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昨日の診療。「性同一性障害」の方の本。

 昨日も診療で疲れ果てました。患者さんが多いこともあるけれど、中身が濃い方が多くて。お一人お一人への対応がなかなか大変でした。

 精神疾患の方の妄想に基づいての訴えが、対応が難しいこともあります。妄想だとなぜ分かるのかということもありますが、それはいろいろとあります。診断書を書いてと言われると、とっても難しくて。でも、診断書をもらうのは、患者さんの権利ですので、拒否はできません。ずっとずっとお話を聞いて、そして診断書を書きましたけど、疲れました。

知的障害のある方の、性的徘徊、妊娠を防ぐこと、病気を治療すること。ずっと何とかしなければとご両親とも話してきましたが、やっとやっと対応することができました。なだめなだめIUDを入れました。それまでに、どれだけ病気にかかったことでしょう。妊娠、人工中絶も。こわかったのは、周りが気づかないうちに妊娠が進行してしまうこと。気づいた時には、産まなければならなくなって、というのが一番大変なのです。これで、何とか妊娠は防げそうでが、病気は仕方がありません。かかれば治療の繰り返しです。でも、来てくれればの話です。今回も、病気にかかっているから治療をと言って一年以上経っての来院です。ここまでに多くの男性に病気をうつしていると思います。

そんな中、心がほっとすることもありました。性同一性障害の方の診断書を持っての初めての来院。治療開始。これまでしんどかったでしょう。ゆっくり治療していきましょうね。その方は、お母様と一緒に来られていました。すっかり理解しての来院です。これまで、子どもの性同一性障害で悩んでこられた親子さんはありますが、この方はそうではなく、治療をどうぞよろしくお願いします、ということでした。悩んで悩んだその末に吹っ切れた姿がありました。ご本人もそうですが、ご家族の悩みも相当なものがあります。後は、子どもさんをどうサポートして上げることかということだけです。

Fullsizerender_58 この本は、当事者もそうですが、ご家族に読んで頂くのにもとてもいい本と思います。自分が小さいころからどんな風に悩んで来たか、特に男らしく育てようとする厳しい両親の元で、それがどれだけつらかったか。学校でのいじめ、やがて男子校でみんなに女性として受け入れられていく、そのありがたさ。最終的な治療に向けて、一歩一歩進んで行く、その具体的なこと。今は、彼女も両親がどんなにしんどかったか、思いやることができるようになっています。

この方は、男性の体で心は女性でしたが、反対の方たちにも十分に通用すると思います。

私は以前、彼女が男子校の文化祭で、フランス劇を演じている姿を見たことがあります。その時のこと、そしてその後が詳しく書かれていて、おもしろく、時には、胸が詰まる思いで読みました。以前はテレビにも出ていたように思いますが、今は事務所をやめて、出なくなりましたね。どうしているのか、気になります。次の本を出してくれるといいのですが。


診療に戻ります。 心配していた方の組織診の結果がやっぱりがんだと返って来ました。早く治療の病院に紹介してあげなければ。今年中にちゃんとしたいと思います。

流産の診断がお二人ありました。お一人は不妊治療で妊娠した方です。残念ですが。月曜日と火曜日に手術の予定を入れました。

 そんなこんなで、診療を終えると、どっと疲れてしまって。年賀状の名簿の整理をするつもりだったのが、全然できませんでした。今日、頑張らないと・・・。できれば、京都でのメモリアルキルト展に行きたいと思っていたのですが。それを目指してすべきことをしてきたのですが、昨夜の作業ができなかったので、行けそうにありません。多分、これから頑張ってもダメでしょう。残念です。

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コメント

私も介護の現場にいて時々、障害者施設から老人介護の現場に転職してきた方からの知的障害者の方の性の問題を聞いていたら残酷だと思っておりました。お医者さんもそういう問題は大変なんですね。いろいろおつかれでしょうが、色々ケアしてあげてください。私も椿姫彩乃さん大好きです。あまりメディアにでなくなったので心配してます。私も一回流産しているので、ご本人は本当におつらいかと思います、広島にはまだ専門医が東京みたいにたくさんあるわけではないから、大変ですね。河野先生の出身校の広島大学で見てもらっても構わないのでは。大学病院は大変だけど熱心な先生はいるとおもいます。本当に頑張っていたのに流産はかわいそうだと思います、私も昨年の年を越して今年の3月まで不安でした。治療してできた赤ちゃんがは流産しやすいからねと 私もいわれているので、お気持ちを沈めてまたチャレンジしてください。応援しております。

投稿: 愛ちゃん | 2015年12月20日 (日) 14時35分

流産された方は本当にかわいそうだと思います、私も去年の二月から5月までずっと涙をながしてましたが、治療のやり方を全てかえたら、夜があけました。明けないよるはないから頑張ってください。本当に自然妊娠されて流産された方も本当に無念だと思います、 自然妊娠されて流産したという話初めて伺いました。本当にお二人共にお疲れ様でした、お心をリセットされてまたチャレンジしてください、小金井市から応援してます。主治医から私も成功率は年齢-10と考えてといわれているので治療で妊娠する本当に難しさを肌で感じてます。だけど多くの女性議員に助成金の増額決定を避難するよりも本当に今産婦人科にきて助成金をふやしての声を保育園増設の願いと同じに 扱ってほしいとお手紙をかきましたが、たぶんその女性議員はそのようなお気持ちを理解されぬまま当選されました、本当に成功者こそ議員に助成金の増額願いをつたえなければと奮い立たせました。河野先生と生きる世界は違いますが、やっぱり流産のお話を聞くと助成金増額はまっとうだと感じ自分で議員さんにお願いしにゆく回数をふやそうとおもいます。明けない夜はないから頑張ってください。お疲れ様でした。

投稿: 愛ちゃん | 2015年12月20日 (日) 16時48分

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