福島の小児甲状腺がん多発を認める
京都にいます。今日の休診日は福井での講演です。この頃福井などの講演では、京都に途中下車します。日帰りの講演は無理ですし、前夜一気に福井まで行くのは遅くなりすぎなので。でも、京都では、ただホテルにこもって本を読んだりパソコンに向き合ったりするだけで、ああ、もったいないなあと思います。
さて、昨夜京都までの新幹線の中で読んだのが双葉町の井戸川さんの本と、これです。
以前から、福島の子どもたちの甲状腺がんについてここに書いた所、かなりのコメントが来ます。その中には、「親子で離れで生活せよというのですか?」「放射線の影響で一番大切なのは、ニコニコ笑って生活することでしょ?」「親子で離れて生活して、どうしてニコニコできるのですか」というのもあって、びっくりしたものです。
やっぱり福島の事故直後に福島のあちこちで講演をして回った山下俊一氏の「ニコニコ笑っている人には放射線の害は来ません。くよくよしている人に害が来ます。これは動物実験ではっきり証明されています」という、あの講演、これが福島で生活している方たちの拠り所になっていることを実感しました。
そして、さらに「子どもの甲状腺がんが沢山見つかるのは、全員に検査をするからだ」「事故による放射線の影響とは考えられない」と「県民健康調査」の検討委員会「甲状腺検査評価部会」は言って来ました。
そんなの、言い逃れに過ぎない、そもそも子どもの甲状腺癌は、100万人に一人から二人とその山下俊一氏自身が言って来たものです。しかも、チェルノブイリの甲状腺癌は、4年目から増えて来たのに、福島では早すぎるなどとも。
誰が考えても、言い逃れに過ぎない、こんなことを言い続けて来て、やっぱり多いとなった時に、一体どうするのか、どう福島の人たちに言い訳するのだろうと心配していました。チェルノブイリでも、どっと甲状腺がんの子どもが増えて来て、それでも放射能の影響ではないないと言い続け、やっとやっぱりそうだったとみとめたのは、事故後8年経ってからでした。
そして、この5月18日に開かれた委員会で「数十倍のオーダーで多い」と初めて発表されたのです。「オーダーで多い」というこんな分かりにくい言葉を使って発表されたことをこの月刊誌でインタビューも含めて、詳しく解説しています。ドクターたちが、それにしても多いと疑問を持ち始めたと。
先日の川崎での講演にも使ったデータです。
それに、医師へのインタビューの中で語られているのですが、子どもの甲状腺がんの進行は早く、すでに転移している子もいると。一巡目の検査で何もなく、二巡目で見つかった子どもたちのがんの大きさを見ると、とても早く大きくなっていると。
今大切なのは、風評被害と言う言葉でごまかすことでなく、真実を明らかにすること。それらを知ったうえで、自分はどう行動するのかということを自分たちで決めることだと思うのです。ウソやごまかしはもうやめろと、その被害にあっているのは子どもたちなのだと、そう強く思います。
まだ浪江町で被ばくした牛を飼い続けている人のルポ、京都に避難している人たちの訴訟のルポなど、とても読み応えのある本でした。
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コメント
子どもの甲状腺機能障害については色々規制があると感じますよ。前々から、乳児からふくめて十代全年齢の子どもの検査をうけいれ可能な技師と小児内分泌医がいないのと指摘されてきた上の原発事故だから目の上のたんこぶではないでしょうか?報道規制の上での親は無知でいい、医者は選ぶなといういい加減な子育ての土壌があるのでは。赤ちゃんにも生きる権利もあるし、きちんとした甲状腺機能検査をうける権利も存在しますよ。医師とのコミュニケーションが苦手な親子は損するだけだとおもいます。お金をかけて甲状腺検査をするのも視野にいれてみてはいかがでしょうか?
投稿: 愛ちゃん | 2015年7月 2日 (木) 09時49分