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低用量ピルの副作用④血栓症について、さらに。

 これらの血栓症のリスクは低用量ピル・OCはどれでも同じなのですが、この度、ヤーズが大きく報道されたのは、ヤーズが保険適応の薬であるということも一因でしょう。ヤーズは、欧米では低用量ピルとされていますが、日本では、「保険の効く低用量ピル」よりも、「月経痛治療薬」として認可されています。その「治療薬」で血栓による死亡が出たということで、大騒ぎになりました。

 でも、繰り返しますが、ほかのOCでもそのリスクは同じなのです。

Photo 厚労省の指示により、製薬会社では、このようなカードを作り、処方している医師を通じて、内服している方に配ることになりました。これを渡す時に、再度血栓症について説明をし、注意を喚起しています。このカードの裏には、「医療機関の方へ」と印刷され、「この方は、○○から、ヤーズを服用しています」と書かれています。

 しかも、この血栓症は、長くOCを内服している人に起こるのではなく、そのリスクは、飲み始めて程なく3ヵ月以内に起こることが多いのですね。そして、いったん止めてまた内服する時にもまたはじめと同じリスクに戻ってしまいます。今回の報道以来、いったん止めてみたいという患者さんが結構あります。

以下、私たちと同じネットワークで蓮尾豊先生のメール相談の例を転載させて頂きます。とても配慮が行き届いた回答と思いますので。

『○○に住んでいます。22歳でヤーズを服用しています。服用し始めた

のは、2.3年前からです。副作用などはまったくありませんでした。

今、ヤーズが話題になっていて怖くなっています。親から、とりあえず、一回

やめてみたら?飲むのを辞めてみて、生理痛がどれくらいのもので、ピルが必要

かもう一回悩んでみたら?という意見も家族の中であります

ヤーズを飲むようになってから生理痛はすごく楽になっています。

 一回やめてみて、やっぱり無理やったから、もう一回飲み始めるというのは可

能でしょうか?

辞める際はどの様に辞めるべきでしょうか?

どこに相談したらいいのかわからず、不安でした。よかったら相談にのってく

ださい。

【以下が私の回答です】

お問い合わせの方へ

ヤーズによる血栓症のことがNHKや新聞で報道され、すごく不安が広がっています

ね。しかし、報道は一方向のみから見たものであり、一般の方が読んだり見たり

すると誤解するのではと、私たちもとても心配しています。何故なら、全く副作

用もなく、ピルを飲んで確実な避妊だけでなく生理痛の改善や多くのメリットを

感じている女性まで服用を止めては本当にもったいないと思っているからです。

 

あなたの質問に対する回答に移ります。

 

まずあなたがヤーズを飲む必要があり、ヤーズにより月経痛の改善がみられてお

り、今何の症状もなければ止めるべきではないと思います。

もちろん止める場合には、ヤーズを含めたピルはいつ止めてもいいのです。シー

トの途中で止めてもその分、生理が早く来るだけで何の問題もありません。

 

ピルによる血栓症は、例外はありますが多くは飲み始めて3ヵ月以内に起きるこ

とが多いのです。今回の3人の方はこれ以上の服用期間の方もいますが、血栓症

はピルだけが原因で起きる病気ではないので、いろんなケースはあります。

あなたは2年間服用しているのでリスクはとても少なくなっています。

止めない方がいい理由はもう一つあります。一度止めて、再開する場合には、ま

た飲み始めにリスクが高まるのです。このことからも、リスクが減少している今

の時期に止めるのではなく、継続することをお勧めします。

 

実は血栓症はピル以外にもとても多い病気なのです。

 

2012年に公表された米国の有名なデータがあります。

 

ピルを飲んでいない女性10,000人の中で1年間に血栓症になる女性は1~5人で

す。ピルを飲むと3~9人に増えます。しかし、妊娠初期では5~20人に増え、

お産の後の12週間は何と4065人にも増えるのです。

そしてタバコとピルの比較では、ピルの死亡リスクを1にすると、タバコは167

というWHOの有名な報告があるのです。ピル服用者の血栓症はニュースで流れ、喫

煙女性が血栓症になってもニュースにならないのは何故なのでしょうか?

