真野豊さんの講演・続
真野さんの講演のタイトルは、「性の多様性と学校教育」というものでした。
まず、「性」とは何か。性を3つの要素で理解しようと。
①体の性(Sex ・ 生物学的性別)
②心の性(Gender ・ 性自認)
③好きになる性(Sexual Orientation ・ 性的指向)
そして、それぞれの性はグラデーションであると。それぞれの性が、女性性・男性性が繋がっていいます。真ん中より少し女っぽいとかという風に。私は体の性も好きになる性も女性ですが、心の性はかなり男っぽいと思っています。1月18日のこのブログでの講演の様子の写真は、ちょうどこの性のグラデーションについて、真野さんが説明していらっしゃる所です。
でも、学校教育においては、これまで異性愛のみを扱ってきました。たとえば、心のノートには、思春期になると「好きな異性がいるのは自然」学習指導要領においても。体の変化を男っぽく、女っぽく変化すると。そこでは、教室の中の13人に一人はいる性的マイノリティーのことを切り捨てています。
真野さんは、生い立ちの中で、自分がどんなに苦しみ、いじめられて来たかを語られました。幼いころは、女の子と遊ぶことがふつうだったと。学校では、授業時間が一番救われることだったと、休憩時間、歩いていたら、「女っぽい」物をつかんでも、「女みたい」と。
一人孤独であった真野さんが、自分だけではなかった、同じような人がこんなに沢山いたんだと感じることができたのは、大学生の時の「レインボーマーチ札幌」であったと。
真野さんが上げた」「セクシャル・マイノリティーの子どもが抱える5つの困難
① 自己受容の困難・・・当事者自身も自己否定に陥る。自尊感情の低下は自死につながりかねない。
② 自己開示の困難・・・石目を恐れ、事故開示ができないため、孤立へ。
③ 自己イメージの困難・・・性的マイノリティの肯定的なロールモデルがない。
④ 自己回避の困難・・・いじめなどの突発的な事故を避けることができない。
⑤ 情報アクセスの困難・・・性的マイノリティを肯定する情報、正しい情報が少ない。
そして、真野さん自身が教師時代に直面した生徒の例を挙げられました。
支援のポイントは、
① 環境作り ② 肯定的受容 ③ 正しい情報の提供 ④ 周りの生徒への指導
この④が、大切と。本人だけの指導に終わってはならないこと。
そして、テレビでも真野さんの発言のこれが取り上げられていましたが、教育によって、必ず差別はなくすことができると。
性的マイノリティへの差別をなくす"9つのポイント"
① 性はグラデーションである。
② 教室・職員室・職場・家庭に性的マイノリティがいます。
③ 性の多様性を前提とした環境(学校図書・掲示物)作り。
④ 性的マイノリティを否定する言動をしない。
⑤ 「正しい知識」を知ること。
⑥ 性的マイノリティに関する話題を秘匿化しない。
⑦ 性的マイノリティに対する差別や偏見は「社会の問題」。
⑧ 学校・職場で"性の多様性"理解について研修を行いましょう。
⑨ 保護者・地域への啓発。
私では語れない、さまざまなエビソートをいれながらの真野さんのお話は、前に聞いた時よりもバージョンアップし、完璧で、感動しました。テレビで語られたのは、ほんの一部です。それに私たちは講演の現場にいて当然知っていることなのですが、テレビでは、真野さんのことを「当事者」とだけで、名前も言わなかったのは、失礼なことだったと思います。多くの方が、真野さんの話を直接聞いて下さいますように。そして、性的マイノリティの方々が住みよい社会になりますように。
通勤途中の雪の原爆ドームです。後ろの商工センターの黒いビル、本当に邪魔です。角度を変えればいいのでしょうが、通勤途中には、回り道ができなくて、こんな写真になってしまいました。
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コメント
真野さんは教師だったんですね、初めてしりました。だから絵本をかいたのでしょうか?NHKってやっぱり変な報道だと思います。雪景色きれいですね。商工ビルは邪魔だと思います。写真の取り方は素晴らしいです。今週末大寒波で雪がふるそうです。マラソン大会不安ですね。
投稿: 愛ちゃん | 2016年1月21日 (木) 13時09分
早起きが厳冬期は苦手なので、真野豊さんを検索して色々しらべましたが本当に素晴らしい方なんですね。放送を見てみたかったのとNHKは不自然な報道だといつも感じます。
投稿: 愛ちゃん | 2016年1月21日 (木) 16時42分