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2014年「ヒロシマ平和の夕べ」③初めての被爆女性大会

 1948年夏8月6日、市民約千人のデモ行動に続く8月10日には労働省婦人少年局広島職員室主催で、初めての被爆女性大会が市内で開かれました。

 今日は、その続きを。

『大会は「原爆」「被爆」の文字を伏せ「広島県下傷痍婦人協力大会」と呼称する慎重さで、参加者は八人にとどまったが、①国家的に医療研究を取り上げ、全力を注がれんことを望む ②実費診療並びに半年に一回の無料健康診断を望む ③生活困窮者に対してはとくにその救済対策を望む、など六項目の要求を決議文としてまとめ、芦田首相(当時)に送付した。当時、医療援護、生活援護などの被爆者対策を政府に要求するのは極めて勇気のいる行動だった。大会参加者はその後、被爆女性団体の結成に奔走。GHQの圧力で実現はみなかったが、被爆者援護要求を視点に据えた行動は被爆者を勇気づけた。

 ほかにも、被爆者援護要求の動きはいくつか見られた。身心ともに劣悪な状況下で、ただひたすら我慢というわけにはいかなかったのである。

 背景には、アメリカの研究機関「原爆障害調査委員会」(ABCC)の姿勢に対する怒りもあった。ABCCは1947年(昭和22年)3月から広島赤十字病院で被爆者の血液検査を始め、研究が本格化すると、原爆で亡くなった人の病理解剖や臓器提供まで求めるようになった。被爆者や遺族はその成果が治療や研究に役立てられるものと期待していたが、ABCCは検査結果や治療法などについて一切明らかにしなかった。そのため、被爆者の間で「ABCCは被爆者をモルモット扱いしている」との批判が高まり、それが怒り、憤りとなって表面化してきていたのだ。

 加えて、国際情勢の急速な変化も被爆者の動きを加速させた。』

 また続きます。

    +++++++++++++++++++++

 私は、しつこい風邪に見舞われ、なかなか解熱しないため、昨日は、耳鼻科のドクターに診てもらいました。咽頭炎で、強力に、ふつうの二倍の量の抗生物質が必要と、処方してもらいました。ボルタレンが切れると、熱が出て、のどが猛烈に痛みます。抗生物質が効きますように。昨夜は、何年ぶりかで、睡眠薬を飲んで寝ました。朝まで一気に眠れました。

 今日の診療後から秋田に向けて新幹線に乗ります。せめて熱が下がりますように。

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2014年「ヒロシマ平和の夕べ」②ブレス・コード

 昨日は、診療中に急に寒くなって、がたがた震えが来ました。寒い寒いと言っても、スタッフはケロッとしています。寒いのは、私だけかと、これはまた熱なのかと体温を測ると、38度3分。あわててまたボルタレンを飲みましたが、そのうち、顔が赤くなり、眼と耳が真っ赤になりました。耳が赤いというのは、なんだか恥ずかしいものです。顔は、半分はマスクで隠していますので、患者さんにはほとんど気づかれないで過ごせました。

 念のためにしたインフルエンザテストは陰性、白血球は12000。診療が終わる頃、だんだんと体が楽になって来ました。 

 まだボルタレンが効くのでありがたいことです。しかし、夜中に苦しくて目が覚めました。3時半です。熱を測ると、また38度。またまたボルタレンです。

 こんなに熱が続くのは、めったにないことです。

 今日が休みでありがたいことです。しなければならないことは満載ですが、診療をしなくてもいいのと、講演も入れてなくってよかったです。講演は、この週末からラッシュです。

 それまでに何とか体調を戻さなければ。

    ++++++++++++++++++++++++++

 さて、休んでばかりもいられません。今年の「8.6ヒロシマ平和の夕べ」です。

 原爆投下の後、大変な惨事ですが、これらは、報道が禁じられました。一昨日に続いて、「核兵器のない明日を願って」から引用します。

『 第一節  原爆からの再生

 原爆で地獄と化したヒロシマ。「無」からの再生は困難を極めた。しかし、被爆者は悲しみの涙を拭い、原爆症と闘いながら着実に前進した。その生きざまは「人間の強さ」と「命の尊厳さ」の教示だった――――。

 

プレス・コードに抗して

 広島の原爆投下から3日後、二つ目の原爆が長崎に投下され、長崎の街もまた廃墟と化した。しかし、広島、長崎の被害状況の公表は、軍部によって一切封じられた。本土決戦を構えていた軍部は、原爆の惨禍を公表すると、国民の戦争士気に悪影響を及ぼすと考えたのである。8月15日に敗戦を迎え、その規制が解かれると、マスコミは両市の被害状況を一斉に報道し始めた。ところが、すぐに新たな規制がかかった。GHQ(連合総司令部)が9月19日に指令した「日本ニ与ウル新聞規制」(プレス・コード)である。

 プレス・コードは「直接又ハ間接公安ヲ害スル惧アル事項ヲ印刷スルコトヲ得ズ」「連合国ニ対スル虚偽又ハ破壊的批評ヲ行ハザルベシ」「連合国占領軍ニ対スル破壊的批評及ビ軍隊不信若ハ憤激ヲ招ク惧アル何事モ為サザルベシ」など十項目からなり、新聞だけでなく出版物全般に及ぶ絶対的規制であった。放送には同じ内容の「ラジオ・コード」が指令された。

 GHQは、中でも原爆問題には厳しい監視の目を光らせた。占領政策に悪影響することへの懸念と共に、原爆に関する一切を秘密保持する軍事的意図によるものだった。原爆に関する検閲は、プレス・コードが「原爆報道規制」と言われたほど微に入り、原爆に関する報道は事実上出来なくなった。いやそればかりか、被爆者が「原爆」を口にすることさえ難しくなった。

 しかし、家族や知人が次々と原爆症に倒れて行く中で、被爆者はとても口をつむぐことはできなかった。GHQの監視の目をかいくぐるようにして、まず被爆した文学関係者らが動きを始めた。栗原唯一・貞子夫妻や細田民樹ら約六十人はその年の12月、広島市安佐南区内の小学校で「中国文化連盟」を結成。翌1946年(昭和21年)3月に出版した「中国文化」創刊号で原爆を特集し、被爆体験記を掲載した。その翌年には、正田篠枝が原爆歌集「さんげ」、原民喜が原爆小説「夏の花」を発表。1948年(昭和23年)には大田洋子が小説「屍の街」を出した。

 こうした文学関係者の思いは、被爆者や市民の間にも広がり始めた。それが顕著な行動となって現れたのは、被爆三周年を迎えた1948年夏。8月6日の原爆犠牲者追悼式典に参列した被爆者ら市民約千人は式典後、広島市内中心部を行進し原爆の酷さを訴えた。文字通り堰を切ったようなデモ行動だった。続く8月10日には労働省婦人少年局広島職員室主催で、初めての被爆女性大会が市内で開かれた。』

 明日は、この女性大会について、それからそれに続く女性たちの闘いについて述べます。

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今度は風邪?

