小児外科のお話①
昨夜は、広島市臨床産婦人科医会研修会でした。
講師は、九州大学大学院医学研究院小児外科分野の田口智章教授。「新生児外科における出生前診断の役割と産科医の連携」でした。
これが、素晴らしい講演で、まさに息もつかず一気に話して頂き、一気に聞きほれました。
小児外科学会ができて、今年で56年。この50年の進歩は目覚ましいものがあります。
・主に胆道閉鎖症の生体肝移植の進歩
・小児がんの治療の進歩
・新生児外科の進歩
などのお話。生体肝移植なんて、ついこの間第一例が行われたと大変なニュースだったのに、もう九州大学小児肝移植は96例も行われていると。父親か母親の肝臓の20%を移植します。それに応じて、胆道閉鎖の移植なしの手術では2年生存率が2/3だったのが、現在では92%になっていると。
今年7月に行われた胆道閉鎖症・小児肝移植親子の会で沢山の親子が集まっている集合写真を見た時には、感動で胸一杯になりました。
さらに、小児がん。大きな肝がん(肝芽種)も、抗がん剤で縮小させてから手術をすることで、5年生存率が41%だったのが、89%になっていると。具体的な患者さんで、がんの様子、化学療法でどう縮小したか、そして手術の様子等を見せて頂き、これも感動でした。小児固形腫瘍は
・術前化学療法により切除可能に
・切除できれば長期生存可能
小児外科の進歩
1964年を100として2013年は、出生数は60%。しかし、小児外科の症例は566.9%と増加しています。
それに、新生児外科疾患死亡率も目覚ましく減少しています。消化管穿孔、食堂閉鎖、臍帯ヘルニア、横隔膜ヘルニア、腸閉鎖、鎖肛、など全例の死亡率は6.6%。重症心奇形、多発奇形、致死的染色体異常以外は生存可能となっていると。
そこで、私たち産科医が出生前に胎児の異常や病気を見つけることが出来るかが大きな課題となって問われているということになります。
もう少し、感動的なお話をさせて下さいね。
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コメント
たん道閉鎖症の予防に葉酸と鉄とビタミンEのサプリを飲みなさいと本格的治療に入る前に言われてるのはそのためなんですね。たん道閉鎖症は赤ちゃんの致死率が高いですよと言われました。すごくわかりやすい解説です。
投稿: 愛ちゃん | 2016年11月18日 (金) 16時22分
赤ちゃん誕生の奇跡、そして小児科医、小児外科医、産婦人科医さん達の身を削りながらも命を大切にする気持ちからきた症例ですよね。
生まれた赤ちゃんが、少しでも黄疸が出てるとか肺が破れたとか、我が子のことに一喜一憂する気持ちをこれだけ真剣に真摯に考えてくださる医者は産婦人科医独特の世界だ!と感じて幾年…。
先生方が頑張ってくださるからこそ、子育てについて向き合ったり、性について真剣に取り組もうと思えます。ありがとうございます!
投稿: けいちゃん | 2016年11月18日 (金) 23時14分