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福島で聴いたこと。

 広島に保養に来ている親子さんからいろいろなお話を聞きました。また、今広島には時間的にバラバラに来られているので、親同士、子ども同士、一緒に過ごすことがあまりなくって、こうして一同に会してお話するのは貴重なことでした。

子どもたちが通っている幼稚園で、調査があった話。「放射能のことを気にしますか」には、気にしている人と、気にしない人とが半々だったと。

広島で武市先生に見てもらっている内に、しこりができて針による細胞診の検査を受けた中学生。どうしても、室内で過ごし、外では運動などはあまりしたくないと。広島に来るほかにも、月に一回は近くに保養に行って、思いっきり外で過ごすと。線量計を持って行って、福島に帰ってくると、ああ、やっぱり線量が高いなあと。

子どもたちは、むじゃきに楽しく食べ、遊んでいます。この子たちにどう語るか、教えるか、知らないようでいても、子どもたちは小さな胸を痛めながらも、こんなことは親にも聞いてはいけないと、一人胸にしまいこんでいるというエピソードも語られました。将来に幸あれと思います。

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 そんな中、お一人の方がこんなのが福島市長名で、今送ってきたと見せて下さいました。内部被ばく検査におけるQ&A・日本原子力研究開発機構が作ったパンフレットのコピーです。

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その中の一部、甲状腺がんについてです。

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もう子どもの甲状腺がんが167人という発表があり、それにしても多いという声が検討委員会内部でも出ているという記者発表があった、今、この時期にこんなのが配られて、これを読んでみなさん、安心すると思われているのでしょうか。返って不信感が増すばかりではないでしょうか。

「今回の事故では、周辺の住民の方々は大量の放射性物質が放出する前(平成23年3月15日以前)に福島第一原子力発電所周辺から速やかに退避することができ、また、飲食物の規制が迅速に行われたことから、甲状腺がん発症の危険性は低いと考えられます。」

「また福島県では、18歳以下の子ども全員を対象とした甲状腺の超音波検査を実施していますが、これまでの検査で発見されたのは、原発事故とは直接関係がない甲状腺がんであり、スクリーニング効果(それまで検査をしていなかった方々に対して一気に幅広く検査を行うと、無症状で無自覚な病気や有所見<正常とは異なる検査結果>が高い頻度で見つかること)であるとの理解が示されています。」

などと書かれています。

あるお父さんがおっしゃいました。何の異常もないと言われて一年後、もう甲状腺全体が固く、リンパ節にまで行っているがんだと言われたと。もし、スクリーニング効果だとしたら、一年で一気にがんが広がるのはおおかしい。病院に行くと、頸にギザギザの手術痕のある少女が沢山いたと。ご両親は必死です。福島県にも、病院にも不信感が出るのは当然でしょう。どこでどんな治療を受けるのが一番いいかと、模索を続けていらっしゃいます。

春休み、沢山の親子さんが来られます。 私はその日に帰りましたが、平木さんはまだ残って、保養に来る子どもたちを何人も連れて広島に帰ります。私達にできることは小さなことだけれど、でも、まだまだ支え続けなければならないと思いました。

どうぞ、広島に来て下さいね。のんびり、プラス甲状腺の検査を。武市先生は、最高に信頼できる先生です。

 

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コメント

スクリーニング効果って、検査しなければ健康に問題も無いものまで見つかるから、普通より多く見つかるってことですよね。
ところで、甲状腺ガンって、放っておいたら治るものなのですか?もし、そうならこの効果ってのは理解できますが、治療しないと治らないのなら、スクリーニング効果はまったく関係無いですよね。
また、たくさんの人を検査しているから多く見つかるなら、世論調査のようにある数の調査で全体がわかるという統計学にまったく反することですよね。
ある人が、会社の健康診断で、医師から喉の外観が少し腫れているから、一応検査をするように言われたら、甲状腺ガンの初期だったと言われてました。
医者で無いから詳しいことはわかりませんが、外観だけで検査の必要性を求めるってことは、甲状腺ガンになると、外観だけて疑われるってことですよね。
ならば、スクリーニング効果ってのは、甲状腺ガンでは、意味の無いことのような感じます。

投稿: やんじ | 2016年3月23日 (水) 11時33分

わたしは医者ではないけれど、小児から甲状腺疾患を煩いもう治る見込みすらない立場ですが、手術をしないですごすというのは、本当にごく軽い病状でありかつ、それですらきつい検査と投薬を行い、小児特定慢性疾患の医療助成を行うことが唯一の解決だとおもいながらも、軽いけど将来もしかしたら悪化する可能性があると指摘されたならその検討を親子共に考え、将来どうするのかをきちんと考えしっかり生きることをお勧め致します。小さなお子さまに手術しないでとか、エコー検査をしたくない等の葛藤があるのであれば、お子さまの将来はあまり明るくはない疾患です、生きながらえているありがたみながらもでは、福島の親御さんたちは将来孫にも遺伝するならば、ごく一般的な甲状腺疾患の本を読みながら、なぜ今まで小児内分泌医の育成を充分に行得なかったことを研究されましたでしょうか?福島の被曝には関係ないとはいわないで、これからは小児内分泌医を日本全国津々浦々に配置していく姿勢こそ医療に求められます、また産婦人科に関しては、内分泌医との連携や内分泌の研究をこれまで以上にしなければなりません、遺伝子診断や着床前診断等の重い診療をしなくてはならなくなります。だからこそ反原発だとおもいます。

投稿: 愛ちゃん | 2016年3月23日 (水) 22時21分

わたしは、幼い体で細胞診の検査を受けその後、手術に進まなければならないのは親子としてつらいことですが、田舎行くとやっぱり小児内分泌医は少ないなと感じずにはいられません、小児と成人は検査の種類・方法は全くちがいます。これは一児の母親となった今、赤ちゃんのエコー検査やガスリー検査・脳波・大腿骨検査・採血など種類が大人にくらべて項目が広く、投薬も年齢や月齢により医師が薬をつくらないといけない時代もありました、本当はこういうことは医師ではない私が言うのはさしでがましいですが本当に子供を大切にするというのは、子供の成長を守ることであり、子供の身体的成長を阻む疾患にたいしてきちんと親が知識をもち重度化を防いでいくのが親の義務だからこそわたしなりに、反原発を考えていきてきました。本当は子供の小さな臓器である甲状腺というものに多くの方が興味もってくれたらと感じずにはいられません。失礼なことをもうしてすまないなと感じながらも、東京都の指定検査にはパスしたものの、サイログロブリン異常だけは遺伝子異常として存在する以上三歳になるまでは、採血とエコーが必要と診断を受け、本当にこれからは、日本の全ての少年少女そして乳児にきちんとした甲状腺検査を行う必要とする日が近いうちに来ると思うからこそ、河野先生は素晴らしいと感じます。また甲状腺にたいしてきちんと知識をもち、妊娠維持や妊娠可能性を探るだけではなく、内分泌医にきちんと連携をとる産婦人科医も今まで以上に必要不可欠なことだとおもいます。

投稿: 愛ちゃん | 2016年3月24日 (木) 00時00分

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