 丁度ひと月前の昨日、私はノロで苦しんでいました。とにかくお腹が痛くて痛くて。何十回トイレに通ったことか。ノロでお年寄りの死亡が出るのも、さもありなんと思いました。

 浜松や広島の中学生が給食で大勢ノロウィルスに感染したとの報道を見ると、可哀そうで。

 私はまだちょっとトラウマになって、外食する時には怖いなと思うことがありますが、でも、体はもうすっかり回復して、せっかく減った体重も完全に取り戻しました。

 昨日は、ひと月休んだジャザサイズにも行くことができました。はじめは恐る恐るでしたが、一時間、しっかり汗をかきました。

 でも、その後がいけません。汗をかいたまま寒い中自転車で帰ったものだから。家に帰り着いた途端、喉がおかしくって。これはいけない、で、昨日はやまとの湯の日なので、しっかりサウナにも湯船にも入って、風邪を追い出そうとしました。

 そして家に帰って、洗濯をした後、寝ようとしたら、体が痛い!のです。体中が痛くて。久しぶりのジャザサイズ、ずいぶん体に応えたものだと思って。もう、痛くて痛くて。眠れはしません。そのうち、アット思いました。こんなに痛い、それも肩・腰だけでなく、手首や掌まで痛い、これはおかしいと思いました。いくらジャザサイズ久しぶりだと言っても、掌が痛い何てありえない。もしかして、これは熱ではないのか、と。

 はい、熱を測ったら、なんと38度5分。あわててボルタレンを2錠飲みました。ちょっと喉が痛いくらいで、どうしてこんな熱が出るのか、そのうち、私、お腹がゴロゴロ言い初めました。ゾウーッとしました。

 とうとう、また一睡もしないまま朝になりました。喉はまだおかしいけれど、お腹は落ち着いています。でも、寝てないので体調不良です。今日はしっかりマスクをして診療をします。

 早く治さないと、明後日から秋田へ行かなければならないので。雪が一杯あるそうだから。

 そんなわけで、今年のヒロシマ平和の夕べについては、今日は書けません。とても労力がいるものですから。また明日にさせて下さいね。すみません。

Photo 男性の患者さん、創作折り紙が得意な方。毎年干支の折り紙を作って下さいます。今年も馬が届きました。一枚の紙で折られています。待合室に飾っています。

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2014年「ヒロシマ平和の夕べ」①今年は女性に焦点

 1月25・26の土・日は、「ヒロシマ平和の夕べ」実行委員会の新年会と今年の8・6平和の夕べに向けての会議でした。来年は被爆70周年。今年はその被爆70周年のプレ企画ともなります。

 そして、杉並の女性たちが原水爆禁止の署名活動を初めて、60周年になります。この署名活動について、ここに 書いた「核兵器のない明日を願って―広島県被団協の歩み―」から少し引用します。

 『被爆者の苦しみをよそに、世界では核開発競争が一層激化し、1952年(昭和27年)10月3日にはイギリスが初の原爆実験を行い、第三の核保有国となった。その一ヵ月後の11月1日には、アメリカがより破壊力のある水爆実験を初めて実施。次いでソ連も翌1953年(昭和28年)8月12日、水爆実験を行った。

 この核開発競争の中で、1954年(昭和29年)3月1日、悲劇が起きた。アメリカがビキニ環礁で行った水爆実験で、大勢のミクロネシア住民が被爆したうえ、危険区域外で操業していた日本のマグロ漁船「第五福竜丸」が“死の灰”を浴び、乗組員の久保山愛吉さんが放射能症で亡くなったのである。日本人の好物であるマグロも大量に放射能で汚染された。このビキニ被災事件は、核の脅威を身近に感じさせる出来事として日本中に大きな衝撃を与えた。

(中略)

 杉並区の主婦らが5月9日から始めた原水爆禁止署名運動は、世話人の安井郁・法政大学教授の努力もあって、またたく間に国民運動として全国へ波及していた。』

 署名活動60周年、このことからも、今年の「8・6ヒロシマ平和の夕べ」は、女性に焦点を当てた会にできないかと考えて企画しています。すでに何人かの女性の皆さんから参加・発言の同意を得ています。もう少し、決定し切れていませので、それが決まり次第、今年のプログラムのお話しをしますね。

 実は、広島の被爆女性たちの、杉並の女性たちの運動よりもうんと早くからの立ち上がりがありました。その運動、「特定秘密保護法案」が通った今、その当時のプレスコードの中でどんなに大変であったかを含めてお話ししたいと思います。

 とぎれとぎれになりますが、シリーズとしてお話ししたいと思います。固い話ではありますが、どうぞお付き合い下さいませ。

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性教育講演のお知らせです。

2月の講演のご案内です。

2月1日は、秋田市医師会館で、秋田県性教育に関する講演会です。

2月6日と13日は、宝塚の中学生に命の教育のお話をします。 

2月9日は廿日市市人権・男女共同推進課の男女共同参画講座・命の大切さを学ぶ~親と子の性教育~「大人の『まだ早い』は、いつだって遅すぎる!」13時30分から15時30分。主催はおんなとおとこの市民フォーラム実行委員会、会場ははつかいち市民大野図書館です。

2月16日は、 性教協広島サークルのセミナーのご案内です。ご案内のプリントをアップしますね。

 今回は、私のお話と、教師たちによる性教育授業づくり講座です。小学校の先生も中学の先生も、どちらもベテランで、性教育については長い実践があります。楽しい講座になると思います。現役の先生方も、保護者の方もぜひお話しを聞いて下さいませ。

 今回の私の話は、最近の若い人たちの妊娠と、また、特に性感染症については、このブログでも問題提起している、若い人の性風俗にかかわる性感染症に焦点を当てて話したいと思います。

Photo

 また、性教育ではありませんが、2月20日には、中国新聞文化センターでの更年期の講座の第二回目です。

 更年期講座の第一回目は女性のからだを知ろうと、更年期はなぜ起きるか、どんなことが起きるのか、基礎を学びました。

 この講座では、いつも漢方茶を作って持って行き、みなさんに飲んで戴きます。一回目は、オミジャ茶(五味子茶)とトウモロコシ茶を作っていきました。オミジャ茶は、甘、辛、酸、苦、塩の五つの味を併せ持つとされる漢方ですが、そのままでは酸っぱいので、少しだけはちみつを入れて飲みやすいようにしました。消化不良によく、集中力を高め、また咳止めにも使われています。トウモロコシ茶は、利尿によく、だから高血圧にいいお茶です。

 二回目は、更年期障害の治療と、がんについて学びます。漢方茶は、スジョンガ(水正果)を作っていくつもりです。生姜と黒糖と、桂皮(ニッケ)を煮て作る飲み物です。

 多くの方にお会いできますように。

 

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「貧困・家族」について⑦誰か向き合ってくれる人。

 そろそろこのシリーズも終りになります。「貧困・家族」というくくりでお話ししましたが、貧しい人は、みんな何もできないのかとか、家族がいない人はみんな貧しいし生きるのが困難なのかとか、いろいろと反論があるでしょう。

 私も書きながら、ずっと考えて来ました。

 はだしのゲンの中沢啓治さんが、おっしゃったことがあります。被爆後の広島では、家族が原爆で殺され、身よりが亡くなった少年少女たちが、駅前で靴磨きなどをしながら、日々食べることに必死でした。食べるためにはなんでもしなければ生きられなかった時代です。中には、やくざの下請けのような仕事に組み込まれ、命を落とす子どももいました。身よりのない子どもこそ、使いやすかったのです。

 そんな時、原爆で父親と姉弟を殺された中沢さんは、「おふくろが生きていてくれたからこそ」と、しみじみおっしゃいました。そうでなかったら、私もどうなったか分からないと。

 誰か一人でいい。自分のことをしっかり見つめてくれて、そして生き様を支えてくれる人がいたら。その人は親でなくともいいのです。

 ある少女がいます。16才。生きるのに大変だった少女。ずいぶんいろいろとありました。16才にしては十分すぎるほど苦労しました。親も彼女の居場所が分からないくらい、一人で生きざるを得なかった彼女です。その少女が妊娠して、そして考えたあげく、やはり中絶をとなりました。相手は18才。誰がみても、まだ子育ては無理ではないかと思うカップルです。

