育鵬社の公民教科書について(2)
育鵬社の公民の教科書、突っ込みどころ満載なのですが、もっともいけないこと、これではクラスに何人も必ずいる一人親家庭の子どもか傷つくだろうという心配をします。
『私の家庭と少子高齢化』の項目では、『時代や社会の変化を背景に、個人の多様な生き方が可能になり、また尊重されるようになったことは、家族構成にも影響を与えています。大家族が減って核家族が増え、夫婦世帯・単独世帯も多くなっています。
また、未婚化・晩婚化が進むと共に、一組の夫婦から生まれる子どもの平均数が急速に減少してきました。』
『また、子どもを産み育てることは、人間にとって喜びであり、その営みこそが次の世代、社会を作り上げていきます。しかし、そのためには、自分本位の生活習慣から、家族の一員としての生活習慣への転換も必要です。
少子化を克服するためには、仕事と育児が両立でき、安心して子育てができる環境整備とともに、私たち一人ひとりの意識改革も必要です。
また、高齢化の進む社会を、豊で活力あるものとするためには、高齢者になっても充実した生活が送れるような社会を作っていくことも大切です。健康で元気な高齢者の活躍の場を用意し、その豊かな知識や経験を活かすことによって、社会に新たな貢献をしてもらうこともできます。』
そして、『アニメ「サザエさん」の家族と「ちびまる子ちゃん」の家族の構成をそれぞれ調べてみましょう』という課題が出ています。サザエさんもちびまる子ちゃんも、どちらも三世帯の大家族なのですね。東京書籍では、ちびまる子ちゃんとクレヨンしんちゃんの例が出されています。
「自分本位の生活習慣から、家族の一員としての生活習慣への転換も必要」「私たち一人ひとりの意識改革も必要です」自分本位の生活習慣や、意識改革て何なのでしょう。
ここで思い出すのは、森元総理の暴言です。以下、社民党の抗議文です。
『2003年7月1日
衆議院議員 森 喜朗 様
抗議文
女性の役割を子産み子育てに限定する差別発言に抗議し、
発言の撤回及び謝罪を求める
6月26日、鹿児島市内で開かれた公の討論会において、貴方、森喜朗議員は「子供を沢山作った女性が、将来国がご苦労様でしたといって、面倒を見るのが本来の福祉です。ところが、子供を一人も作らない女性が、好き勝手、と言っちゃなんだけど、自由を謳歌して、楽しんで、年とって・・・税金で面倒見なさいというのは、本当におかしいですよ」と発言した。
この発言を聞いて、連想するのは、戦前・戦時中、「産めよ殖やせよ」が国策であった時代に、国が行った優良多子家庭の表彰、「子宝部隊」の奨励である。当時、女性は子供を産む道具に過ぎなかった。
貴方の発言は、子どもを産まない、産めない女性は、社会の役にたたないと言っているに等しい。女性の役割を、子産み子育てに限定する女性蔑視、女性差別発言にほかならず、日本も批准している女性差別撤廃条約に反している。
また、納税義務を果たしている単身女性を無視する発言であり、全ての国民に公平であるべき福祉の理念を著しく曲解している。国会議員としての資質を著しく欠いた悪質な発言と言わざるを得ない。
社民党は、貴方の発言に強く抗議する。さらに猛省を促し、認識を改めるとともに、発言の撤回及び謝罪を要求する。
社会民主党国会議員一同 』
この教科書を作る人たちも、おそらく子どもを産まない女性のことをこのような意識をもって見ているのだと思います。
『家族の役割』では、『しかし近年では、時代や社会の変化を背景にして、家族の在り方も変わってきました。結婚をしなかったり、離婚による単身者も増え、こうした単身者からなる単独世帯が増加しています。
一方で、祖父母の育児支援が得られやすい、祖父母・親・子の三世代の同居や近居の価値も見直されつつあります』
人は好き好んで一人親家庭になったわけではありません。さまざまな事情があって、なお懸命に子育てをしているひとり親家庭の人たちにとても失礼、その子どもたちをも傷つける表現がいっぱいです。
さらに、『家族の役割」』では、うん?という表現が。『日本国憲法(24条)や民法は、家族についての基本的な原則として「個人の尊厳と両性の本質的平等」と、夫婦互いに協力すること、家族が共に助け合うことを定めています。』
あれえ、憲法24条は、そんなことは言っていません。自民党の憲法改正草案に書かれていること、それを先取り的に行っているのでしょうか。城さんのスライドから。
そして、もっとも情けなくって怒りがわくのが『男女平等と家族の価値』に書かれていることです。明日に続きます。
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コメント
ちびまるこは地方の大家族で高度成長が終わり、バブルの手前の第四次中東戦争の始まりから終わる渦中の自営業の静岡県の家庭であり、商店街が斜陽化していく直前で孫世代が稼業をつがず、会社員になる課程を単行本等を買うと良くわかるのですが、サザエさんは戦後の復興期から高度成長全般です。土台がちがうのがまる子世代として感じます。ただ、テレビ放送はどちらも最近はリピートして放送しているので深く時代背景は分かりにくいですが、バブル経済以後核家族や出生率は落ちてますね、また、祖父母世代とのかかわりかたがサザエさんだと多少温度差があり、なぜ核家族になっていったかが良くわかります。
投稿: 愛ちゃん | 2015年10月30日 (金) 03時46分
失礼だと思いながら、河野先生の意見に同調致します。サザエさんは商店街全盛期でアニメーションや原作でもよく商店街の店先がかいてありますが、ちびまるこはもう商店街が斜陽化していく手前の時代を描くため自分の店をかくしてかかれており、クレヨンしんちゃんは、完全に核家族であります。またクレヨンしんちゃんは自分の子供が障害児であり、その療育を描きながらもやっぱり障害児は育てにくさを感じ作者が自殺したことは、子供が生みにくい育てにくさを感じる時代になってしまった戦後社会を感じてしまいます。横やりをいれていますが、描かれた背景はそんなものだと思っています。
投稿: 愛ちゃん | 2015年10月30日 (金) 04時07分
小学校の教科書でこんな内容をまだ素直な子供たちに植え付けてしまうとは本当に恐ろしいですね。
思想教育、言論統制、情報操作、時代の逆行そのものが着々となされています。
私たちが声を上げていかなければなりませんね。
投稿: のぞみ | 2015年10月30日 (金) 07時19分