日浦昌道先生が亡くなりました。
「8.6ヒロシマ平和の夕べ」のご案内を始めたばかりですが。つらい報告をいただいたので、今日はそちらのご報告をさせて戴きます。
昨日、訃報のFAXが届きました。大学の同級生、一緒に産婦人科に入局し、若い頃は共に学んだ日浦昌道先生が亡くなったと。四国がんセンターで女性のがんの治療に情熱を燃やした人です。
私は、彼の講演を聞きに行って、ここに 書いています。中でも、強く印象にのこっているエピソードをここに転載しますね。
『その昔、広島の学会で、ある大きな病院のドクターが、進行した卵巣がんの症例報告をしました。もう、治療は不可能。QOL( Quality Of Life ) を考えて、家で余生を過ごすようにと、退院してもらったという内容でした。そしたら、彼が手を上げて、「この人は治療できる」といったのです。当時、会場にいた私たち、誰もがびっくりしました。そうか、彼はこういう人の治療に情熱をかけているのか、と感動で鳥肌が立つ思いがしたものです。』
以来、私は、進行した卵巣がんの方は、みなさん四国に行ってもらっていました。めざましい医学の進歩で、特に卵巣がんは、新しい抗がん剤がいくつもできて、それらの組み合わせで治療ができるようになっています。あきらめることなく治療をしてくれて、そして何度か病院に訪ねて行ったこともありますが、病室の雰囲気が明るく、みなさん希望を持って治療に取り組んでいました。そんな雰囲気を作り出すドクターでもありました。
私があることで困り果てて病院に訪ねて行ったとき、また近くで講演をすることがあって訪ねて行ったとき、いつも彼は夜中まで研究室で仕事をしていました。彼には、個人的にもずいぶん助けてもらいました。
呉に講演を聞きに行ったときには、すでに彼はがんに侵されていると知っていました。人のがんの治療を一生懸命して、自分のがんは後回しになってしまったのです。
彼は、沢山の人を助け、そしてアット言う間に駆け抜けて去って行ってしまいました。
沢山の本に名医としてとりあげられていますが、ここに国立四国がんセンターの名医紹介があります。この中の日浦先生の所の写真と文章の一部です。
診察に際して心がけている点 | ①自分の家族と思って診察する ②インフォームド・コンセントは十分な時間を取って行う ③患者さんにとって満足する医療を常に考える。 |
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手術に際して心がけている点 | ①一針入魂を常に養う ②全腫瘍の摘出まで細心の注意を払う ③常に生活の質を考慮した手術を行う。 |
名医の条件 | ①患者さんと同じ目線で話しかける ②患者さんの気持ちに寄り添える ③患者さんが常に安心できるような質の高い医療を 提供できる。 |
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趣味食べ歩き、ワイン、ゴルフ、柔道、俳句、旅行(国外、国内)。 特技どこでも寝られる。 私の健康法①十分に睡眠時間をとる ②ストレスをためず、いつも心を穏やかに保つ ③妻と一緒に美味しい食事を楽しむ。 もし医師でなかったら外国航路の船長。 |
合掌。
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コメント
腫瘍系というのは婦人科系のお医者様だとおもいますが、産婦人科の卵巣がんの若い方に対してべつの支援のあり方がもさくされはじめていますね、卵巣がんや子宮体がんというと、患者では向井千秋さんをおもいだしますが、さすが河野先生のお友達ですね、自分の家族と思って手術するんだという意識はすばらしいし、患者の満足感を重視するというのはすばらしい産婦人科のお医者様です。今本当に産婦人科のドクターで、自分の家族と同等におもうこと、患者の満足感を重視することを棚にあげて結果ばかり重視されるお医者さんがいますが、本当に患者の事を考えてくれてるお医者さんがいるんですね。貴重な人材だったんですね。
投稿: 愛ちゃん | 2015年6月25日 (木) 17時41分