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山下俊一氏の発言について②震災前の発言

 反論の前に、さらに調べると、山下氏は、この3.11震災前にはこんな講演をしていることが分かりました。チェルノブイリの事故の調査結果についての講演です。2009年3月の講演で、この内容は、日本臨床内科医会会誌第23巻第2号に掲載されています。

『  その結果(チェルノブイリの20万人子供の大規模調査、事故当時0~10歳の子供に、生涯続く甲状腺の発がんリスクがあることを疫学的に、国際的な協調のなかで証明することができました。
 
  一方、日本では思春期を超えた子供の甲状腺がんをまれにみるぐらいです。その頻度は、年間100万人に1人といわれています。これは欧米、日本、ほぼ変わりません。
 
 (エコー検査の結果)われわれも自分の目を疑いました。世界も最初は信じませんでした。しかし1991年以降、徐々にこの数がふえていきました。大人では、結節をさわるとだいたい100人に1人か2人にがんの可能性がありますが、子供の場合には約20%ががんでした。
 そして放射線誘発性の甲状腺がんはすべて乳頭がんでした。これは非常に大きな事実であり、乳頭がんの発生メカニズムを解明できる大きな母集団がここにいるということになります。
 同時に、大人と異なり、小児甲状腺がんの約4割は、この小さい段階(超音波で甲状腺結節を見つけて、1センチ以下、数ミリの結節の事)でみつけてもすでに局所のリンパ節に転移があります。

 ですから、手術の方法はきわめて慎重でなければなりません。
 すなわち、放射線と健康影響を考えるときに、広島、長崎の外部被ばくの様式と異なり、この地域(チェルノブイリ)の一般住民には内部被ばくの放射線影響があることを示唆しています。
 いったん被ばくをした子供たちは生涯続く甲状腺の発がんリスクをもつということも明らかになりました。

 放射性ヨウ素は甲状腺がんの診断や治療にも使いますし、バセドウ病の治療に使っても、その後、甲状腺がん二次発生はありません。大量に使う場合には、甲状腺を破壊しますから、その破壊された甲状腺の細胞からはがんは発生しないことがわかっています。
  ただし、1グレイ、2グレイという線量の被ばくを子供が受けると、明らかに線量依存性になり、甲状腺がんの頻度がふえるということが疫学的に証明されています。
 現在チェルノブイリ周辺では約5000例の子供の甲状腺がんが手術をされましたが、私たちはそのうちの740例しかフォローできていません。(中略)
 これからもがんがおこりうるハイリスクグループの検診活動、早期発見と早期診断を続けて行く必要があると考えています。
  私は2006年チェルノブイリ原発事故20周年にあたり、国連でこの健康影響の報告を一緒にまとめることができました。その結論では、唯一、チェルノブイリの放射線被ばくの住民影響で因果関係が明確になっているのは小児甲状腺がんであるということを、世界中の科学者が再認識しました。
 チェルノブイリの原発事故後の甲状腺がんの遺伝子変異の特徴が明らかにされつつあります。小児甲状腺がんのほとんどは、染色体が二重鎖切断された後、異常な修復で起る再配列がん遺伝子が原因だということがわかりました。
  長崎、広島のデータは、少なくとも、低線量率あるいは高線量率でも発がんのリスクがある一定の潜伏期をもって、そして線量依存性に、さらに言うと被ばく時の年齢依存性にがんリスクが高まるということが判明しています。
  主として20歳未満の人たちで、過剰な放射線を被ばすると、10~100mSvの間で発がんがおこりうるというリスクを否定できません。』

 このような発言をしていた山下氏が、その実績がある故に、人々に信用されるであろうと考えたのかもしれません。でも、山下氏はこう言っています。

『でも神谷さん、あのとき、「低線量被曝の影響がどう出てくるかについては医学の世界では証明されていないので、分からない影響については大いに心配しましょう」と言ったらどうなりましたか。』

 そうではなく、「分からない、わからないから今はできるだけ被曝しないように行動に気をつけましょう」と言えたはずなのですね。それなのに、彼は、「心配いらない、大丈夫だから大いに外で遊びなさい」と、言ったのですね。大人はまだいいのです。問題は「子ども」なのです。その子どもたちにこう言い放って、そして、今になって甲状腺がんの子どもたちが続々と見つかっているのです。

 日本産科婦人科学会は、平成 23 年 3 月 23 日(水曜日)東京都の金町浄水場の水道水に 1kg当たり 210 ベクレルの放射性物質が含まれていると発表されたことを受けて、水道水(軽度汚染水道水と表現)を長期にわたって飲んだ場合の健康への影響について学会の見解を示しました。

『4. これらを総合すると、現時点では妊娠中・授乳中女性が軽度汚染水道水を
連日飲んでも、母体ならびに赤ちゃん(胎児)に健康被害は起こらないと
推定されます。また、授乳を持続しても乳幼児に健康被害は起こらないと
推定されます。
5. しかし、胎児・乳幼児は成人に比べ被曝の影響を受けやすいとされており、
被曝は少ないほど安心です。したがって、軽度汚染水道水以外の飲み水を
利用できる場合には、それらを飲用することをお勧めします。

6. 妊娠中女性は脱水(体の中の水分が不足すること)には特に注意する必要
があります。したがって、のどがかわいた場合は決してがまんせず、水分
を取る必要があります。のどがかわいた場合には、スポーツドリンク、ミ
ネラルウォーター(軟水のもの)、ジュース、牛乳などがお勧めです。』
水道水は飲んでも健康被害は起こらないと推定できるけれど、被曝は少ない方が安心と。水道水以外の飲み水を利用できる場合には、それらを飲用するように、と言っています。

まだ、「にこにこ」「くよくよ」の動物実験についても反論しなければなりません。

 私は、今日から滋賀で行われる「性教育指導セミナー」に行きます。来年は広島がこの会を引き受けます。今日の診療は四方先生にお願いしました。

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コメント

お疲れ様です。

今日の性教育指導セミナーは、ばりばり参加のよていでしたが、仕事が入って行けなくなりましたρ(・・、)残念

滋賀県は、暑いので、気を付けてくださいませm(__)m

今年も、さらば悲しみの性の集団読書はやりました。

コツコツした性教育が私のライフワークです(#^.^#)

先生のお芝居、見たかったです(#^.^#)

投稿: ジェンダーフリー | 2014年7月26日 (土) 23時57分

河野先生。
おはようございます。
市内も蝉が鳴き 風鈴の音と同じく 涼を感じます。
8月6日のYMCA会場に行きたいと予定しております。
私も 落合恵子様は大好きで 尊敬しています。
会場で写真撮影が 許される範囲内で記念に撮りたいと考えています。
その他 色々 先生やスタッフの方のお手伝いもと思っております。
何なりと 私を使って戴ければ嬉しいです。
お弁当・飲み物持参で 会場に行きます。

先生 今夏は各地で気温が上昇傾向です。
どうか ご無理はなるべくされないように して下さいね。

投稿: 雛菊の母 | 2014年7月27日 (日) 08時58分

山下医師が東電にとりこまれたようで、また昨日の朝日新聞の携帯用ニュースをみると、震災後の先天性異常の赤ちゃんの出生率の変化は福島県は全国平均とかわらないとかいてありました、先天性異常はたくさんありますが、先天性代謝異常とは書かないで、先天性異常と書く微妙な報道規制にはあきれたほどです。成人してかなりたつ先天性代謝異常児としてこしぬかしました。

投稿: 愛ちゃん | 2014年7月27日 (日) 13時52分

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