15才のデリヘル
私は今京都にいます。昨夜ここまでやって来ました。今日は福井の中学で講演をします。中学生のうちにしっかりした性の知識を与え、意識を作り、そして賢く行動を選択できるように、そう願いながら話をしてきます。
今度の日曜日、広島市内での講演のご案内をします。
昨日、私は診療していて、久々に涙が出る思いをしました。
中学を卒業したばかりの15才です。いなくなっていたのが、警察に保護されて三か月ぶりに帰宅したと、母親に連れられての来院です。
いない間、デリヘルをしていたと。体はひどいことになっていました。本当にひどい病気をいくつも、もう、ぐちゃぐちゃです。
私の怒りは大人たちに向かいます。どうして、こんな幼い少女を相手にするのか、幼い少女の体を使って金儲けをするのか。教育界の人たちは彼女にどれだけの知識を与えて、意識の形成に力を尽くしてきたのか。
痛い痛いと言いながらも病気は治したい彼女に、話を聞きました。男を相手にして、もらったお金はすべて組織の男たちに取り上げられていたと。自分は一円ももらわなかったと。
精一突っ張っていた彼女が、ふと真顔になって言いました。
「でもね、いい生活をさせてもらったから」と。「どんな生活?」「おいしい物を食べさせてもらったし、欲しい物を買ってもらったし」と。
「だってね、将来あるあなたの体を使って、体をボロボロにさせて、お金を儲けて来たのだもの。ああ、殺されなくってよかったねえ。帰って来てよかったけど。でも、体をちゃんと治さんといけんよ」
そんなことを言いながら、やっぱりと思いました。貧困なのです。子どもを巡る貧困。貧しい中で生きてきた彼女が自分のからだを使ってお金を儲けることをもう知ってしまったのですね。それを思うと涙が出て来たのです。どんなに貧しくとも、自分自身を守らなければならない一線がある、そんな風には考えられないのだと思います。
次業自得と言う人がいます。でも私は、15歳の彼女に病気を防ぐ方法や、危機に面したときに、回避して命を守る知恵やシステムを提供もしないで、ただ使い捨てのように利用して来た大人たちの責任を考えるのです。
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コメント
少女の唯一の救いは河野先生の所にたどり着いたことだと思います。これから心と体をしっかり治すことを望みます。先生まだまだリタイアできませんよ(^O^)/先生がやめたら女性の駆け込み寺がなくなるのですから。。。生涯現役でいてください。そして1人でも多くの子供たちが先生の講演を聴けたらいいですね。
投稿: りーちゃんママ | 2014年12月12日 (金) 15時33分
ほんとうに悲しい出来事です。そして彼女の様な子供が性知識を得られない事がほんとうにもどかしいです。ネットやツイッターでは情報は届かないのでしょうか。直接話しかけないと声は届かないのでしょうか。教育は出来ないのでしょうか。難しいんですよね。
投稿: 一般男性(43) | 2014年12月13日 (土) 12時01分