妊娠中の食生活
私のクリニックでは、貧血の検査は即結果が出るようにしています。先日も、ひどく顔色の悪い方があって、急いで検査をした所、なんとヘモグロビンが2.8。もうびっくりで。ここまでひどい方は私の医師歴40年以上でも初めてでした。それも、一人で歩いて受診されるという、うなりたくなるような出来事でした。急ぎ救急車での搬送をお願いしました。救急隊の方はAEDを持って駆けつけて下さいました。ありがたいことです。でも、ご本人はそれほど大変な事態になっているとは思われない様子でまた、またうなりました。なんと強い!!搬送先の病院では、あらかじめ電話で私から血液型を聞き、すぐに輸血ができるように準備をして待ってくださっていました。ありがたいことです。
別件ですが。この頃、妊婦さんの貧血の方が多くて。それも、やせている方に多いのですね。鉄剤をお出しして、それを飲んできても、ちっとも増えていない方が多いのです。
そこで、貧血の方には、食生活を細かく聞くことにしました。今朝、何食べた?お昼は?昨日の晩は?と。そして、改めてびっくりしたのです。
ある妊婦さんの一日の食事です。妊娠の中期、つわりでもない時期の食事です。
朝:レタスと食パン
昼:わかめと梅のうどん
昨晩:たこ焼き
次々と色々な方に聞いてみると、絶句するほど食生活が貧しいのです。朝はパンとお茶とか、バナナだけとか、ごはんと梅干とか。
これでは、貧血になるのも無理はありません。鉄分を気を付けて取るようにしているのだけどという方に、気をつけて何を食べてる?と聞くと、「ほうれん草とか小松菜とか」という返事です。
やはり動物性蛋白質が取れていません。野菜を食べるとヘルシー、それは動物性蛋白質を食べるなということではありません。これではご本人が貧血になるだけでなく、赤ちゃんの体を作ることも不十分になります。
ネットで見ても、妊婦の食事で検索すると、いかにダイエットをするかという記事の多いこと。妊婦はダイエットをしなさいというのが一人歩きしていることがよく分かります。
私は、母子手帳の「妊娠中と産後の食事の目安」というページを開いて、改めてお話しをします。
この厚生労働省の指導に加えて、広島市のページには、一日の具体的なメニューが少し出ています。
母子手帳をコピーしてそれを接写したので、きれいな写真でなくってすみません。
これは、非妊娠時で、妊娠中中期にはこれに更に加えなければなりません。
朝は、パンとレタスだけでなく、ハムエッグと牛乳も食べるとか、晩御飯にはお肉をちゃんと食べるとか、というふうに話すと目が丸くなります。
これまで次々と聞いていても、どうしたことか、牛乳と卵が全く出てきません。
こんなことを言うと、アレルギーの人は、などと反論が来ます。それは個別の事情で配慮が必要なのは当然の事。でも、卵アレルギーがないのに、妊婦は卵を食べない様になどという情報がこれも一人歩きしていて困ったことです。
若い女性のダイエット、スポーツをする子どもへの厳しいウェイトトレーニング、これらによって無月経となる女性たち、それに加えて妊婦のダイエットに異議ありと言わなければならなくなりました。
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コメント
私は、今日の河野美代子先生のブログにかいてあるような、食生活だと個人的におもいます。実は血液検査の結果は散々なもので、主人はメタボだから男性不妊と指摘をうけ、かなり食生活の改善が必要で真っ青になり頭を抱えてます。野菜は温野菜に勤務は深夜にかえってくるので夕食は控えめにとらせる、サラダはいつも冷野菜だからだめなのは先生のブログを改めてみてやっぱり食生活か。どうやって次回採卵まで体重を落とすか日々の献立の再検討を迫られ今日からやりはじめました。コーヒーから紅茶に変更、良質なたんぱく質。食べ過ぎをさけるなど、かなりヘビーな指摘が主治医からあり。現実の難しさを感じます。食生活を改めてゆきたいです。私は私でFSHがたかくLHが低い、金曜日は至急AMHや高プロラクチンなどをはかるはめに採血の決定がでたのはやっぱり食生活なのかと悔やみます。河野先生からご指摘をいただいた感じで感謝します。
投稿: 愛ちゃん | 2014年5月14日 (水) 09時42分
記事とはまったくちがいますが、
近藤紘子さんが、平和活動を認められ、大リーグのセントラルカージナルスで始球式をされたそうですね。
投稿: やんじ | 2014年5月14日 (水) 10時16分
健康診断で貧血と診断され、先生に対処法を訊ねたら「肉を食べなさい」と言われた理由がわかりました。
投稿: きぃ | 2014年5月14日 (水) 13時33分
私も、西条に帰省していて偶然拝見できました。
近藤さんの お人柄が一目で伝わって来ました。
永年の平和への取り組みと 河野先生との命の継承への
ご尽力を想い 感慨深いものがありました。
きっと谷本牧師さまも 天国でほほ笑んでいらしたことでしょう。
投稿: yuumin | 2014年5月15日 (木) 07時53分
一瞬 私のこと?って思う 食生活(笑)
長女のときは 8か月までつわりがひどくて
食べていたものは 豆腐のみ もともと 肉が苦手だったから レバーなんて とんでもなく。
鉄剤も受け付けずで 注射に通ったものです
結局 生まれてきた長女は 血液はとても薄くて
(鉄分が半分しかないって言われました)心臓も貧血のためにうまく動かなくて ミルクも飲まない状態で
小児科通いになりました
このとき 妊婦の貧血って怖いって 身にしみたものです。
投稿: はるめ | 2014年5月15日 (木) 10時48分
愛ちゃんさま
そうですねえ、お連れ合いの食生活と、ご自分のとを切り離して考えなければならないようですね。大変ですね。でも、食は生きる基本。楽しみながら、十分な栄養を取られますように。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2014年5月19日 (月) 08時02分
やんじさま yuuuminさま
はい、近藤さんから始球式をすると聞いた時、キャッチャーまで届かないで、途中で止まってしまうことがないように、しっかり投げる練習をしてね、と話しました。テレビのニュースもみましたが、今の記者さんたちは、「谷本清牧師」というのは、知らないことなのだろうなと思いました。アメリカでは、広く知られた名前なのですが。NHKのニュースでは、お父様の名前や近藤さんがその長女さんだということが語られなかったので、びっくりしました。来週お会いしますので、おみやげ話を聞かせてもらいます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2014年5月19日 (月) 08時06分
きぃさま
はい、しっかり食べて下さいね。食は、生きることそのものです。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2014年5月19日 (月) 08時11分
はるめさま
そうだったのですね。でも、はるめさんの場合はつわりのためだったので、母子ともども可哀そうでしたね。妊婦さんは、自分のためだけでなく、お腹の赤ちゃんの体を作るために食べなければならないという役目がありますので。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2014年5月19日 (月) 08時13分