昨日の診療。
昨日は、放課後広島県日韓親善協会の忘年・会員の夕べでした。それについては、また書きます。今日の休診日は、松江の私立女子高に講演に行きます。日帰りの一人ドライブです。いろいろと木曜日や日曜日の休診日の移動のことについて書いていますが。肝心の診療については、患者さんのプライバシーに触れることがあって、なかなか書きにくいものがあります。
昨日一日だけでも、診療の現場でもいろいろなことがあって。金曜日の「コウノドリ」が命の現場をまるでドキュメントのようにルポしているようで、うなります。でも、それは決してドラマだけでなく、日々繰り返されていることでもあります。時には、その重さにつぶされそうになることもあります。
今日は、診療の現場での一日。昨日、何があったかを書きとめておきますね。
95歳の方の出血を見てほしいとご家族の方が連れて来られました。半身不随、大腿骨折、消え入りそうな命。でも、ご家族にとって大切なお母様です。みんなで慎重に抱えて診察台へ。両方の足をナースに抱えてもらっての診察です。検査の結果は後日です。
15歳で近々出産する少女の妊婦健診。その赤ちゃんをどうするか、みんなが考えています。今、両親と本人の想いが一致していなくて、時間をかけて結論を出しましょう、考えて考え過ぎということはないからね。ただ、本人の想いを回りが強引に潰しててはいけないよ。あくまでも、本人が納得すること。それが一番大切なことだからと、両親とも話しました。
21年前、私のクリニックから特別養子で命を迎えた養親の方が、十年ぶりに来て下さいました。あの時の小さかった子が、もう大学生。立派になった姿をスマホで見せて頂きました。感無量でした。
流産の手術がありました。不妊治療でできた命。でも、育ちませんでした。これはこれで仕方がないこと。あなたの体や行動が悪かったわけではないからね。また、頑張りましょうね。
子宮頸がん検診で引っかかった方の精密検査、コルポ診、組織診がお二人。一人は、風俗をやっとやめた途端のがん検診での陽性でした。以前、先生これ上げるとトマトのキャンデーをくれました。即食べたら、これがおいしくて。以来トマトの飴にはまっています。
島根県から、術後の方が来られました。大きな病院に紹介して、手術を受けて頂いた方です。すっかり楽になられていました。傷もきれい。いい手術をして頂いたことに感謝です。良かったよかった。雪は?先日積もったけれど、今はもう消えていますと。気を付けて帰って下さいね。
何十年も、家族の虐待、DVで苦しんでいる女性。何とか家を脱出するしか彼女の今後の人生はないと思うのだけれど。いい方法が見つかりません。私は、無力です。
5年使ってきた超音波エコーの機械が壊れました。普通の画像は写るのだけれど、4Dのプローベが壊れました。経年による劣化だそうです。ちょうど5年で寿命のようになっているのですね。プローベの交換には、140万円かかると。他の部品も、いつ交換しなければならなくなるかわからないのだそうです。ハアーッ。ため息だけれど、でも、これなしには診療が成り立ちません。妊婦健診で赤ちゃんの4D(3Dプラス動きが加わって4Dです)の姿を見せてあげることがなにより必要なことなのです。仕方ありません。新たな機械を購入することにしました。お昼時間にその契約をしました。
スタッフにボーナスを出しました。無事出すことができたのを喜ばなければ。自分の給料を大幅に削っての経営です。いつまで続けるのかなあ。でも、新しく超音波の機械も買ったしなあ。
そして、日韓の忘年会から帰って、夜中、これから数日食べられるようにおでんを煮ていたら、患者さんから電話でした。妊娠の初期の方の出血、お腹も痛いと。自転車で暗い平和公園を突っ切ってクリニックへ。パジャマの上にコートだと、さすがに寒かったです。患者さんは、幸い大丈夫。お薬を出して帰って頂きました。また寒い中、冷え切って家へ帰ったら、二つの鍋で、おでんが丁度良く煮えていました。お汁を飲むと、おいしい!!すぐに幸せな気分になりました。
