気が重いこと④公務員の柔軟性
昨日の続きです。
私は、市の職員の方に「私はどうすればよかったのですか」と問いました。私たちが被るしかないのですかと。職員の方は「私費でしてもらって下さい」と言いました。18000円、後で市から却って来るのなら、それでもいいでしょう。でも、向こうはもうこれは無効ですというのです。
一人は上の子が病気で入院していて、もう一人はつわりがきつくて、保健センターに行けなかったというそれぞれの事情がおありの方で、そういう方は、市のサポートは受けられないと言うことなのですね。
わかりました。これまでは問題がなかったことを担当が変わったら、とたんにこうなると言うことは、担当のあなたでは、話ができませんね。これは上司の責任でしょう。上司とお話しましょう。上司、局長ですか、局長と話せばいいですか?子ども未来局長ですね。局長に私が話に行きましょうね。
そしたら、職員の方は「これまではそうではなかったのですか?」と問われました。「はい、何も問題ありませんでしたよ。ちゃんと補助されておりました。あなたに代わった途端です。こんなおかしなことを言われるのは」
そしたら、上司に言うのはちょっと待って下さい。こちらでもう一度検討して見ます。またお返事しますから、と言われました。ので、待つことにしました。
それでも、なかなか返事はなく、その夜、考えました。少子化の時代、赤ちゃんを産んで育てようかという人には、行政として少しでもサポートできるようにと考えるべきなのに、これでは逆向しているではないか。一産婦人科医の損得の問題ではない、これからだってありうること、今度このような人が来たら、どう対応すればいいのか考えなければ。それに、私のクリニックだけでなく、おそらく他の産婦人科の申請にも、しっかり目を凝らして調べて、同様の電話をかけているでしょう。
私は、市会議員の方にお話しようと思いました。いきなり議会で追及と言うのではなく、市の局長に話しに行くのに、アポイントを取ってもらって、付き添いを頼もうと思いました。今外国に行っている友人の市会議員が帰って来たら、すぐに頼みましょうと、そう決めました。
そしたら、翌日、電話がかかって来ました。そういう事情があるのでしたら、補助は出します。送り返した補助のチケットをまた出して下さいと。担当が変わる時に引き継ぎを間違って捉えていました。すみませんでした、と。
わかりました、ありがとうございますとお答えしました。しかし、そこで考えました。もし、二度目の電話で私が怒らなければ、このことはずっと続いていたのに違いない、少なくとも、一度目の補助の無効はそのままになっていたことでしょう。
そもそも、行政の職にある人は、規則と、住民の福祉をどうとらえているのでしょう。規則だからこれは補助できませんと送り返すという、その行為を平然とすること、その陰に、一人一人の住民にどのような事情があったのか、想像力を働かせることもないのでしょう。
杓子定規に決められたことに忠実に事を運ぶ、それが公務員の仕事だと思っているのでしょうか。住民のために柔軟に事を運ぶという、発想を持ってもらいたいと思います。
まだあります。DVで肋骨が折れるほどの暴力を受け、救急搬送され、その上後で妊娠していることが分かった人がいます。相手は逮捕、彼女は逃げて来て福祉のお世話になることになりました。人工中絶をすることになって、でもお金がありません。福祉の担当の人は、なんと「相手がいることですから、相手にお金を払ってもらって下さい」と言ったと、涙をこぼされます。DVの障害の被害者が加害者にお金を払ってほしいと言いに行けるわけがありません。この方のことは、まだ進行途中です。事態がはっきりしたら、たまご報告することが出来るかもしれません。つらい立場の人に寄り添う、柔軟な公務員の対応を望みます。
上の人に、究極の「忖度」をする公務員、最高の上司のために法律さえも捻じ曲げてしまう、その柔軟性を発揮する公務員の姿も醜いものですが。そうではなく、住民のために忖度してほしい物だと思います。少なくない税金を払っている立場からもそう思います。
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コメント
被爆72年:広島市、若い職員の自殺、今やブラック企業ともいわれる。このブラック企業との闘いから本来の公務員の職責もみえてくるのでは。先生の悩みも尽きませんね。
投稿: 小倉っ子 | 2017年5月22日 (月) 09時11分
DVに遭って肋骨折れてしまったにも関わらず中絶費用も出してくれないとはひどいです。
投稿: リラックマ | 2017年5月22日 (月) 21時34分
性暴力で妊娠したのなら正直、警察署と生活保護課がそんたくして中絶費用を全面的補助をすべきです。
投稿: 愛ちゃん | 2017年5月22日 (月) 21時50分