男の育休。どれだけ覚悟があるのか。
もうずっと前。インターナショナルスクールの教師夫妻に特別養子縁組のお世話をしたことがあります。まだ産休はあるけれど、育休はない時代です。
子育てをどうするか、事前に色々と考えていらっしゃいました。基本的にはベビーシッターだと。でも、すぐにではありませんでした。
まず、インターナショナルスクールが、産休を下さいました。彼女が生んだのでもなく、養子として赤ちゃんを引き取ったのですが。「産休」は、赤ちゃんのためにあるものだからと。それは素晴らしい、さすがインターナショナルスクールだと思いました。
まず彼女が産休を取りました。そして、その後は今度は彼が取りました。半分ずつですね。
産休が切れた後、今度は、なんと二人で一人の教師になったのです。
彼女が午前中学校に行くと、午後は彼が行く。彼が午前中に行くと、こんどは彼女が午後に行く。そうして、半分ずつ、合わせて一人の教師になったのですね。そんなことを許してくれる、これもまた、さすがインターナショナルスクールだと思いました。
で、お給料はどうなの?一人分?と言うと、「それが一番の問題だ。一人分の給料になってしまった」と。私は、「当たり前でしょうね」と笑いました。
赤ちゃんが家に来て、すぐのころ。二人は自宅でパーティーを開きました。近所の方たちに家に来てもらって「この子が家の子になりました。よろしく」と。わたしも招かれて、集まったみなさんにいきさつをお話しました。高校生が生んだ赤ちゃんでした。このご夫婦の元で、幸せに育つことと思います。みなさんも、助けてあげと下さい。どうぞよろしくお願いしますと。二人は、いっぱいパテを作って冷凍しておいて、庭でバーベキュー、パンにパテと野菜を挟んでハンバーガーを作り、みんなでかぶりました。男性も女性も、わいわいと和やかでした。
そうして、赤ちゃんも含めて地域に溶け込んでの子育てでした。
一年が過ぎて、今度はベビーシッターでなく、保育所に入りました。私も、それをおすすめしました。日本では、一人のベビーシッターではなく、いろいろな人の影響をうけながら育った方がいいと思うからと。
私の時代はこうだったというつもりはありません。時代が違うのだから。でも、一つだけ。私は夜もいつ呼び出されるかわからないという、あまりに厳しい仕事をしていたからかもしれません。子どもを産んで家にいるとき、なんと楽なことかと天国のような思いがしました。赤ちゃんが寝ているときに昼間っから自分も横になれる、家事なんとちょろいものだと思いました。
夫だって、ずっと家にいないわけではありません。夜は帰ってくるし、休日には家にいます。彼が帰ってきてから赤ちゃんはお風呂に入れればいい。買い物は一週間分まとめて買えばいい。足りないものがあれば、仕事帰りに夫に買ってきてもらえばいいし。
もちろん、二人の生活から三人の生活になるのだから、赤ちゃんを産むという決意をしたときから、それなりに自分も子育てをするという覚悟を男性も持ってもらわないと困ります。これまでと変わらない仕事をするのではなく、残業はしない、付き合いが悪くなるのは当たり前。家に帰ったときや休日は、家はやすらぎの場ではなく、子育てという仕事の場であるとの気概を持ってもらわないと。
私は、ひと月、ずっと仕事を休んで妻のそばにいる、男の育休を取るといったあの男にどれだけ子育てをする決意があるのか、うさん臭く思いました。だって、子育ては、これからずっと続くのです。ひと月だけのことではありません。ずっとずっとです。彼女も同じように子育てをしながら、国会議員という重責を担わなければなりません。子どもが保育所に行くようになったら、子どももしばしば熱を出したり、病気になったり。そのたびに、仕事はどっちが休む?とすり合せをしなければなりません。急に帰れなくなった、保育園に迎えに行ってと連絡を取り合ったりしなければなりません。
ひと月育休を取るから、イクメンだ、立派だともてはやされるのが何とも気持ち悪いと思ったのです。
まして。妻がお産のために入院をしているという、その時に、他の女性とお泊りと言うのでは、むなしく笑うしかないのです。
いろいろなご意見があることは承知の上。コメントへのお返事を兼ねて、今日のこのブログを書きました。
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コメント
さすが、養子縁組に理解があるインターナショナルスクールですね。実子主義の日本ではなかなかできない。日本も次年度に導入の兆しと伺ってます。また養子縁組の産休・育児休は自民党のマニフェストと少子化タスクフォースの指針にはいってますよね。また夫婦ともに非正規の場合も男子の産休や育児休業もとりにくいし、労組に相談したら結婚できない非正規がいるから扱わないと副執行委員長にいわれた、私は浮気は賛成できませんし、育児休業取得しますといった男にふさわしくない行動と認識してますが、9ヶ月があっというまになかなか色々と困ったこともでてきてるから、やっぱり、非正規もいれての育児休業を促してほしい、以外と不妊治療をしての育児は非正規率は高いですよ。非難されるべきは彼の浮気という行為であり、男性の育児休業取得に水をささないでということを痛切してます。しかし、ホテル代をけちる男にはなりたくない。
投稿: 愛ちゃん | 2016年2月11日 (木) 11時15分
今日、午後のマリアージュで育児休業について特番がありました。男はこうあるべき・女はこうあるべきと団塊の世代の方々はおもってるからこそ、完全核家族だと男性の育児休業必要です。しかもそれを正規非正規を問わず入れないといけません。それは労組にも改革をしていかないと、自民党に育児休業をとろうとした議員をとっちめて議論させないなら、虐待死を生むと思います。育児休業は、核家族だからこそありがたい!
投稿: 愛ちゃん | 2016年2月11日 (木) 16時26分
男の育休。
ひと言でいうと・・・「邪魔だな」
24時間、全てが赤ちゃんのペースになる。
それに合わせて動くためには、1人の方が楽。
おっぱいあげて一緒に寝て、自分で時間を調整しながら家のことも少しする。そのペースを崩されそうで嫌。
夫は平日は少し早めに帰ってきて、沐浴の手伝いぐらいで充分です。
投稿: みゆき | 2016年2月11日 (木) 21時35分
みゆきさま
ただ、共働きで、二人が働き始めたとき、子育ては二人で協力しないととてもやっていけません。そこの所の育休を考えてほしいのに、生まれてすぐ夫も家にいて、何をするのでしょうね。そう思ったのです。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2016年2月14日 (日) 11時58分