男性と女性の更年期1.
先日来度々行なっている「男性と女性の更年期」の講演の中身を少しご紹介したいと思います。いまもまだD.V.で苦しんでいらっしゃる方は後を絶ちませんし、なにより自分がD.V.の被害者だと気付いていない人、自分は妻に対してD.V.の加害者だと気付いていない、いや、D.V.とは何ぞやということも知らない方たちも大勢いらっしゃいます。
そして、D.V.夫婦と気付かないままに生活を送っているかたも。そんな方たちにも聞いて頂きたくて。
まず、体について。女性・男性ホルモンの仕組み、それが変化することで体にどんなことが起こるのか、そしてその治療についてざっと学習した後。体については治療できるのです。でも、更年期の問題は、それだけではありません。
これらが嫌でも突きつけられる時なのですね。いろいろな方たちを診てきて。一番多いのが、2番ですね。自分たちそれぞれが自分のしたいことをして、適当に距離はあっても、同居で生きていくと。1番の方はとても幸せ。子どもも巣立った今、さあ、二人で楽しみましょう!と。
でも、重大な決断をする方も。3番はよほどの方です。たとえ一人で経済的に苦労しても、それでもこれから先は、自分一人で一人のために生きていきたいという・・・。悲しいけれど、熟年離婚です。
同居25年以上の方たちの離婚は、ここ10年で2倍以上に、そして同居30年以上に限って言うと、3倍にも増えています。そして、熟年離婚の特徴は、圧倒的に妻からの申し出によるのですね。夫にとっては、晴天の霹靂。「なぜだ、おれが何をした」ということなのですね。今は亡き映画監督、槙坪夛鶴子さんの「老親」では、「いいえ、あなたはなにもしなかった」と妻が答えました。
私もいろいろな熟年離婚の方たちを見てきました。熟年の性が絡んでいる人も。でも、多くは、やはりDVで苦しんできた人。せめて子どもが巣立つまではと、じっと我慢し続けて。せめてこれからの人生は、との決断です。
これからも人生を、楽しく、充実して生きていくために。それらを少しシリーズでお話したいと思います。
もう10年前、「NPO在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク」による「第11回全国の集いin広島 2005」が開かれました。全国から6000人の方が広島の国際会議場に集った、大変な会でした。そこで、私は一つ講座を持てと言われました。「性」について。これまでこの会で、性が取り上げられることはなかったと。それを引き受けた私は、工夫を凝らしました。
その頃、「老人の性」を大切にしなければということはボツボツ言われてはいたのです。でも、それは男性の性ばかりでした。女性にとっては、閉経して性がつらくなって、でも、お父さんが元気だと、それがつらい、そんな女性の声はまだ取り上げられることはなかったのです。
明日に続きますね。
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コメント
すごく興味があります。そういえば、私の母親は子宮筋腫を子宮ごととったあと父親のDVにくるしんでいたのかもしれません、またDVの当たり散らしを私たちにしていたから、そのお話は興味があります、それが私たち姉妹の十代だったような。すごく、自分の親がDVで苦しんでいたので、さっさと家を飛び出したんです。でも、DVで私が家を飛び出したことは非常にいやがります、子どもを利用します。だから紆余曲折して私が再婚して出産したことが気に入らないようです、自分だけが不幸になったとずっと孫の前でいい始めてます。
投稿: 愛ちゃん | 2015年11月10日 (火) 09時46分
河野先生,いつもブログを読ませて頂いています。今夜アメリカのドラマを見ていて思いました。若いカップルが,いい雰囲気の時,女の子が,ゴム持ってるの,と聞き,男の子が,あー持ってるさ山ほどね,と答えるというところ。こんなシーンは,初めて見たわけではないはずですが,今夜,あ,と思いました。日本のドラマには無いのではないかと。日本の性教育にこのゴムがどう表現されているか,知識の無い私には,解りませんが,たてまえだけの性教育が若者の非婚と少子化にも影響しているのだろうと,遅ればせながら認識しました。先生,政治も,教育も貧しくなっていく時代に,どうやって棹さす事ができるか,傍観者ではいけない時代になってきましたね。じっとしている自分に腹を立てている自分です。
投稿: サクランボジャム | 2015年11月11日 (水) 01時10分