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2014年8.6.ヒロシマ平和の夕べチラシから6.

 昨日もうに続いてもう少し、水戸喜世子さんの『特別寄稿「原発は滅びゆく恐竜である」発刊に寄せて――水戸巌と息子たち――』から感動した一文を転載させて頂きます。

『警察に呼び出されて夫や息子の遺体と対面した時でも涙ひとつ出なかった。現実が理解できずに。だが今、あなたの予言通り原子炉は爆発し、猛烈な放射能を噴出し、福島の人々を地獄に叩き込もうとしているのにあなたは姿をあらわさない。ありえないと思った。あなたなら、絶対に救ってくれるはずだ。悔しく、不在が恐ろしく、はじめて涙が堰を切ったように押し寄せて止まらない。

 たった一人官邸に乗り込み、自分たちを参加させろ!と菅総理に要求を突き付けている巌が夢の中に出てきた。でも二度とは夢にもあらわれなくなった。遭難以来初めての衝撃的な喪失感だった。

 個人的な心配事にも心を奪われていた。巌の眠る墓から1キロほどのところに小さな牧場を営みながら巌の叔母家族が暮らしている。巌が小学時代に疎開した地。福島県相馬郡新地町杉の目。我が家の子供たちが夏休みを過ごした大好きな場所。三輪トラックで牧草刈りに連れていってもらって、帰りには草の中にもぐりこんで呆れるほどはしゃぎまわった大切な思い出の地。子牛の愛らしさを娘の心に植えつけてくれた小さな水戸牧場は、事故直後電話も手紙も通じなくなった。娘とネットで伝言板にメッセージを発信し返事を待った。突然、待ちに待った応答が見知らぬ方から届いた。その嬉しさは、ネットの威力とともに永遠に忘れないだろうと思う。「杉の目の水戸牧場は無事ですよ」と告げ、「もしかして水戸巌さんのご家族ではないですか。水戸さんが講演で来られた時の資料を必死に探しているところです」と付け加えてあった。

 さりげないこの付け足しの一言に心臓が高鳴った。福島で講演した時のレジュメのことを言っておられるのだろうか?水戸はこんな形でフクシマを守って生きていた。3.11以来初めて心に灯りがさしこんだ。

 仙台空港の開通を待って娘と二人で新地を訪ねた。変わり果てた風景も衝撃だったが、もっと衝撃だったのは人々の表情の重苦しさだった。90歳近い叔母は妊婦と幼子の健康をひたすら気遣い仙台の親戚に避難。70代の従弟は、牛乳の出荷停止で搾乳しては捨てる日々が続いていた。「同じ組合の飯館と比べれば、うちはまだましだから」、「巌ちゃんの言うとおりになってしまったねえ」と言葉にならない。今すぐにでも牧場ごと過疎の地を選んで引っ越してほしいと願うが、村を見捨てて自分だけ脱出するなどということは決してできない人たちだ。』

 昨日、福井地裁の大飯原発再稼働差し止めの判決が出、その判決文の名文に涙が出るほど感動しました。そしてこの水戸喜世子さんの文章もまた涙ぐみながら転記させて戴きながら、一部だけでなく、全ての文章をみなさまにも読んで欲しいと思いました。

 感動する記述が沢山あります。ここに転記した以外にも、進路に悩んでいる息子さんに、父親として書いた長い手紙、そのアドバイスの素晴らしさ!!私は親として子どもたちにこんなアドバイスをすることはできなかったなあ、まして、夫はもっとひどかったなあ、なんて。

 水戸巌さんは、やっぱりすごい人だった、そして、ともすれば絶望的になる今の世情ではありますが、この「原発は滅びゆく恐竜である」が時を経て出版されたこと、そして今回の地裁の判決のように、まだまだ日本も捨てたものではないこともあると、改めて感じています。

 今年の8.6.。水戸喜世子さんがお話して下さいます。すべてのゲストに、たっぷりの時間をかけて語って戴きたいのですが・・・。限られた時間の中で、水戸喜世子さんには、どの部分を話して戴けるのか、大変楽しみでもあります。改めて、今年の顔ぶれはすごい!!と自負しています。

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コメント

水戸きよこさんも避難のついでに妊婦さんにかかわっていろいろな不安もおありだったのですね、妊婦さんや妊活主婦の希望にはそえない原発との共存共栄はできないし、未来はくらいし、ましてや妊婦さんや妊活主婦を診察する産婦人科の多くのドクターだって責任もって出産までもっていけません、国は控訴するようですが、女性の人権や生き方を考えない国や労組のあり方には疑問点があります。すごくうまれてくる生命にたいしてもきちんと責任がとれない社会を促進させないためにも反原発だとおもいます、本当にもう一度女性は赤ちゃんうむ機能があるからこそ反原発を唱えていかないといけないし、それをつぶしてもいけないけれどいびつな男社会だから反原発に時間がかかると実感して、個人的にも反原発は正しいと感じます。

投稿: 愛ちゃん | 2014年5月22日 (木) 13時55分

先生、見落としているのですが、この、広島のは何時開演ですか?とっても、魅力的で、参加したいなとおおってるのです。

投稿: | 2014年5月22日 (木) 21時13分

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