« 小児外科のお話① | トップページ | アイパッドが壊れてしまって。 »

小児外科のお話②

九州大学小児外科の田口教授の講演の続きです。

新生児外科の成績の向上は、次の三つによってもたらされていると言われました。

・手術手技・材料の進歩
     愛護的手技
     ルーペ、モノフィラメント吸収糸
    Vessel sealing device

・出生前診断を含めた早期診断
     産科医、新生児科医の認識の変化
     重症化する前に治療

・周産期/新生児管理の進歩
     呼吸、循環、栄養管理
     手術のタイミング

ルーペやヘッドランプを身に着けて、細い糸、工夫された道具を使ってのものすごい手術も見せて頂きました。

お尻に赤ちゃんの体ほどもある巨大な仙骨奇形腫という腫瘍ができ、お母さんの子宮の中でその腫瘍が破裂してしまい、ヘモグロビン3.6g/dlという、ひん死の状態で生まれた赤ちゃん、手術によりその破裂してしまった腫瘍を取り除き、その5か月後の赤ちゃんのきれいなお尻を見せて頂きました。

多くの赤ちゃんが肺炎を起こして亡くなってしまう食道閉鎖症。その手術の工夫により、今では死亡率0%であると。

さらに、うなったのは、手術により長期生存できるようになった子の問題にまで、工夫は続きます。それが感動なのですね。術者が手術しやすいように、ではなく、その子の傷が将来目立たなくなるように。

傷が分からなくなる、腹腔鏡手術、胸腔鏡手術、膀胱鏡手術等だけでなく、皮膚を切開することの工夫。

これがすごい!のです。

腋の下の皺に沿った切開での食道閉鎖手術、おへその皺に沿った切開での十二指腸閉鎖手術、肛門の皺に沿った腸閉鎖の手術も。これらの子どもには、まったく傷がなくなります。

産科医が超音波等で胎児の異常を見つけた時、どのような疾患で胎児MRIを撮るべきか、どのタイミングで出生させるべきなのか、いろいろと示唆にとんだお話もありました。

頸に大きな腫瘍ができていて、肺が押されて小さくなって、出生直後から呼吸困難が予想されている子の場合、帝王切開で頭だけを出し、そこで赤ちゃんの口から気管内に挿管し、人工呼吸をしながら、娩出する等。体が子宮内にある限り、へその緒から胎児の循環は保たれていますので。

写真だけでなく、動画をふんだんに使って教えて頂きました。

まだまだ先生の研究、臨床も進歩していて、すごいなあと思ったのは、成長して抜けた乳歯の幹細胞には、優れた細胞増殖能・多分化能があり、それから肝細胞の塊を作り、さらに3Dプリンターを使って肝臓を作ること等、実際先生の研究室で行われていることも。そこから、乳歯バンクの発想も出てきます。

まだまだお話ししたいことは沢山ありますが。すべての産科医は田口先生の話を聞くべきだと思いました。

結局は、田口教授の赤ちゃんや子どもに対しての深い愛情を見させて頂いたことが、何よりの感動でありました。私自身、妊婦さんの妊婦健診に心して向き合おうと思った次第です。

『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。

広島ブログに参加しています。このバナーをクリックすると、
私のポイントになります。ご協力よろしくお願いします。
広島ブログ

|

« 小児外科のお話① | トップページ | アイパッドが壊れてしまって。 »

コメント

重度な奇形や先天性疾患があるからといって中絶を進めるのではなく外科手術もありますよといってくだされば、女性が社会進出して三十半ば過ぎての初産の恐怖がなくなりますね、あまり外来であう先生の中には、グレードが高い受精卵ばかり気にされているのは気になります、本当にこういうことに気に配る先生が増えて欲しい、年齢が高い不安感や不安定さを女性自身が感じる以上にいわば諦めながらもまずは出産しましょうと促していただきたいです。成績が極めて悪いのは仕方ないですが、河野先生から、すごい情報をいただけたと思います。三十五の壁が過ぎながらも四十の壁が差し迫りピリピリしてますからありがたいです。

投稿: 愛ちゃん | 2016年11月19日 (土) 17時26分

大変な奇形や先天性疾患の重度化を防ぎなるべく中絶を進めるのではなく生命の尊重を考えて行こうは素晴らしいですが、現実的な場面では四十近くなり、良い受精卵が得られなくなってることは多くの当事者が陥る悩みで、河野先生からこういう取り組みがあるよと言われると安心です。四十近くあるいは四十こえてる不妊当事者には奇形や先天性疾患やダウン症がことのほか恐怖です。こういう取り組みがあるよと言われると安心して治療を頑張って行けます。多くの先生は不妊当事者で認識した方に対して不妊当事者と同じくらいに五体満足の赤ちゃんを望んでます。そういう中でこういう取り組みがあるよと別な先生がいろいろな情報をネットで言われると頑張って行けます。もっとグレード以外にも診断できるといいなとかんじてました。

投稿: 愛ちゃん | 2016年11月20日 (日) 05時23分

昔は、死産や産まれてもすぐに亡くなっていた子供が助かるんですね。
医療の進歩はすごいですね。
そして、このような病気になる赤ちゃんは少なくはないのだろうと思います。
改めて、この二つの記事を読むと、赤ちゃんが無事に生まれるのは奇跡なんだなと感じます。
子供頃は、親戚に子供が生まれると両親は無事に産まれて良かったと喜んでいました。
でも、今は、無事に産まれるのが当たり前で、何か問題があると医師のせいにすようなことが増えているようですね。
どんなことでも普通なことが当たり前で、問題は自分でなく相手にあるとなる風潮になってますね。
どんなに医療が進歩しようが、人間の体は昔とほとんど変わっていないのですから、出産はその人の体次第なんでしょうね。
無事に産まれることは、普通でなく奇跡なんですね。
だからこそ、他者と少し違って産まれたとしても、それは普通なんだろうと思います。

投稿: やんじ | 2016年11月20日 (日) 17時00分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/205567/64512965

この記事へのトラックバック一覧です: 小児外科のお話②:

« 小児外科のお話① | トップページ | アイパッドが壊れてしまって。 »