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気が重いこと①親の付き添い

 長く現場にいると、いろいろとやり切れない思いをすることは多々あるものです。私の中にフラストレーションとしてため込んでいるものも。それらを少しだけここに出しますね。

ある妊婦さん。結婚しており、第一子は無事出産し、第二子のおめでたです。しばらく私のクリニックで健診をし、初期の血液検査も全部済ませ、順調に経過しておりました。で、出産する病院に紹介をすることになりました。

この頃は、大きな病院はあらかじめFaxで地域連携室に紹介状を送り、病院から何日の何時に来院して下さいという返事がきます。その返事とあらためての紹介状を持ってその病院を受診します。

で、Faxを送ったのですね。今の妊娠週数、出産予定日、経産婦であることなども記載したものです。何にも問題なく受け入れられてもいいはずの妊婦さんです。

そしたら、その病院の地域連携室から電話がかかりました。この方は未成年ですから、保護者と一緒に来てもらって下さいと。確かに、彼女はまだ19歳です。早い結婚で、今は19歳で第二子の妊娠中です。

そのようなことを書いているのに、そしてそれを読んだ上で、「親と一緒に来てもらって下さい」と。

その電話を受けたナースが「では、結婚していらっしゃいますから、ご主人と一緒に行ってもらいます」と答えたと。

それを聞いて、私は「ちょっ待った」と言いました。そして、私が電話に出て、「そこに書いているように、この方は結婚していて、それも第二子の出産です。二人目の妊婦健診に行くのに、親が付いていかなくてはいけないなんて、そんなバカな。そもそも結婚した未成年は成年として扱われるのを御存じですか?」と言いました。

「それでは、産婦人科と相談して改めてお返事します」と言うことでした。しばらくして、そういう事情であれば、一人でこられても大丈夫ですとの返事がありました。

その件はそれで落着です。

でも、私の気は重いままです。

性教育に関わって、産婦人科医も長い間続けていて。「親の付き添い」が大きな課題でもあります。産婦人科ですから、いろいろと人に言いたくない事、特に親には言いたくないこともあり得ます。

でも、私たちの立場からは、とにかく「早く」受診をしてほしいのですね。一人で悩んでいる内にアッという間に時が経って、やっと受診した時には「もう遅すぎた」ということがとて怖いのです。

人工中絶が間に合わなくて出産しなければならない、でも育てられない、というのがその典型的なことです。

また、強姦された、早くに来れば妊娠の予防ができるけど、遅すぎて、そのレイプで妊娠、中絶をしなければならなくなったというのもあります。

「親と一緒でないと診てもらえない」「親には言えない」と、そこに一つのハードルがあります。

とにかく受診を、そこから先は、また一緒に考えましょう、そんなことを言い続けていても、肝心の同僚が、産婦人科医が、そんなことを言っている、はじめの段階で「親と一緒に来てください」と言っている。

受診しやすい産婦人科を。ハードルをどう下げればいいのか、そんなことを考え合い、話し合っていても、足元の産婦人科医が分かっていない。

未成年の受診、第二子の出産のための健診でさえも未成年だから親と一緒に来てくださいと、そう自動的に職員に言わせている、その事実から、とても気が重ーくなってしまっているのです。

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