 そして、中絶の前処置をする日。彼女から電話がかかりました。

「先生、やっぱりおろせんわ。めっちゃ泣かれた」と。「とにかく、来なさい、おろすのをやめて産むんだったら、しなければならないことが一杯あるからね」

 で、程なく来た彼女に話を聴きました。18才の彼は懸命に働いています。その彼が、中絶することを話すと、

「おれがお前と赤ん坊のためにこれだけ一生懸命働いているのに、それが分からんのか」

とはげしく泣いたというのです。これだけ彼女と向き合い、必死で訴えてくれた人は彼女にとって初めてではないでしょうか。結局、彼女は中絶することをやめ、二人で働きながら生活しました。彼は、朝4時に出勤すると。彼女は2時に起きて、お弁当を作ると。彼女も夕方から居酒屋で働きました。彼女は過労で足がむくんでしまうほどでしたが、元気な女の子を産みました。

 もちろん、若い二人が子どもを育てるのには、大変でしょう。ずっとずっと子育てをしなければならない、誰か大人が見守ってあげないと、と思います。今、断絶していた母との関係も改善しつつあります。

 18才の少年がそうだったように、向き合ってくれる人、見守ってくれる人は誰でもいいのです。親でなくとも、祖父母でも、または福祉の関係の人でも、だれでも。しっかり見てくれている人がいるかどうかで、若い人は生きることができる、そう感じています。

 最後に。今、日本はこんな社会ですが。取り上げた毎日新聞のシリーズを書いた記者さん、それから永山則夫の番組を作ったNHKのディレクターさん、それから昨日後編が放映されたNHKのドラマ「足尾から来た女」(今でも、こんなドラマができるんだと大きな感動でした)などなど、まだまだ良心的なメディアの人たちが沢山いることも救いであると思っています。

 読んで下さってありがとうございました。少し休憩してまたシリーズを書きたいと思います。

(前回の入学金が払えず大学に入学できなかった少女についてですが。母親は、働きながら彼女とまだ下に二人の子、計三人の子を育てています。母子家庭の収入で、三人の子を育てるのは、それは大変なことです。母親に言及したご意見を戴いていますが、傷つく人がいるかもしれませんので、アップはしていません。大学の入学は贅沢だというご意見も同じくです。そう、大学に行く人、行かない人も沢山います。でも、彼女がそれを望んだ、でも、「お金」の都合で叶わなかったということが残念なのですね。)

 

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「貧困・家族」について⑥入学金が払えない。

 このブログを読んで下さっている方にはお分かりかもしれませんが。ある少女がいます。彼女は、事件の被害者です。そして、その被害の事情聴取の時、検事からひどいことを言われました。そして、その加害者は不起訴となりました。

 あまりの理不尽に彼女は「検事になってやる」と決意しました。彼女は高校三年生。でも、家は母子家庭で貧しくて、彼女もアルバイトをしながら通学しました。成績は優秀です。ずっと一番だったのに、医者の息子に負けて二番になったと、悔しくて必死で勉強したそうです。

 そして、彼女はある大学の法学部の試験に受かりました。とても偏差値の高い、何人も弁護士が出ている大学です。

 ところが、彼女は入学できませんでした。入学金が払えなかったからです。

 彼女の父親、母親と離婚した相手ですが、彼女が大学に入る時には入学金を払ってやるという約束だったと。それなのに、いざ彼女が入学試験に受かると、払わないと。車を買うことにしたから、お金はないと拒否されたのだそうです。

 なんと、「車を買うから」ですよ。車はしばらく我慢をしてでも娘の入学を喜んで支えようという気にならなかったということでしょう。結局、父親は彼女を愛していないのでしょう。

 母親は、借り入れの手続きをしようとしました。が、入学金の支払いのための期限に間に合わないと。大学に何とか待って戴きたいと申し出たのだけれど、それはできないと断られました。

 結局、せっかく受かった大学に入学できませんでした。「この時ばかりは親をうらみましたよ」と彼女は言いました。

 で、どうするの?と尋ねると、どこか、就職を探します、と言いました。淡々と語る彼女のそばで、母親は涙しました。ああ、それを知っていたら、一時お金を立て替えることくらいはしましたのに。でも、私が知ったのは、後のことでした。

 その彼女の主治医と話しました。彼女は強い子だから。きっとまた這い上がって来る、それだけの力がある子だから、と。

 でも、せっかくの機会を! 働きながら、さらに学力をつけ、かつ入学金をためると言うのは、並大抵ではありません。

 大人の事情で自分の希望する道が閉ざされる、そんな思いをかみしめている青少年がこの日本にもいるということです。 こうして、貧しい人たちは排除されていきます。貧しい人や弱い人たちを置いてきぼりにして、この日本の社会は「繁栄」していきます。

 (なお、これを書くことについては、彼女の了解を得ました。加害者が不起訴になった事件については、弁護士さんが動いて下さっています。)

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「貧困・家族」について⑤一人で産み育てること

 私のクリニックにかかっていて、一人で子どもを産む人は沢山います。相手の男性が育てることを拒否した場合。または、相手には妊娠や出産を告げていない人もいます。今もいます。

 一人で生んで一人で育てる人は、それなりにノウハウを伝えながら、支援したいと思います。例えば、職場にいつ産むことを伝え、産休の扱いをどうするか(堂々と産休を取っていいのです。遠慮もいらないし、人からいらない詮索をされそうでも、いっさい関わらないこと。知らんぷりをしたらいいのです)、母子医療の申請をすることなどなど沢山伝えることはあります。

 それから、出来れば相手には産むことを伝えた方がいい。それは、認知が必要になるかもしれないし、男性には養育費の支払いが義務となります。それを告げておきたいと思います。ただ、DVが絡んで、危険な場合、これは伝えられません。黙っておくのも、身を守る手段の一つになります。

 でも、一人で産み一人で育てるのは、大変なことです。生活のためには仕事もしなければなりません。保育園に子どもを預け、働くことは、やわな事ではありません。まして、独りだったら。

 私は、自分で子育てをする気がないなら、相手の女性を妊娠させてはいけないと思います。ちゃんと避妊をすべきなのですが。それができないで妊娠させて、そして妊娠したらどうするか本気で考えていなかった、中絶してくれという男性が多すぎる!!のです。男性にそう言われたけれど、一人で産もうかと考えていて・・・。という女性も沢山います。

 それが、若い女性の場合、どうしても、子育てを支えてくれる人がいるかどうかが問われます。家族、親が一緒に子育てをしてくれるならまだ安心なのです。家族にもいえず、一人で産もうとすると、本当にこれは大変なことなのです。

 都知事候補の一人を「精力絶倫」と書いてあるメディアがあります。この人は、結婚している人との間に二人の子がいて、別に愛人たちに三人の子、計五人の子がいます。それぞれ、時が経って認知をしています。さらに、内一人が障がい者なのですが、その子の養育費を減額するように、裁判所に調停の申し立てをしました。自分は、大変な財産もちなのに。

 私は、なにが精力絶倫なのかと思います。ただ、避妊を怠っていただけではないかと。妊娠させるだけなら、中学生でもできます。その人と共に子育てをする気がないなら、せめて避妊すべきではないかと思います。

 私は、一人で障がい児の子育てをしなければならなかった女性を、さぞ大変だったことと思います。

 こんな男が都知事候補、それも応援演説する人が言っていました。「福祉のスペシャリスト」と。しかも、その方が妊娠中は、ほかの人と結婚していました。その後離婚したのですが、その離婚した相手にその候補を応援するように安倍首相が言ったと。そして、彼女はきっぱり断ったと、それをメディアに明らかにしたものだから、大手の新聞にまでそのことが出ることになってしまいました。これには吹き出しました。

『 自民党の片山さつき環境部会長は19日、東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)に立候補を表明した舛添要一元厚生労働相に対する支援を安倍晋三首相から求められ、難色を示したことを明らかにした。党大会が開かれた都内ホテルで記者団に語った。

