診察室で。
結構疲れています。それも、診療で疲れています。遅くまでかかって、やっと診療を終えて、せねばならないことがどっさりあるのだけれど、それができません。バテバテで早く寝ても、頭も焦っていて、早くに目が覚めてしまいます。
そして、いつまでこんな苦労をしなければならないのかなと、少しうつっぽくなります。
これから解放されるには、せねばならないことをやってしまうことなのですが・・・。
少し診療の様子を。
妊娠していて、とても産めない人がいます。中絶をしなければならないことははっきりしているのですが。相手の男性が、「少し待って」と言うのだと。
「それは、待って、産める可能性を考えるということですか?」
「いいえ、彼も産めないと、それははっきりしているのですが。でも、待っていたら、流産するかもしれないからと。」
「えっ?流産するのを待つということなの?あなたは流産しません。待っていたら、どんどん大きくなるだけですよ。」
別の妊娠している人。双子でした。まだ小さいのですが、一つの受精卵に二つの胎児がいて、それぞれの心臓もしっかり動いていました。その夫。
「二人が男か女か教えて下さい」
「まだわかりません。こんな一センチにもならない小さな胎児の性別を知るのは無理です。」
「一人だけ欲しいのです。これを一人にしてもらえますか?」
「えっ、産めないのですか? もしも、二卵性の双胎だったら、できないことはないけれど。それでも、道徳的にキビしいチェックが必要になりますが。でも、あなたたちの場合は、まったく同じ卵の中に二人いるので、一人だけを出してしまうことは無理です。」
経済的には、育てることはできないわけではないと。でも、二人育てるのは無理だと言われます。
「どうしてもだめなのなら、二人とも諦めることになりますね。」
「もし、今回をあきらめて、また妊娠したら、また双子ということはありますか?」
「それはわかりません。妊娠してみないと分からないことです。」
他の方。妊娠を望む方です。四日前にセックスをしたと。それで妊娠しているかどうか診て欲しいと。それはまだわかりません。生理が遅れてみないと分からないことです。夫さんです。
「卵にちゃんと精子が入っているかどうか、見て下さい。」
それは無理です。
「では、卵に精子が入っているかどうかはわからなくっても、卵が卵管を通る途中かどうかを見て下さい。」
「それも無理です。今の医療では、そんな物が見えるようにはなっていません。」
早く赤ちゃんがほしくて焦る気持ちはわかりますが、でも、待って。待つしかないのです。
実は、これらの患者さんは、すべて外国の方です。ほとんど日本語は通じなくって、外国語での対応です。疲れます。言葉だけでなく、社会や宗教や風習などの違い、みなさんエリートですが、教育、特に性教育の違い。日本では常識と思っても、そこそこで異なる意識の方もありますし。でも、納得していただくように丁寧に話さなければなりません。時間もかかります。これらの対応を終えると、どっと疲れるのです。
昨日は、お昼時間がほとんどなかったので、ローソンで小さな冷やし中華を買って食べました。その前日。松屋で今、「なすとチキンのグリーンカレー」をやっています。650円。確かに、タイカレーで茄子とチキンだけでなく、キノコもどっさり入って美味です。でも、客は男性ばかりで一人ではちょっと入りづらいです。松屋のふつうのカレーもおいしいのですが、みそ汁がついてているのが、ちょっと合わないです。グリーンカレーにもやっぱり味噌汁がついていました。それなりにおいしい味噌汁なので、私は食べましたが、姉は一口も飲みませんでした。
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コメント
男って本当に性については、馬鹿ですね、減数手術って二卵性しかできないんですね、初めて知りました。実は双子にしないかとドクターに勧められた事があり、更新料のことを考えたらすればよかったと感じます。私も授精卵がきちんとらんかんを通る見えないかしらと考えたことありました。でも、ドクターの前で自分の口からいうのをやめてよかった。本当に男性が妊娠させたのに責任感がないお馬鹿さんっていうのは本当だと思ってしまいます。
投稿: 愛ちゃん | 2016年6月 5日 (日) 15時29分
先生の病院にくる夫連中は、漫才師なんでしょうか?受精卵について聞いてきた夫さんはしつこそうだから、奥さんのエスタジオールを測ってあげて帰したらよかったですね。測ってあげたら気持ちも収まるだろうから、私は一応息子の様子をみながら今月末、余剰胚凍結の更新料を払うのが確定しました、わがままに育てたくないと感じます。
投稿: 愛ちゃん | 2016年6月 5日 (日) 15時42分
被爆71年:「菊・丸コンビ、やりました!」相手は王者ソフトバンク、サヨナラ勝ち。先生の疲れ対策:これが一番!無理をされない様に。今年の日本シリーズは、勿論この両者で、セレモニーで「イマジン」を皆で合掌したいですね。お元気で!
投稿: 敗血症 | 2016年6月 5日 (日) 18時20分
中絶したい夫婦の夫と河野先生とのやりとりを伺う限りでは、本当に頭がおかしい男性がたくさんいて先生がお困りだと感じますが、一般産科の先生に対して受精卵をみたいとか受精する様子をみたいと言っても困るよね、マスコミで色々情報を流すから混乱してると感じますが、彼は率直に4分割・5分割になったところを一般産科の先生にみせてといってるんだと感じます。自然妊娠じゃ、初期胚盤胞を親がみるのは無理とはっきりいってあげたらいかがでしょうか?。
投稿: 愛ちゃん | 2016年6月 5日 (日) 23時21分
私も先生と同世代の医者です。今の人たちのようにライフ・ワークバランスなどとは縁遠く必死に患者さんにしがみついて頑張っていました。医師というのはそういう仕事だと思っていました、まして女医は3倍働くのだと素直に思っていました。子育てと仕事と息を切らせながらもやりがいを感じていました。今、なんだかやる気が起きません。年のせいばかりではなく便利なもの扱いを受けることが多いのです。ここで思うようにならなかったらよそに行けばいいといった雰囲気の患者さんを相手では本当に疲れますし情けなくなることが多いです。
投稿: ゆめ | 2016年6月 6日 (月) 19時41分