先日の長崎大学の山下俊一氏の発言、「ニコニコ笑っている人には放射線の害は来ません。くよくよしている人には放射線の害は来ます」という発言。さらに「大いに外で遊んでも大丈夫です」と言って回ったと。だから、その講演の後で「なあんだ、心配しなくても大丈夫なんた」と、それまでしていたマスクも講演の後には外して帰ったと。福島から来られた女性にそんな話をききました。
子どもの甲状腺がんまたはがんの疑い(細胞診で幹細胞が見つかったという人)が次々ともう90人も見つかり、手術を受けた子どもも50人を越えるという状況で、「ニコニコ」と「くよくよ」の差があったのでしょうか。改めて怒りがわいてくるのです。
で、一体、どうしてそんな発言をしたのだろう、と。いろいろと探しました。もうずいぶん前の発言です。目にされた方もおありだと思いますが。改めて少しご案内をしたいと思います。
まず、通販生活のインタビュー記事です。ここに あります。この中から抜粋します。インタビューしたのは神谷さだ子さん。
『神谷 被ばくというこれまで経験したことのない恐怖を味わっている最中のお母さんの気持ちとしては「心配することない、大丈夫だ」と断定されればなおさら心配になってしまう。「安心です」と言われるよりも、「どこまで心配したらいいのか」を教えてもらったほうが落ち着くんです。「ニコニコ笑っている人は放射能の影響は受けません」なんて、先生は心配を減らそうとして逆に心配を増殖させました。
山下 当初は僕も必死で、世界の防御基準をもとに、福島県民の恐怖と不安を払拭させることに専念しました。被ばくしたばかりの人たちに話をするのは初体験だったので。いや、弁解はよしましょう、言葉が過ぎてしまったケースについては率直に反省しています。
でも神谷さん、あのとき、「低線量被ばくの影響がどう出てくるかについては医学の世界では照明されていないので、わからない影響については大いに心配しましょう」と言ったらどうなりましたか。正確な情報が政府から発信されていない非常事態での危機管理のむずかしさがありました。
確かに、分からないことについては、もっと心配しようという被ばく者の不安に共感する立場はあって当然です。電力会社は外部の批判を排除し続けたから事故を起こしてしまったわけですものね。同時に一刻も早く被災者の見守り医療の体制をつくっていこうという当事者の立場も理解していたたきたいと思います。』
さらに、ここに ドイツシュピーゲル誌のインタビュー記事があります。これも抜粋しますね。
『シュピーゲル:あなたは福島県から招聘されて、被害地域の住民に放射線リスクを伝える仕事をしてきた。一番最初に「放射線の影響はにこにこ笑ってる人には来ない、くよくよしてる人に来る」とおっしゃったが、あれはどういう意味だったのか。
山下:あれは3月20日の最初の集会でしたね。本当にショックを受けましたよ。皆さんあまりに真面目で、誰も笑わないんですから。
シュ:自分たちの村や町が放射能で汚染されてしまい、目に見えない危険がどんなものかを誰も知らない。そういう反応も当然だと思うが。
山下:皆さん非常に重苦しい雰囲気でした。ラットを使った動物実験からは、ストレスを感じやすいラットほど放射線の影響を受けやすいことが明確にわかっています。放射線の影響下にある人たちにとってストレスは百害あって一利なしです。しかも精神的なストレスは免疫系の働きを抑制するため、ある種のがんや、がん以外の疾患の発症につながるおそれがあります。だからリラックスも大事だと話したのです。
シュ:住民がリラックスしやすいようにと、年間100ミリシーベルト被曝しても大丈夫だともおっしゃっている。通常それは原発労働者の緊急時の被曝上限だと思うが。
山下:100mSvでも大丈夫だから心配いらない、などとは言っていません。ただ、100mSv未満ではがん発症率の上昇が証明できていない、と話しただけです。これは広島、長崎、チェルノブイリの調査から得られた事実です。
シュ:だが、そうやって安心させようとすることが、住民の方々の怒りと恐怖をかえって高めることになるとは思わなかった?
山下:日本政府が年間被曝上限を20mSvに設定したことが、混乱に拍車をかけたと思います。国際放射線防護委員会(ICRP)は、原子力非常事態が起きた際には年間被曝上限を20~100mSvのあいだに設定するよう提言しています。その範囲のどこで線引きをするかは政治的な判断で決まることです。リスクと利益をはかりにかけて考えなくてはいけません。避難するにしてもリスクを伴うからです。放射線防護の観点から見れば、日本政府は最も慎重な方針を選んだのですが、それが皆さんの混乱と不安を高めてしまいました。
シュ:あなたはご自身の数々の発言のため世間で物議をかもしている。あなたを刑事告発したジャーナリストがいるし、反原発の活動家は……
山下:……そういう人たちは科学者ではありません。医師でもなければ放射線の専門家でもない。研究者が研究を積み重ねてきめた国際基準についても何も知りません。皆さんが噂や雑誌や、ツイッターの情報を信じているのを見ると悲しくなります。』
これについての反論を明日述べます。
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