 同党都連に所属する片山氏は過去に舛添氏と婚姻関係にあったこともあり、首相が党大会の会場で「誰よりも片山さんに(舛添氏の)応援に立ってほしい」と要請。これに対し、片山氏は「舛添氏は障害を持つ婚外子に対する慰謝料や扶養が不十分だ。解決されていない」と述べ、現状では難しいとの認識を示した。』      

 この候補の姉が生活保護を受けていて、北九州の担当の人が彼に少しでも生活の援助ができないかと頼みに行っても、まったく聞いてもらえなかったと、これはもう5年以上前にメディアで読んだのですが。

 彼の離婚した相手の女性は、芸能人の母が生活保護を受けていると国会で明らかにし、その芸能人叩きがありました。なぜ彼女は、いま都知事候補になっている元夫を「姉に生活保護を受けさせている」と一緒に追及しないのかと思いました。

 「愛人がいて、愛人に子どもを産ませて、その女性にも子どもにも責任を持っている」という政治家はこれまでにも沢山いるよ、と言われそうです。責任を持つというのは、ただお金を出すということではないと私は思います。一緒に子育てができるのかどうかだと思うのです。そう、女性と子どもと一緒に生きるのかどうかということですね。それができない人は、女性を妊娠させてはいけない、こんなの当たり前。「性教育の基本」なのです。

 立場を変えて、「相手の男性が一緒に子育てをできないのだったら、女性は産んではいけない」ということでは決してないということも念をおしておきますね。

 

 

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「貧困・家族」について④養子縁組

 昨日の夜、昨日の私のブログにコメントを戴きました。

『ご沙汰しております。
先生、誰にも話せない気持ちをはきださせてください。
今、話題になっている社会的養護を題材にしたドラマ。私は怖くて見てないのですがネットを開くとその内容とともに様々な賛否両論が出ています。

「ドラマはフィクション嫌なら見るな」「すてる」「かわいそう」「バカ親」「子どもの気持ちを考えろ」「無責任な母親」

嫌でも目にしてしまうコメントに、自分がしたことを突きつけられ辛いです。

「大丈夫。私に育てられるよりあの子は今幸せでいるんだ」
と自分には言い聞かせています。
私が苦しむのは仕方がないですが、当事者である子どもたちに
「母と名乗れなくてもあなたの幸せを願い心から大切に思ってる」と直接言うことができないことが一番辛いです。

女は心身ともに一生の跡がつく、でも男もその当事者であることには思いも及ばないものなんですね。
どの子にも必ず父親がいるのに。
出産は「ちょっと産んでみよう」と軽い気持ちで乗り越えられるようなものではないです。

私と同じ経験のある彼女たちが今同じように辛いのではないかと心配です。

河野先生、信頼できる後継者が見つかるか、辛い妊娠をする女性がいなくなるまで現役でいてください。』

 彼女については、ここから 6回にわたって書いています。14歳で赤ちゃんを産んで、でも育てることができなくって、赤ちゃんは養子縁組で手渡した女性から、時が経って手紙を戴きました。その彼女と私の返事を許可を得て、また身元が分からないように一部カットもして、掲載したものです。

 その彼女が今放送されているテレビドラマの胸を痛めて寄せて下さいました。このドラマについては、私は見ていないのでなんとも言えませんが。でも、日本の社会にはまだまだ育てられない妊娠をした女性や養子縁組に対しての偏見があるのも事実です。

 14才の母さま、つらい気持ちをずっと抱えて生きていること、胸が痛みます。でも、子どもについては、とっても幸せに育ててもらっているので、全然申し訳ないと自分を責めることはありません。私の手紙にも書いているように、貴方はつらい思いをしたけれど、貴方のおかげで、どれだけの人を幸せにしたのだろうかと思います。貴方は、一度大きくなった子どもに会うことが必要かもしれませんね。考えてみます。

 そして、時を同じくして、こんな写真が送られてきました。ご夫妻に、この写真を皆様に見せて上げてもいいかと尋ね、了解を得ました。

Photo Photo_2 半年前、保育器に入っていた子。ママに会えた時の写真です。

 その子がこんなに大きくなって、養子縁組の決定が出ました。写真に添えられた文です。

 『写真の中で座っている男性は、○○の養子縁組のケースを担当した裁判官の方で、立っている白人男性は私たちが手続きをお願いした弁護士さんです。

 実はこの弁護士の方も去年の11月に中国から2歳の女の子を養子に迎えたばかりなんです。彼は現在50歳で、18歳と21歳の息子二人が既にいるのですが、奥さん共々もう一度の子育てやる気満々です。』

 夫妻が養子を迎えることになった時、彼の会社は、そのための経費を申請するようにとの事でした。飛行機代などを会社が負担してくれると。そうなのですね。以前、別の子の養子縁組の時、迎える親に対して、産休が出たこともあります。産休は、子どものためにあるものだからと。

 実子であろうと養子であろうと、全ての子どもを社会の子として育てようとする、ふところが深くて、日本と大きな違いがあります。

 私は、この赤ちゃんの養子縁組が進行中に、厚労省の指示を受けた広島市の方から事情聴取を受け、そして、今、養子縁組のお世話をできない状況にあります。

 また、野田聖子さんなどが、養子縁組についての法律を作ろうとしていると報道されています。もしその法律ができると、まず海外の日系の人との養子縁組は不可能になるでしょう。

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「貧困・家族」について③少女のブログから

 昨日の少女の続きです。16歳の彼女が事件直前、ブログに書いた家族への思いが毎日新聞のシリーズ「漂流する10代  いつも独りぼっち」に写真で出ていました。

『 私ね、家族ってゆーの
   いないんだって
   さっき親に復縁
   しよって言おうと
   思って電話したの

     そしたらね
   なんのよう?って
  うちわ家族ぢゃないけ
   しらんのんだって
  やっばり無理なんだ

   親がちゃんと
  せんけんこんなに
   なるんぢゃん
  嫌だったんぢゃん
 ぢゃけ家出てちゃんとしようて
   思ったんだよ
 何もわかってないネ
   うちの夢どんだけ
    壊してきたの?

    もぉしんどいょ

 絶対に親みたいに
  ならんけんな
   見とけよ
 幸せになってやるわ』

 このブログが書かれたのが6月25日。その3日後に事件は起きました。

 逮捕後、母親から一通の手紙が少女に届いたと。そこには「もう関わらないで」と書かれていたと。この少女は、家庭裁判所に送致され、結局女子少年院に保護されました。

 この事件が、なんだか「LINE」にばかり注目されて報道されているのに、違和感を持っていました。背景は、決してLINEではないと思い続けていました。

 確かに、LINEでの短い言葉やスタンプでのやり取りでは、どんどん誤解されて、それがエスカレートしていく側面はあるでしょう。ただ、かれら社会や親たちから拒否された少女たちにとって、LINEは、仲間との繋がり、ひいては社会とのつながりの一唯一の手段であると思うのです。

 以前、私は深夜に一人の少女を救急車に同乗して、大きな病院に搬送してもらいました。その救急車のベットの上でも、少女は、ずっと仰向けでスマホを離しませんでした。彼女は、お腹が痛くて、いま、救急車に乗っていること等を次々と発信し、それに対して、多くの仲間から「ガンバレ」とのメッセージが送られてきました。

 こんな夜中なのに。みんなまだ起きているの?と思いながらも、彼女にとってこれは必要な仲間たちなのだと思いました。親に拒否された少女にとって、仲間とのつながりが社会とのつながりでもあります。これがあるからこそ、彼女は今の状況に耐えられるのだとも思いました。

