卵巣がん治療の新しい展開
8月30日、市がで思春期学会があるのを知りながら、広島での産科婦人科学会、に出席することを選んだのは、四国がんセンター婦人科医長の竹原和宏先生の「卵巣がん治療の新しい展開」の講演を聞きたいのが一番の理由でした。
四国がんセンターには、学生時代の同級生、一緒に婦人科に入局した日浦昌道先生に進行した卵巣がんの患者さんをいつもお願いしていました。広島から松山、大変だけれど、ここまで来ているのを治療してくれるのは、ここしかないと思っていましたので。
でも、その日浦先生が退職され、先日亡くなってしまって。そのあとの四国がんセンターの治療はどうなっているのか、知りたかったのです。
私のような一開業医の現場でも、卵巣がんの方は結構あるものなのです。それが、進行している場合、どこで治療していただくか、それは最終的には患者さんが決めることではありますが、そのための情報提供をどこまでできるか、常に新しい情報を得ておきたいのです。
ちょうど、9月5・6日のリレー・フォーライフで私は女性のがんについて話をすることになっていて、そこでも最新情報をお話ししたいとも思っていました。
お話は素晴らしいものでした。卵巣がん治療の新しい展開のキーワードは「分子標的薬、ゲノム、バイオマーカー、個別化・個別医療、HBOC(遺伝子の病的な変異が原因で、卵巣がんや乳がんを高いリスクで発症する遺伝性腫瘍の一つ)、遺伝性腫瘍」などなど。
卵巣がんの進行記分類が変わったこと、組織学的分類もより詳しく、悪性腫瘍だけで24種類、低悪性度腫瘍で14種類にも分類されること、組織学的異形度もより詳しく変わっていること。それらに伴い、治療のガイドラインもより詳細になっています。進行別の手術術式、化学療法の方法、薬剤も今やたくさんできていて、それらの組み合わせにより、目覚ましい治療効果を上げています。科学療法は、今や良性の細胞も一緒にやっつけてしまう化学療法ではなく、分子標的薬で、がん細胞だけをやっつける、そのような治療法に代わりつつあること、四国がんセンターでも、すでにHBOCの治療も初めていることなどなど。
そして、手術プラス科学療法で卵巣がんにり患する人は増えているけれど、死亡率は、ほとんど増えていないこと、
進行がんであっても、生存率がこのように上がっていること、2005年には5年生存率が50%になっていることなどが語られました。これはまだまだ上がり続けています。
世界中で多くの医学者がこのように積極的に困難ながん治療に取り組んでいること、それが確実に効果を上げていることに改めて敬意を表します。抗がん剤に対して根拠なく「毒だ」といい、多くの患者さんたちを惑わせ続けているドクターがいることがとても残念です。そして、これらの治療を前向きに取り組んでいるドクターがどの病院にいらっしゃるか、それを見極めることも私の大切な仕事でもあります。
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コメント
卵巣ガンのことをいつもきにしてる友達がいます、チョコレート膿疱らしいのですが、私の友達で一つ上です。そのような的確な情報が主治医からあれば嬉しいです。彼女はすべてをあきらめていてかわいそうです。お医者さんを紹介したのですが、ご主人の稼ぎが悪くよい病院にかかれず、悪いことにDV亭主で性病うつされたようです。
投稿: 愛ちゃん | 2015年9月 3日 (木) 10時41分