こんなこともよく考えて下さい。

 

もちろんピルを飲んでいる時にはわずかに血栓症のリスクは高くなりますから、

次の5つの症状には注意して下さい。喫煙者、肥満、高齢者、長時間の航空機な

どの場合は、ピルを飲んでいない人でもこの5つの症状は大事です。

 

1.強い腹痛(普通の腹痛でなく、転げ回るほどの)

2.胸の痛み(これも胸の強い痛みで息苦しさを伴うもの)

3.頭痛(普通ある頭痛でなく、視野の狭窄や光がちらつくなど)

4.視覚障害(これも視野の狭窄やものの見え方がおかしいなど)

5.強いふくらはぎの痛み(足が張る程度ではなく、すごく強い痛みであり、痛

  い方の足が腫れている、皮膚に変色が見られるなど)

 

これらの症状があったときにはヤーズの服用を中止し、主治医にすぐに連絡をと

って下さい。または、内科、できれば循環器を専門にしている内科を受診し、ピ

ルを服用していることを伝えて診察を受けて下さい。

 

この様なことを覚えておけば万が一の場合でも重症化することはまずありません。

欧米では日本よりも血栓症が多いにもかかわらず、1552%くらいの女性が今日

もピルを飲んでいるのです。』

以上、引用終わります。この項、まだ続きます。

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コメント

ピルがいけないのではなく、ピルをのんでいたのに途中でやめてまた再開したなどの行為と血栓症という病気の疾患理解が必要なんですね、血栓症は誰でもなる意識とか、なりやすい生活歴や身体状況などもありますよと報道されてればいけないなとおもいます。医療事故が多発するのが産婦人科だなとおもいます。実は今まで産婦人科の医療事故でお子さんが脳性麻痺になったというケースを担当したことがありますが、産婦人科にかかる患者としては、今自分はなんで産婦人科に来ないのかを意識するとともにそれに関係する合併症への勉強が必要なんだなとかんじます、産婦人科がへるなか、やっぱり産婦人科をへらしてお医者さんが現場にもどってこれないほどの激務を考えると原因は患者我々にあるなとおもいます。朝早く都内にいっておうちに戻ってくるのは夕方とかいう生活を作ってしまってるのは患者に原因があるとつくづく感じます。

投稿: 愛ちゃん | 2014年3月 2日 (日) 10時11分

私はピルの服用がもう7~8年になります。飲み始めは強烈な吐き気などに3ヶ月も悩まされましたが、慣れたら本当に体が楽で、とてもありがたいです。
40歳の声を聞くころから、体調がよくないことが多くなりました。でも、ピルのおかげで毎月先生に悩み相談をして、乗り切ることができました。更年期でなくとも、ホルモンバランスで体調不良に悩む女性は多いと思います。もっと気軽に婦人科に足を運ぶ世の中になればいいのに。
ピルへの誤解も、そういうところから来ているんだと思いますね。ピルの処方は婦人科でなくてもいいので、あまり副作用等の知識がない医師が処方している場合もあるようだし、ネットで購入する人もいるそうです。
自分の体に吸収するものだから、リスクもしっかり理解するべきだと思いますが、日本人は危機感が足りないですね。情報に躍らされず、きちんと調べて判断する力を身につけて欲しいものです。

投稿: きぃ | 2014年3月 2日 (日) 10時36分

きぃさんのお話しを伺い思い出したことがあります、独身時代から妊活がおわるまで実は、排卵期から生理日4日位までひどいPMSに悩まされ2日位寝たきりなったことがあり、産婦人科に通うことに頭の中でいくべきかかなり葛藤してました。特に独身時代は独身時代がおわるまで葛藤してました。生理痛でも通うほうがよかったのかときいさんのお話しを伺いながらかんじました。正直に言えば中絶したあと産婦人科への不信感がつのりいきたくない、怖かったから結局自分の心の中にある産婦人科への偏見にまけていたなとかんじました。まけていたから通算百万の出費の上の妊娠でした、改めて産婦人科に通うことにたいする若かったときへの誤解がくやみます。若い人には生理痛を一人で抱え込まないでほしいと感じます。日本には若いときから女の子が一人で産婦人科いってだらしないというふうに女の子を育てますからそのうえ中絶したあとはそのまま通わないケースはあるなと今は感じます通いたくないし医師への不信感や罪悪感あるからこそこれっきり通いたくない。だから人生あきらめてきた部分もありますでも諦めきれなかった。女性自身の産婦人科への敷居がたかいとおもわない風潮をつくれたらとかんじます。

投稿: 愛ちゃん | 2014年3月 2日 (日) 19時48分

娘は5年ピルを服用しています。主治医にピルのことや体の仕組みなど丁寧に話してもらいました。理解して服用することはとても必要と思います。不安がなくなりますね。ピルについてのおはなしありがとうございました。

投稿: アレメイママ | 2014年3月 2日 (日) 22時20分

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