 彼女のバッグや靴と急いで書いた紹介状とカルテを持って大きな病院に行った私は、そこのナースから、お母さん、と呼ばれました。そう、こんな時には、親がついてくるのが当たり前ですよね。親に連絡しても、すぐに駆けつけるとの返事はありませんでしたし、私のクリニックへの支払いも、結局彼女が退院して、一人で払いに来ました。

 でも、永山則夫や今回の広島の事件でも、出て来る「親」はいつも「母親」です。父親は、一体子育てのどこに出てくるのでしょうか。「貧しさ」も、父親の稼ぎに影響されると思うのですが・・・。

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「貧困・家族」について②広島少女殺害事件

 永山則夫は小さい頃、姉におんぶされて海岸に行ったことを覚えています。優しいおねえさんだったと。でも、その姉は、婚約破棄となり、身ごもっていた子を中絶し、心を病んで精神病院に入院します。その姉の病んだ状態をも語りました。

 幼い子たちだけを連れて母は実家に帰ってしまいました。則夫は兄たちに「俺らは捨てられたんだ」と教えられました。

 その母も実は虐待されて育った子でした。虐待の連鎖、貧困の連鎖です。また、避妊と言う手段も知らないままに、身ごもっては産みを繰り返し、その夫もばくちにおぼれ、やがて家には帰らなくなります。行商をしながら、懸命に10人の子どもたちを育てようとしますが。

 見ていて、息苦しくなりました。彼のこの告白は、裁判で採用されませんでした。当時の裁判官は、「こんなのを読んだら、死刑にはできなかった」と振り返ります。彼の裁判には、はじめから「死刑ありき」だったことが分かります。

 彼が逮捕され、収容された後、なにも語りませんでしたが、それでも、ノートに難しい漢字と時々詩を書いているのを知り、これは、ということでこの鑑定の作業が取り組まれました。画面に出たのは、ほんとうに難しい漢字と、「みみず」という詩でした。みずからをミミズに例えたのでしょう。これも息苦しくなるような詩でした。

 彼は、おそらくここまで自分自身を語ったのは、初めての経験ではないでしょうか。淡々と、言葉をつくしながら、細かく語ります。

 生きる場所がなかった彼が、心を開き、心のひだを語ることによって、なぜこのような犯罪を犯すように至ったかを、私たちに突きつけました。

 私が今回このようなことを書かなければと思ったのは、同じようなことを目にすることが重なったからでもあります。

 昨年7月、広島で少女殺害事件が起こりました。灰が峰の山に少女の遺体を捨てた、その事件です。多くの少年少女が逮捕されました。その背後には、少女たちの風俗の問題がありました。その少女を相手とする風俗のことで、私は仲間たちと語り合いました。そしたら、一人の人から、その背景には「貧困がある」と指摘されました。

 ああ、一人で生きるしかなくなった少女たちが、自分で生きるためにお金を得る手段として風俗を知ったところで、だれが咎められようかと思いました。もちろん、幼い彼女たちが、全く無防備なままで大人たちの性の相手をしなければならない、その危険性は存在し続けますが。

 そんな時、毎日新聞に「漂流する10代」とするシリーズが出ました。第一回目「いつもひとりぼっち」は、この少女殺害事件で逮捕された一人の少女が取り上げられていました。

「お母さんにほめられたくて家の掃除もした。妹の面倒もみた。でも、いつもたたかれてばかりだった。私もお母さんと一緒に住みたかった。認められたかった」

という少女の言葉から始まるシリーズでした。貧しさと虐待。永山則夫氏の事件と時を経て、でも、全く同じことがこの社会の中には存在し続けています。

 

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「貧困・家族」について①永山則夫

 もう時が経ったのですが。昨年の大みそか、午前1時も過ぎてから。私はその直前に別府の我が家にたどり着いていました。ノロにやられてまだお腹が痛く、あまり食べられない中での帰省でした。

 夫は早々に寝て、私一人、寝る前に何気なくチャンネルを回していたら、NHKEテレで、

ものすごいドキュメントが始まりました。

ETV特集 『永山則夫 100時間の告白 封印された精神鑑定の真実』です。後で調べてみると、2012年10月14日に放送されたものの再放送でした。

 「永山則夫」。私の中では一生忘れられない人です。ひどい貧しさの中で育ち、親にも捨てられ、犯罪を犯し、逮捕され、取り調べでも裁判でも「早く死刑にしてくれ」としか言わず、少年には異例の死刑判決。死刑囚として拘留されている間、彼は勉強しました。そして、数々の本を出版。本の印税はすべて彼の犠牲になった人の家族に渡されました。「無知の涙」は、ベストセラーになり、大きな反響を呼びました。私も読んだ時、ひどくショックを受け、涙しました。そして、彼には心から生きてほしいと思いました。

 彼が死刑を執行されたという知らせは、多くの人の、もちろん、私も未だに胸を痛め続けています。

 その彼の番組でした。彼は、訥々と語りました。その貧しさは、想像を絶しました。それに、親からも捨てられて、網走の極寒と極貧。ごみ箱をあさるような、そんな中で彼は育ちました。

 以下、NHKEテレ特集の案内からの転載です。私は大したことは言えませんが、これについて、少しだけお話ししたいと思います。短いシリーズになります。

『受賞履歴
≪石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞(2013)≫

1968年秋、全国で次々と4人が射殺される連続殺人事件が起きた。半年後に逮捕されたのは永山則夫、青森から集団就職で上京してきた19歳の少年だった。いわゆる永山事件は、永山の貧しい生い立ちから「貧困が生んだ事件」とも言われてきた。しかし、これまでの認識を再考させる貴重な資料が見つかった。
永山則夫自身が、みずからの生い立ちから事件に至るまでの心情を赤裸々に語りつくした、膨大な録音テープ。ひとりの医師によって保管されていた。医師は、278日間をかけて、患者の治療に使う「カウンセリング」の手法で、かたくなだった永山の心を開かせ、心の闇を浮き彫りにした。
100時間を超える永山の告白は、想像を絶する貧しさだけでなく、“家族”の在りようについて訴えかけている。それは、親子の関係、虐待の連鎖など、時代が変わり、物質的な豊かさに恵まれるようになった現代でもなお、人々が抱え続けている問題だった。
番組は録音テープの告白を元に、罪を犯した少年の心の軌跡をたどりながら、永山事件を改めて見つめ直す。そこから家族の問題や裁判のあり方など、現代に通じる諸問題について考察をめぐらす。』



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島根フェア。

 昨日の診療は、びっくりのことがあって、夜中までかかりました。患者さんの家の連絡方法が分からなくって、夫に付き添ってもらって住所を頼りに家まで訪ねて行きました。雨の夜、家を探すのに大変でしたが、夫が突き止めてくれました。

 この頃、電話番号は携帯の事が多く、固定電話の番号を書かないことが多く、住所を手掛かりにNTTに問い合わせても掲載拒否されているのか、分かりませんでした。本人の携帯への連絡は、電話に出てくれないとどうしようもありません。メッセージを残しても電話をくれません。

 後は、直接訪ねて行くしか手段がなくって。命に係わることです。本人はいなくって、行方が分からなくって、家族の方とお話ししました。もう、本人の意思でいなくなったので、仕方がないかと思いながらも、まだ気持ちの中で引きずっています。はあ、もう、いろいろあります・・・。何とか連絡をくれるといいのですが。

 昨日は、島根フェアでした。午前中の診療がすんだのが2時過ぎていました。大急ぎ自転車に乗って駆けつけて、食べたい物を買って(晩御飯用も含めてです)さあ、急いで食べようとした所に、クリニックから電話でした。その患者さんのことで。カニ汁のお汁だけ飲んで、後は袋に入れて持ち帰りました。

あんまり素晴らしかったので、写真をアップしますね。

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 このでっかい紅ズワイが半分入ったかに汁。持って帰った身は夜遅くの晩御飯に食べました。おつゆもカニの味が良く効いて、それはおいしかったのですが。カニも柔らかい身がたっぷり入っていました。それは美味。これで300円ですので、信じれません。絶対お試しを!!

