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「貧困・家族」について②広島少女殺害事件

 永山則夫は小さい頃、姉におんぶされて海岸に行ったことを覚えています。優しいおねえさんだったと。でも、その姉は、婚約破棄となり、身ごもっていた子を中絶し、心を病んで精神病院に入院します。その姉の病んだ状態をも語りました。

 幼い子たちだけを連れて母は実家に帰ってしまいました。則夫は兄たちに「俺らは捨てられたんだ」と教えられました。

 その母も実は虐待されて育った子でした。虐待の連鎖、貧困の連鎖です。また、避妊と言う手段も知らないままに、身ごもっては産みを繰り返し、その夫もばくちにおぼれ、やがて家には帰らなくなります。行商をしながら、懸命に10人の子どもたちを育てようとしますが。

 見ていて、息苦しくなりました。彼のこの告白は、裁判で採用されませんでした。当時の裁判官は、「こんなのを読んだら、死刑にはできなかった」と振り返ります。彼の裁判には、はじめから「死刑ありき」だったことが分かります。

 彼が逮捕され、収容された後、なにも語りませんでしたが、それでも、ノートに難しい漢字と時々詩を書いているのを知り、これは、ということでこの鑑定の作業が取り組まれました。画面に出たのは、ほんとうに難しい漢字と、「みみず」という詩でした。みずからをミミズに例えたのでしょう。これも息苦しくなるような詩でした。

 彼は、おそらくここまで自分自身を語ったのは、初めての経験ではないでしょうか。淡々と、言葉をつくしながら、細かく語ります。

 生きる場所がなかった彼が、心を開き、心のひだを語ることによって、なぜこのような犯罪を犯すように至ったかを、私たちに突きつけました。

 私が今回このようなことを書かなければと思ったのは、同じようなことを目にすることが重なったからでもあります。

 昨年7月、広島で少女殺害事件が起こりました。灰が峰の山に少女の遺体を捨てた、その事件です。多くの少年少女が逮捕されました。その背後には、少女たちの風俗の問題がありました。その少女を相手とする風俗のことで、私は仲間たちと語り合いました。そしたら、一人の人から、その背景には「貧困がある」と指摘されました。

 ああ、一人で生きるしかなくなった少女たちが、自分で生きるためにお金を得る手段として風俗を知ったところで、だれが咎められようかと思いました。もちろん、幼い彼女たちが、全く無防備なままで大人たちの性の相手をしなければならない、その危険性は存在し続けますが。

 そんな時、毎日新聞に「漂流する10代」とするシリーズが出ました。第一回目「いつもひとりぼっち」は、この少女殺害事件で逮捕された一人の少女が取り上げられていました。

「お母さんにほめられたくて家の掃除もした。妹の面倒もみた。でも、いつもたたかれてばかりだった。私もお母さんと一緒に住みたかった。認められたかった」

という少女の言葉から始まるシリーズでした。貧しさと虐待。永山則夫氏の事件と時を経て、でも、全く同じことがこの社会の中には存在し続けています。

 

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コメント

昨日河野先生のブログを拝読したあと、永山氏のWikipediaを拝見しましたら、永山氏の母上と兄弟姉妹の方々の面々虐待の被害者であることは間違いないとおもいます。またお姉さまの婚約破棄は本当にかわいそうです、現代であったならば、みごもっていたなら、女性が法律家に訴えて慰謝料をとることもできたでしょう、また婚約中であっても避妊の必要性があるのかと感じながらもせめて中絶費用やメンタルケアの費用もいただけたのではと感じます。また現代の産婦人科のなかでは 中絶後メンタルケアの部分も必要だから中には心療内科も兼ねた部分のクリニックもあるときき、大変おどろきます、本当は中絶時に避妊支援だけではなくメンタルケアもやってくださるお医者様が増えて欲しいと実は願っていました。また中学卒業後高校や専門学校中退となると、やっぱり女の子は仕方なく風俗業界にはいらざるえないです、普通の仕事に就業したくても学歴がないから難しくまた家庭や家族の支援が中退したらうけにくく、中退することじたい親にうざかれる私の母方のいとこをみてきて納得してしまいます、母方のいとこも母親からネグレクトうけており、高校中退後定時制にはいる少しの間やっぱり風俗業界にはいらざるえなかったようです。やっぱり永山氏の事件をおもうとご両親の罪は思いのと、お姉さんの中絶の話を伺い女性は中絶したら心身ともつらい、また中絶しないですむように、男女とも避妊の義務を徹底的に遵守し、もし中絶することになっても周囲がきちんと新しい未来を女性自身がつくれるようになるまで見守ってほしい。また、産めばよいという美徳はなく、状況によっては中絶をえらばざるえないから避妊をしなければならないことを頭にいれた社会にしなければ本当に男女平等ではないとおもいます。わたしは風俗業界にもいて中絶もしたから偉そうなこといえないが 中絶は女性仕方なく虐待の回避のために行っています。中絶した悔しさもどかしさが今の私のエネルギーになって悔しさを克服して明るい未来をつくる準備をしてます、だからこそ若いかたには避妊をしなければならないことを訴えていくとともに馴染みの産婦人科をつくり未来を見据えられる環境作りや検診など頑張ってほしい。三十五歳という曲がり角をむかえて はじめて望む妊娠がこんなにきついがうれしいのははじめてです。永山氏の冥福を祈ります。

投稿: 愛ちゃん | 2014年1月21日 (火) 10時05分

8年前、畠山鈴香の子殺し事件の時、貧困やネグレクトの連鎖も事件の原因の一部だと思う。
とブログでえ書いた。すると夜の間に「貧しく育ったら殺人者になるのですか?」とか
「歯科医の子供でも人を殺しているじゃないですか」とか
ものすごい数の抗議のコメントで炎上してました。少人数(あるいは1人かも)なのですが
コメント返しも馬鹿らしく、うんざりしてブログを閉じたことを思い出します。

「貧しさ」「虐待」が連鎖することは今ではみなさん当たり前の意見として
受け取ってもらえますが。たった8年前はそれを書いたら炎上しました。

また、ちゃんとしたドクターに意見だから説得力もあるんですけどね。

投稿: ⑦パパ | 2014年1月21日 (火) 15時42分

貧しさや虐待の中で育つと、心が荒み犯罪を犯しやすくなるのかもしれませんね。
でも、もし、人の関わりの中で、そこから救ってくれるような、考え方を変えることができるような人と出会えていたらと思います。
犯罪を起こそうとするときに、誰かの顔を思い浮かべ、その人のことを思うことで犯罪を留まることができるかも。
誰かとは、親や家族の顔か、もしくは出会えた人の顔。
そんな人間関係を持てなかったことが、罪を犯す不幸なのかもと思います。貧しくなくっても。

投稿: やんじ | 2014年1月22日 (水) 00時34分

永山さんの事件は私が司法試験受験生時代の判決でした。
高裁で無期の判決が出たときは,最高裁で破棄されることは分かっていましたが,私も衝撃を受けました。
結局,「赤貧洗うがごとき」生活をしたが,兄弟でほかに犯罪行為を行ったものがいないことが指摘され,永山さん個人の資質として片づけられたようでしたね。

投稿: もみじ日記 | 2014年1月22日 (水) 01時08分

片山さつきさんの発言にある舛添要一さんのこと、詳しくをコメントでお知らせくださって有り難うございました。「甘口」の もみじ日記さん も知らなかったと言っておられました。

情報通のうちの奥方も知らなかったようで 「まあ 舛添さんはそんなに薄情な人なんよね」 と驚いていました。

投稿: ちょっと辛口 | 2014年1月22日 (水) 07時40分

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