命の現場。日々、そんなこんな繰り返しです。先日の京都の真如堂の入り口で、斉藤さんと一緒に撮って頂きました。胸にしているのは、斉藤さんに頂いた、オーガンジーを柿渋で染めたスカーフ。透き通ってフワフワ、素敵。うれしくて。大切な記念写真です。
さあ、これから島根に出発です。
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コメント
赤ちゃんのママとおばあちゃんの対立は仕方ないと思うけど生んで育て上げたいなら、すべての制度をつかって頑張ってください、応援します。生まれたらおばあちゃんも100%気持ちかわるし、絶対にお手伝いすると思うからこそ、少女にはお手伝いお願いしなさいと優しくアドバイスはいかがでしょうか?新生児ヘルパーだいぶ来てもらいました。私も流産しましたが、だいぶ凹みながらも次があるからと頑張って闘いました。応援します。おばあちゃんの怪我や事故もきになりますが無事を祈ります、寒くなりそうですがいってらっしゃい。私も実は4Dの画像写真が欲しかった。東京の田舎の総合病院は4Dをいれられなくて、広島の開業ドクターがいれるのは納得できません。
投稿: 愛ちゃん | 2015年12月10日 (木) 13時14分
私も録画しながら「コウノドリ」を観ています。
数年前にネットでこの漫画本のことを知って、1巻を購入しました。
とても重く重要な漫画でした。
これがドラマになるって、ホントかなって感じるほどです。
でも、とてもよく描かれていますね。(素人判断ですが)
私が子供ころは、出産って特別なもので、問題なく生まれてことに感謝していました。つまりいろいろな問題を抱えて生まれることは珍しく無いということですよね。それと、産後のひだちが悪く、母親が亡くなたという話も時々聞きました。
でも、今は、問題なく生まれるのが当たり前であり、出産ってとても簡単なように思われている人は少なくないように感じます。何か問題があるのは特別なことで、責任は病院にあると考える人も少なくないのでしょうね。
このドラマは、出産はとても素敵なことだけで、いろいろな問題もあることをちゃんとテーマにしていて、良いことだでない現実を伝えようとしているように思います。ドラマのように最後はハッピーエンドだけではないと。
問題を抱えて生まれた子も、それがとても稀て特別なことでなくデーターを示していますね。
先生が引退後に経験を本にしたら良いですね。
新たらしいエコーを購入されてということは、あと5年頑張られるのでしょうか。お体に無理なく広島の産婦人科版の寂聴さんを目指してくださいね。
投稿: やんじ | 2015年12月10日 (木) 13時14分
治療仕切り直しするのは辛いと思いますが、頑張ってください。私も一回戦の胚移植は七週目でながれて、二回戦は不発で、三回目で治療が一旦は終わりました。ベテラン先生だとおもいますので、河野先生と赤ちゃんを信じてまっていてください。今はお辛く、なにも考えられないとおもいますがきちんと夜はあけます。それにしても河野先生は、流産は処置をしてるんですね、びっくりしました。信濃町は自然に治るようしましたが、先生によって流産の処置の仕方はちがうんだとおもいました。流産した方の全快と再度の妊娠を祈ります。お大事に。
投稿: 愛ちゃん | 2015年12月10日 (木) 13時24分
河野先生、毎日本当に大変ですね。
診療だけでも相当な労働なのに、休診日には全国へ講演にいかれ、さらにお休みの日にはボランティアで韓国にまで行かれる先生を心底尊敬します。
しかもご自分の給料よりも従業員のボーナスを優先され、総合病院にも設置されていない高額機器を購入される先生、もう涙が出てきます。
世の中の自分の利益しか考えない輩に先生の爪の垢を飲ませたいです。
私も先生を見習って、また前進していきます。
投稿: のぞみ | 2015年12月11日 (金) 19時20分