 右写真は、まとめて撮ったので小さくってわかりにくいのですが。石見和牛の煮込み、これも二人には多すぎるほど。牛の串焼きやホルモン焼きそば、それに肉巻おにぎりは、ご飯もおいしいし、巻いてある牛は柔らかく、何よりでした。お昼は、結局急いで飲んだおつゆと、この肉巻おにぎりだけで、後は夫との晩御飯にしたのですが、食べきれず、今日に持ち越しです。

 まだ、のど黒の塩焼きやサザエのつぼ焼きなど、欲しい物満載でした。今日、もう一度行けるといいのですが、ちょっと無理なので。また来年です。

 島根、いいですね。私の両親は島根出身です。毎年の島根フェア、父が好きで、寄ったお店でいちいち「あんた島根か、私も島根じゃ」と話しかけるので、マイッタなあと、そんなことを思い出しました。

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「カープ応援談」

 えっと、広島には「経済レポート」という雑誌があります。その本の「カープ応援談」に書きましたので、それを転載しますね。

 まず自由に書いて、それを700字まで削りに削って、それを編集の方で直されて、結局こんな文章になりました。カープについては、まだまだ書きたいことは一杯あるのですが・・・。恥ずかしながら、読んで下さいませ。

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 写真は、前田智徳選手のユニホームにやはり前田のタオルを首に巻いて撮ったものです。

 もう削った物をまた書くのは、未練がましいのですが。子育てにかかわることだけ、ちょっと。

 子育て中は、日本シリーズだけでなく、せっせと球場に通いました。だって、球場は、いくら子どもが声を出しても、走り回っても、全然遠慮がありません。二人とも、カープこども友の会に毎年入れました。すると、カープの赤い旗や外野の入場券を送って来ます。だから、もっぱら外野席でしたね。連れて行って放っておけば自由に遊んでくれますもの。子どものはさみを使う練習で、新聞に入って来る広告のチラシを切らせました。それを袋に入れて、もって行って、当時はまだ許されていた紙ふぶきを球場で撒きました。

 まあ、こうすれば当然子どもたちもカープファンになりますね。たまに広島に帰って来ると球場に行きたいと言います。東京ではカープ戦を見に行くと、実況中継の電話をしてくれます。

 実は、昨日、カープ球団の方が来られました。「カープ応援談」読みましたと。以前、年間指定席を買っていたのを必要な時だけチケットを買いましょうと返上していたのを、またどうですか、と。

 以前は、仕事が終わると、すぐにソレッとかけつけていたのですが、球場が職場から遠くなって行くのが難しくなりました。時間があれば、行くようにはしているのですが。それに、節目節目には必ず行っています。新市民球場ができて初めての試合とか、初めての巨人戦とか、オールスターとか。パーティルームは一度一部屋借り切っていきました。沢山の飲み物や食べ物が提供されて、楽しかったです。

 行くたびに、沢山の食べ物やさんで、今日は何を食べようかと悩むのも楽しいし。

 さて、年間指定をどうするか、悩ましい所です。もう少し考えます・・・。

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暮らしの手帖・「すてきなあなたに」

 この一月から、毎月一回、計三回、中国新聞文化センターで「更年期の講座」を行います。

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私の講座が出ているチラシです。ちょっと私の所だけトリミングさせて戴きます。すみません。

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 しっかり準備して、お役に立てるお話しをしますね。今、すでに10人の方の申し込みがあるそうです。今からでも大丈夫です。どうぞ、いらっして下さいませ。有料で申し訳ないことなのですが。

 話しは変わります。クリニックで、ちょっとしたことから「暮らしの手帖」の話になりました。そして中の記事、「すてきなあなたに」の話になって、ネットを見て、大橋鎭子さんが昨年の三月に亡くなっていたことを知りました。そうすると、もう、猛烈に「すてきなあなたに」が読みたくなりました。

 そして、本棚からひっぱり出しました。

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 本棚には、母が読んでいた「暮らしの手帖」がずらりと並んでいます。もったいなくて捨てられません。この単行本「すてきなあなたに」は、昭和50年9月15日第四刷りとなっています。私が医師になって3年。おそらくこれは母ではなく、私が買った物だと思います。当時定価1200円と書いてあります。

 懐かしくて。暮らしの手帖、そして中でもこの「すてきなあなたに」には、ずいぶんお世話になりました。大橋さんの豊富な経験、特に外国生活での経験などが、ほんとうに素敵なエッセイとなって心にしみわたります。

 料理のヒントも沢山戴きました。中でも強烈におぼえているのは、「焼きリンゴ」。子どもが小さい頃、よく作っていました。紅玉か国光(今はどちらも手に入りにくくなりました)の真ん中をくりぬいて、中にお砂糖とシナモンとバターを入れて、オーブンでゆっくり焼きます。でも、ある日暮らしの手帖で焼きリンゴにはパンを敷いて作ることと書いてありました。リンゴからしみ出す甘い汁をパンが吸ってくれて、それはおいしいパンになると。確か、「パンのない焼きリンゴなんて」と書いてありました。目が覚めた思いでした。

 沢山の示唆に富んだエッセイで、読む度にこんなに素敵に生きたいと思ったものです。おそらくそう思った方は多いでしょう。今は、そんなのとは、程遠い生活。もうすこしゆっくりていねいに生きなくっては。せめてこれからゆっくり「すてきなあなたに」を読みます。

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孫ともバイバイです。

 イタリア人のアレックスさんのお料理に感激しながら、新幹線のわずかの時間までに向かったのは、コストコ。これまでコストコで買った物を送ったりして、興味が大いにあったものの、東京では住んでいる所から遠くて、行くことができなかった所。

 時間があまりないし、持って帰ることもできないので、ほとんど見学だけでした。ただ、肉好きの息子がぜひ試食してみたいというアメリカンビーフ。試食に並んでいたもののの、息子の順番の直前で終了してしまったと。まあ、可哀そう、と大笑いしました。買ったのは、ジュース一本だけ。でも、とても面白い所で、今度はゆっくり来てみたいと言っておりました。

 私は、駅に見送りに行くのは初めて。息子でも娘でも、いつも朝仕事のために家を出る時に「では、バイバイ」で済ませていたのですが。駅で手を振るというのは、やっぱり寂しいものです。まだ状況が呑み込めない一歳の孫は、きょとんとしていましたが。

 アッという間の三泊四日。子どもや孫と過ごすことができて幸せでした。息子も奥さんも「楽しかった!」と言ってくれてよかったです。親ばか、ばばばかもしばらく封印です。また、夫と二人だけの冴えない日々に戻りました。

 年末年始、少し無理をしたかもしれません。一時、ぴったり止まっていた片頭痛の発作がここの所立て続けに起こって来ました。今日木曜の休診日は体のメンテナンスです。いまから歯医者さん。夜はリンパマッサージの予約をしました。久々のリンパで、体をリフレッシュしてもらいます。昼の時間はクリニックの雑用と久しぶりに本屋さんに行って、新幹線の中で読む本を調達しようと思います。

 一月の後半から講演が立て続けに入っています。秋田なんて、冬の飛行機は揺れてこわいので、行き帰りとも、新幹線で行く決心をしました。長時間なので足が脹れるかも。でも、その分、新幹線の中で好きに時間を過ごすことができます。  もうあまりゆっくりすることはできませんので、今日一日を大切にしたいと思います。

Photo  アレックスさんご夫妻と。大きなレストランなので、びっくりしました。でも、とても心のこもったお料理だし、フロアの人たちも親切なので、人気なのは当たり前なのだと納得しましたよ。また、訪ねたいと思います。

