「絵で読む 広島の原爆」1.
これは、1995年、被爆50年の年の3月31日に福音館書店から「かがくの本」の一冊として初版が発行されました。以来、これまで版を重ねています。対象は「小学校上級から大人まで」とされています。
扉の文章です。
『 この本には、生存者の証言をもとに再現された、広島の町と、そこに暮らす人びとのようすが描かれています。下絵を見て下さったある被爆者はこう語っています。「平和教材なのでしょうが、私にはなつかしい風景です」。
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再現された場所に、今も、立つことができます。被爆者が飛び込んだ橋の上に立ち、現実の光景と50年前とを見比べることのできる、広島ガイドです。
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核兵器の原理、放射線障害、核軍拡、原子力発電等、被爆後50年間の核に関する基本的な知識を織り込んだ、核問題資料として活用できます。』
文章は、那須正感幹さん、絵は西村繁男さん。お二人で作られました。このお二人は、1989年に二人の小学生が地図を頼りに旅をする「ぼくらの地図旅行」を出版されています。
那須さんは、多くの方がご存じと思います。「ズッコケ三人組」のシリーズの児童文学者です。ズッコケ三人組は2004年12月、シリーズ50冊目となる「ズッコケ三人組の卒業式」で完結。2005年12月には、「ずっこけ中年三人組」が、2015年12月には「ズッコケ熟年三人組」が発行されています。
那須さんは、3歳の時に広島市西区で被爆されています。
西村さんは、この本を出版するにあたり、広島に1年も居住して、大変に苦労をなさったと那須さんの「あとがき」に書かれています。その部を転載させて頂きます。
『 (略)
私の担当は、様々な資料を通して原爆という物を多角的にとらえ、これを文章化することですが、西村さんの主な作業は、戦前から戦後までの広島の町並を、より正確に再現することにありました。
この作業の困難さ、西村さんの苦労は大変なものだったと思います。1年近く広島に住んで、資料や証言者を訪ねまわり、その後も何度となく足を運んで、より克明な絵に仕上げるために、長い時間をかけられたのです。
広島に生まれ3歳で被爆した私が、できるだけ離れた地点から原爆を書こうとしたのと異なり、氏は、徹底的に広島に肉薄して行きました。 (略) 』
沢山の絵と文章から一部だけ紹介のために接写させて頂きました。
この本について、もう少し、続きます。
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コメント
この絵本は小金井の平和絵本展にはありました。メジャーな作品のようですね。絶版になってないなら是非とも買いたいですね。絵が素晴らしい。しかも広島に一年間住んで作品を作ったのはびっくりします。
投稿: 愛ちゃん | 2016年4月11日 (月) 12時48分