「人間関係を作るのは、優しさではない」
届いたばかりの「人間と性」に、「行きづらさを抱えた性加害者について」を聴講された松林三樹夫さんのレポートが出ていました。その中に、竹下三隆さんの言葉がいろいろと書かれていますので、そのご紹介をさせて頂きます。
「表現するということは、人間関係を作る基本です。人間関係を作るのは、優しさではありません。優しさは逆に人間関係を作れなかったりする。人間関係をうまく作れない人は、優し過ぎる人なのです。優しい人は、相手のことを思うあまり、言いたいことを遠慮してしまうのです」
「昨年末に、17歳の少年が『誰でもよかった』と言って、おじいさんとおばあさんを殺した事件がありました。その少年について周りの友達がなんと言ったかというと、『彼がキレたのを見たことがない。みーんな受け入れている感じやった』と。これですよ、問題を起こす子はね、コントロールする力がない人やと思うかも知れませんが、その逆です。苦しいとか、つらいとか、そういうことが言えない人たちですね。自分の感情を素直に言える人は『このやろう!』とはならないんですよ。」
「ある子が『先生、ずっと叩かれていると、痛くなくなるんです』というんです。心も一緒ですね、ずっと叩かれていると痛くなくなるんですね。そしてマヒすることで、乗り切っていくんです。そしてマヒすると、悪いことをしても悪いことをしているという気がしないと言うんですね。だから反省もないんです。傷ついて、傷ついて、ずーっと傷ついてきた歴史があるか、もしくはでっかい傷つきがあると、マヒしてくるんです」
いじめをした子に「なんでそんなことをしたんやー」と叱ることでも反省させることでもなく、まずはいじめられた子に対しての文句を思い切り書かせたという。
「思いを吐き出していったら、展回していくんです。ロールレタリングと言って、相手への思いや文句を思い切り書かせるんですね。文句を書いていくと展開して行くんですよ。自分の気持ちを思いきりぶつけたことによるカタルシスなんですね。
反省文なんてなんの役にも立たないし、それよりも、思いきり自分の気持ちを書かせるんです。文句を書いていいよって言って書かせて、相手への文句を書いたら、今度は相手から自分へということで書かせてみるといいですね。そうすると、少しずつ展開(気持ちが変か)していくんですよ」
この手紙を書くというのは、女子少年院での立ち直りにかかわってきた下西さんの講演でも聞いたことがあります。その時は、加害者に、被害者から自分に対しての思いを想像しながら、手紙を書いてもらういうものでした。竹下さんのお話では、まず自分から被害者に、そして次に被害者から加害者である自分への手紙を書いてもらうというものです。
手紙を書くということで、自分の思いを吐き出したり、被害を受けた人の思いを想像したり。その作業はいいなあと思います。
この度の竹下さんの講演について、城さんの話を聞き、竹下さんや松林さんが書かれ物を転載するという形で書かせて頂きました。感謝申し上げます。ありがとうございました。
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コメント
優しさ=人間関係ではないんですね。きちんと自分の感情をつたえることをしなければいけないことを物事がわかるようになったら息子に教えなければ。おもしろい。確かに昨年末に自分のおじいちゃんおばあちゃんを殺してしまった少年事件がありましたね。
投稿: 愛ちゃん | 2016年3月30日 (水) 08時41分
優しすぎるのでなく、嫌われたく無いから、優しいようにしているではと思っています。
本当の優しさは、時には厳しいこと言ったり、反対意見を言ったりして衝突しながらも、思い遣りを持っていることだと思います。
確かに、反省文は何度も書きましたが、聞こえの良いことばかり書いていましたし、その書いた言葉に自分自身は納得できていなくっても、その言葉さえ書いておけば反省文になるって思っていました。
つまり、本当の意味の反省なってしていなことになりますね。
以前読んだことのありますが「内観」と、同じようなことをするのですね。
投稿: やんじ | 2016年3月31日 (木) 05時24分