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動物公園とイタリアンのアレックス。

 ANAホテルを出て、息子一家と私で安佐動物公園に行きました。私は何十年ぶりでしょうか。息子がまだ小さい時に行ったきりです。行くと、ラッキーなことに感謝際(?)で、入場料は無料でしたよ。

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 動物園って、大人になっても楽しいですね。私も、すっかり楽しみました。中でも、ミーアキャットがかわいくて。一斉に二本足で立ってキョロキョロ。なにを警戒しているのでしょう。

 広い園内、坂を上ったり下りたり、いい運動になります。が、捻挫した足がどうも・・・。

 そのうち、お腹が空いて来て、孫はパンをおねだりです。パンを食べた後、ちょうどうさぎちゃんなどに触れることができる所に行った時には、孫は眠ってしまっていました。残念。

 こんな楽しい時間、私たち夫婦二人では、絶対に持てない時間です。夫も来ればよかったのに。

 お腹が適度に空いて、次に向かったのは、安佐南のイタリアンの「アレックス」。以前からブログを見て行きたいと思っていた所です。ちょうど動物公園から近かったし、イタリアン好きの息子たちには気に入るだろうと思いました。

 大当たりでした。

 私が頼んだのは、1500円のランチ。息子と奥さんは、2000円で、息子がお肉、奥さんがお魚のメインが付いたコース。

 写真は私のコースです。パスタかピザを選ぶことができるのですが、私はベーコンとソーセージの辛いトマトソースのスパゲッティ。息子たちは、本日のスパゲッティで、牡蠣とほうれん草のトマトソースのスパゲッティ。牡蠣がとてもおいしいと喜んでいました。

Photo_11 前菜は、鯛のカルパッチョや生ハムや小さなブルーチーズ等がこまごまと美しく並んで、楽しくておいしくて。小さなトマトの中にはクリームチーズが入っていました。スープはミネストローネ。スープとパンはお代り自由です。お代りしたこの後のパンは、クロワッサンでした。

Photo_12 申し訳ないことですが、このスパゲッティは食べかけです。写真を撮るのを忘れて食べていて、アッと気づいたもので。

Photo_13 レモンティーと一緒のデザートはまた楽しくて、おいしくて。大満足です。孫ちゃんも、パンだけでなく、スパゲッティも野菜もバクバク食べました。食欲があって、たくさん食べる子は素敵です。

 孫と一緒の楽しい時間も瞬く間に過ぎて行きました。駅に行くには、もう少し時間がある!どうしようと考えて、アッ、コストコに行って見る?となりました。

 もうそろそろ飽き飽きされているでしょうが。明日で息子や孫たちとのことは終わりますので。バババカも、もう少し、すみません。

 

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ボーネルンドとANAホテル

 息子たち一家が広島に帰って来たのは、息子が友人の結婚式に参加するためでした。12日にはそのために息子だけが岡山に行ってまた広島に帰って来ると、それを入れた上でのスケジュール作りでした。

 11日土曜日は、私はフルに診療で忙しくて、一家は宮島へ。夜は学生時代の友人一家と食事をするということで、私もそこに合流しました。友人一家は、私も面識があります。十日市の「むさし」で串揚げセットです。前菜、サラダ、串揚げ、そば、おむすび、みそ汁、デザートと、にぎやかなセットです。子どもたちには、子どもの串揚げコースがありました。楽しく、にぎやかに過ごしました。

 12日は、息子がいないので、母子と私で、パセーラの「ボーネルンド」へ。子どもの遊び場です。

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 初めは、何かわからない風で、ポケッとしていた孫ですが。大きなエアマットで、走りはじめると、元気になりました。お兄ちゃんやお姉ちゃんたちがピョンピョンと飛んで揺れる中、ドンドンと走るので、びっくりです。それから元気になって、帰る時には、もっと遊びたいというので困ってしまいました。

 私は、ボールプール(?)で、転んでしまい、右足を捻挫です。まあ、やれやれ。今日は久しぶりにジャジャサイズに行くつもりでいたのですが・・・。

 それから、旧全日空ホテル・ANAクラウンプラザ広島へ。12日は、そこにお泊りです。実は、ホテルの30周年記念で、近くに住んでいる人の優待宿泊が新聞に出ているのを姉が見つけ、みんなで泊まろう!となっていました。それに息子たちも合流して宿泊しました。

 夕飯はバイキングです。孫は、パンが大好き。4つもパンを食べたので、びっくりです。

 息子は岡山から夜に帰ってきました。眠った孫を息子に任せて姉母娘と、息子の奥さんと、私の女4人で最上階のバーへ。

Photo_6 チーズとチョコレートの盛り合わせのつまみで、それぞれカクテルを二杯ずつ。夜景を見ながら、おしゃべりを楽しみました。

 夫はホテルに泊まるなんて、と言っていましたが、年末年始どこにも行かなかったので、旅行替わりと言うと、すんなりでした。家からすぐ近くのホテルに泊まるなんて初めてなのですが、でも、豪華なお部屋、食事、とても気持ちのよい対応と、すっかり旅行気分を味わうことができました。少し、贅沢をしました。

 13日は、安佐動物公園と、イタリアンのアレックス、明日、もう少しお付き合い下さいませ。

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性教育バッシング⑩出会い系・終わりにあたって

 以前はいう必要もなかったことなのですが、今は中学生にどうしても言ってておかなければならないのが、この出会い系の話です。もう、無視できないほど、この被害に遭う少女たちが多くなました。

『会う目的は?これはセックスです。もう、はっきり言いますね。セックスが目的で会おうとなります。若者の中には

「会ってもいいじゃん。会ってみて、感じよかったら、ごはんくらいおごってもらってもいいかね?カラオケくらい行ってもいいか(カラオケも密室です。カラオケでレイプされた人を私は複数診ています)、まあ、一回くらいホテルにいってもいいかね?感じ悪かったら、黙って帰ったらいいんよね」

 なんて言う人がいます。感じよかったら、悪かったらなんて、会っただけで人を判断できるほど、君たちはまだ成熟していません。私くらいになってやっと患者さんを、ああ、この人はいろいろな社会を背負ってきているなあというのが分かるくらいで、でも、まだ時々騙されることもあったりするのだけれど。君たちはまだ未熟なのですよ。

 出会い系で一番多いのは、やはり妊娠です。妊娠が分かって相手に告げた途端、携帯のアドレスを変えられて、連絡もつかなくなって。中絶しようにも、相手の同意書を書いてもらうこともできなくって途方に暮れるという、これは今やどこの産婦人科でもみられることなのですね。

 今、出会い系を舞台にしての殺人事件なんてずいぶん起こっていることだし、いまや男性だって女性に殺される、そんな時代なのだから。

 少なくとも、相手に警戒心を持ちながらのセックスなんて、まったくいいものにはならないということなのですね。すべての警戒心も取り払って、裸の心と心で向き合える性でこそと思います。』

 そんな話をもう少し具体例をあげながら話します。

 広島で起こった少女の殺人、灰が峰の山の中に死体を捨てたあの事件、多くの少女たちが逮捕されました。その事件で注目されたのが、「LINE」でした。私も使っている、これほど便利なものはない、そのLINEがまるで悪者にされて、ちょっと違うんじゃないの?と思ったのですが。やっぱり使い方でしょう。それについては、また、機会を改めてお話ししたいと思います。

 こんなことをなんにも知らないで、社会に放り出されて、そしてアッという間に落とし穴に落ちてしまった少女たちを診ています。

 時々講演に行った時に、言われることがあります。ここは田舎で、とてものんびりしているところですから。子どもたちも純真で、のんびり落ち着いていて、深刻なことはなんにもありませんので、と。

