えなかったり、言ってもあなたが悪いと言われたりで、長い間心にトラウマを抱えて生きなければなりません。中には、その重さに心の病になってしまう人も。子どもの頃の被害をずっと、大人になっても苦しんでいたり。
昨日の夜には、ある国外のメディアの取材を受けました。
あの、ジャーナリストによる強姦事件です。逮捕状まで出ていたのに、警察から官邸に行っている人によって、逮捕は潰されました。今、被害者の女性が本当に孤軍奮闘しています。孤立して、様々な世間の非難を浴びています。性暴力の被害者へのサポートは、日本は、一体どうなっているのかと、尋ねられました。
それと、東大や慶応や千葉大医学部のエリート学生たちの集団レイプ事件。これも、加害者がどうなっているのか、千葉大を除いて、さっぱりその後が分からなくなっています。ある、性教育潰しをして来た国会議員の身内の東大の加害者は、不起訴になったようだと聞きました。この国、被害者に厳しく、加害者が守られる、そんな国になっているのです。
一体、日本の性教育はどうなっているのか、エリートの学生たちは、高校までにどのような教育を受けているのかと尋ねられました。いえ、受験教育一辺倒、さっぱり性教育はなされていませんよ。まとも性教育はしてはいけないことになっています。高校までちゃんと教えられ無くて、さあ、大学も無事入れた、そこで性はアダルトビデオに学ぶ、性というのは、あんなに乱暴にするもの、女というのは、そうされると喜ぶものと。教育を受けていないと、そうなってしまうのは、必然でしょうと。そんな話に、海外のメディアの方は、ほんとうに驚かれて。
週刊誌、スポーツ誌以外のいわゆる大手のメディアがこのジャーナリストによる強姦事件をほとんど報道しない今、外国のメディアにより世界にこの事件と日本の現状を知らせてもらう事。そこに一抹の希望を見出さざるを得ない、悲しい事です。
今日は、県北の中学校に話しに行きます。全校生徒41人という小さな学校です。これから先、遠方に巣立っていくであろう子ども達が、豊かな人生を歩んで行けるように、頑張ってお話しますね。
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コメント
本当に、弁護士や警官・検事・判事などの意識が変わればよいと考えてます!我孫子の事件は本当にかわいそうだと思いますが二度とこんな事件をおこさせてはなりませんね。かわいそうです。
投稿: 愛ちゃん | 2017年6月30日 (金) 12時43分