「ババ、長生きせいよ」
昨日期せずして、同じような境遇のお二人から似たようなことを言われました。ありがたくて。
まず一人目。彼は、性同一性障害で長年当方で治療してきました。今やすっかり男性です。でも、まだ未成年の子がいるため、正式に男性にはなれません。彼が本当に苦労して子育てをしている様子をこれまでみてきました。もう一息だね、そんな話をしていると、
「ババ、長生きせいよ。ババがおらんようになったら、わしの行き場がなくなるけんの」
と言いました。彼は、私のことをババと呼びます。
「でも、診療をいつまで続けるかよね。ヨレヨレになるまで?」
「よれよれになったら、わしがめんどうみてやるけんの」
「本当?あなたが勤める施設に入れてくれる?」
私は一安心です。自分自身の老後をどうするか、それも私の重い課題になっています。
「口は悪くても、彼は優しいから。一生懸命看てくれるよね」というのが内のスタッフの彼への評価です。
もう一人。逆に性同一性障害で女性になった人です。せっかく手術も受けて女性になったのに、事情があってその後放置したため、すっかり塞がってしまったのです。直径2ミリの細いゾンデも入らないほどでした。
当方で治療。三度の小手術も含めて、今、大分広がって来ました。その彼女が
「先生、私の事、書いて」と言います。うん?はじめは何のことか分かりませんでした。
「何に書いてもいいから。私ね、こうなっていろいろ調べたんよ。手術をしても、その後、塞がってしまった人が沢山いるのよね。でも、どうしようもなくって、みんなそのままで諦めているんよね。私、おかげでここまで回復して、先生への恩返しよ。何を書いてもいいから」
だそうです。もちろん、彼女が諦めないで、根気強く通ってきたのが一番なのですが。
性同一性障害の方は、無事性が変わっても、その後の生活がいろいろと大変です。お一人ずつのニーズに応じて、できる限りのサポートをして行こうと思います。
私のクリニックの男性の患者さん作の創作折り紙、今年の干支です。毎年、作って持ってきて下さいます。今年の干支も届きました。
ピンと尖ったとさかが特徴です。
よく作るねえ、スゴいねえ、みんな絶賛です。クリニックに飾りました。ありがとうございます。
こんな患者さんたちとのやり取りに支えられて、何とかここまでやって来ました。さて、今後はどこまでやれるのか、ですねえ。
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コメント
性的マイノリティの方々の立場にたっておられる診療は素晴らしいし、なによりその差別をなくすために折り紙を紹介されるのは素敵、折り紙折れない私は残念でなりません。鶴も折れない私は変かも。しかも夫婦して。
投稿: 愛ちゃん | 2017年2月 9日 (木) 06時39分
塞がるんですか?初めて知りました。
想像できないくらいの悩みがあるのですね。
投稿: ⑦パパ | 2017年2月 9日 (木) 11時09分