 私は、それだからこそ、危ないと思うのです。なんにも免疫がなく、何にも知らないで過ごして都会に出てからが。故郷の住所が書いてある父親の扶養家族の保険証を持って来る少女。ああ、故郷で親は子どもが何ごともなく勉強していると思っているだろうけれど。実は、彼女はこんなに傷ついているのですよ、と言いたくなります。もちろん、言いませんけれど。

 こんな社会だからこそ、伝えたいと思います。

 先日も、ブログに書きましたが、名古屋のテレビ局のルポで、記者が山谷えり子氏にインタビューしていました。「いつ、避妊の教育をしたらいいのでしょうか?」と。そしてら、彼女は「結婚してからですね」と答えました。「結婚してから」。では、だれに教えてもらうのでしょうか。

 こんな人の力で、広くバッシングが起こり、文科省が動き、政治が動いて来たのです。そして、そのバッシングの影響は今も続いているのです。私なんて、もっとも過激な性教育を行う者と思われているのでしょうが。でも、こんなことこそ、きちんと知って大人になってほしいという私の思いは全くぶれません。

 くどくどと書いて来た性教育バッシング、これで終わります。読んで戴いて、そして数々のコメント、ありがとうございました。これから少しずつお返事も書きますね。

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シリーズお休みですみません。

 すみません。ちょっと息切れなので、今日はシリーズをお休みさせて戴いて。実は、息子一家が帰ってきています。孫にとって初めての広島です。私は、もう嬉しくて。舞い上がっております。

 息子夫婦は、大の牡蠣好き。牡蠣小屋に行きたいというので。でも、友人がこの店を教えてくれました。牡蠣の養殖をしている水産会社がしているお店だと。お店の横に牡蠣の水揚げ場の港があります。

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 大野の「14番目の月」。

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中に入ると、すぐにずらりと並んだ水槽に沢山の牡蠣やアサリなどが。お店はおしゃれです。

 牡蠣料理もおしゃれ。焼牡蠣はバケツで軍手がついて来ます。10個1000円。ムール貝は山盛り500グラムで600円と、かなりお安くて。息子たちは白ワインを二人でボトル一本空けてご機嫌です。

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 これらは私が頼んだ牡蠣セットから。2000円で、いろいろと出ます。夫は、かきめし。息子たちは、「おれの牡蠣フライ」や燻製や私の知らない洋風の牡蠣料理など、いろいろと単品で。孫は、牡蠣飯をたっぷり一膳食べました。

 お店の人は親切だし、料理もおしゃれでおいしくて。みんな大満足です。

Photo_6 食べ終わる頃には人見知りの孫も少し慣れたかな?夫に抱かれて緊張しながらも、泣きませんでした。

 一家はもうしばらく広島にいます。どう過ごそうかとわくわくしています。でも、考えてみれば、広島って、小さな子どもと遊びに行く所って本当にないですね。息子たちが小さい時には、ナタリーとか、のうが高原とか、お弁当を作ってよく行っていたのに。さて?安佐動物公園かな?

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性教育バッシング⑨中学生に避妊を教えるその2.

 このあたりから、中学生たちの顔がどんどん真剣になって、こちらの顔をじっと見つめています。

『膣外射精をしていたのに妊娠したという人が29%。やっぱり100人中30人近くの人が妊娠しているのですね。

 さすがにコンドームを毎回欠かさず、手抜きせずにちゃんと使ったという人たちの妊娠率は、ずっと低くて、13.5%。この人たちはお気の毒で、どうして?ちゃんと避妊してたのに、と言われます。どうしてっと言われても、コンドームの避妊率は1年間でで85%。一年以内に100カップル中15カップルが妊娠すると言われています。それとホント近い数値、13.5%という数が私たちの所でも出ました。』

 もう、この辺りの中学生の反応はすごいものがあります。後での感想文で
「外に出せば大丈夫と思ってた」とか、
「コンドームを使っても13.5%の人が妊娠するなんて、本当にびっくりした」
「自分はほんとうに無知だったとわかった」
などが満載となります。

『それから、安全日、危険日。これほどダメなものはないんでね。女性の体は機械ではないのです。機械だって時々故障するのに。まして、女性のからだ、排卵とか月経とか妊娠とかは微妙なホルモンで左右されています。それも、ここ(と額を押さえます。それまで下を向いていた生徒たちが一斉に顔を上げます。じっと下を向いても、耳はしっかりこっちを向いていたことが分かります)、脳から出るホルモンによって左右されているんですね。うーんと憂鬱なことがあれば、ホルモンの出が押さえられたり、ワーッと興奮すると、ワーッとホルモンが出たり、こんなことは日常繰り返されているのですね。

 だから、もうそろそろ生理だから大丈夫なんてと思っていると、わーっとホルモンが出て、ということはしょっちゅうあること。(私は不妊治療などで沢山の基礎体温を見ています。なかには、そろそろ月経というころに、もう一度体温が上がって二段の排卵というのを沢山見ています)女性のからだはいつでも妊娠するからだと考えていつでも避妊をしなければならないのですね。安全日なんて、こんな言葉を作った大人が悪いと思っています。

 安全日危険日、これ単独の人は少なくて、9人しかいませんでした。危ない時はコンドームという人はコンドーム時々という方に入れましたので。統計的意味は持たないので、参考までに。9人の内実に7人が妊娠していました。77.77%。こんなのは避妊とは言わないよね。

 多くのカップルが沢山子どもを産まなくなった今、避妊というのは、とても大切なことなのだけれど、いまだに100%安全で100%確実に避妊法というのは、ないのですね。

 ピル、経口避妊薬、これは女性が確実に飲んでいれば、確実に避妊できるという意味で、女性にとっては大きな福音でもあります。もし、将来、確実に避妊したいということになれば、ピルの処方の相談に産婦人科に行くのも選択肢の一つであると、言っておきますね(ピルを飲めと言っているのではありません。ピルの相談に産婦人科に行くといっていますので)』

 ピルの副作用、飲んではいけない人の話もここでします。35才以上でたばこを一日15本以上吸う人とか、コントロールできない高血圧症の人とか、前兆のある片頭痛の人とか。ただ、人工中絶の副作用にくらべれば、副作用の発現率は極めて少数であることも。それでも、基本は相談に行った産婦人科でしっかり副作用、特に血栓症のリスクとか、その対応などの話を聞いたうえで決めることです。

 そして、ピルは望まない妊娠は防いでくれるけれども、HIVエイズウィルスに代表される性感染症の前にはまったく無力であることも。これからの君たちの時代なのだから、望まない妊娠はしない、させない、同時に性感染症も防衛すること。その話をします。そのためにはコンドームともう一つ。WHOでは、避妊は確実なピルで、性感染症の予防はコンドームで、その両建てで、と勧めています。

 大切なのは、そこまでできるか、そこまでできる関係であるか、ということ。もし、二人で話合って、そこまでできるのであれば、それはコミュニケションの取れ遭ったいい関係なのでしょうね。でも、若者の性は、妊娠したらどうしよう、しないためには、どうしようか、という話合いするしないままに、行動が先行している、とても貧しい性を実行してると思います。

話したいことは満載です。

 ただ、基本はセックスを怖いものであると脅すのではなく、素敵なもの。素敵なものを素敵なものとして実行できる大人になってほしいという思いで。

 そして、素敵な性とは何だろうと話は続きます。少なくとも、びくびくしながらの性、警戒しながらの性は決していいものにはならないということ。妊娠したらどうしよう、だれかにばれはしないかしら、親に知られたらどうしよう、それから、この人はどんな人なのか、そこから出会い系サイトの話に繋がっていきます。

『今、君たちは中学生で携帯を持っている人は少ないでしょうが、高校生にもなると多くの人が持つでしょう。携帯を持つと、出会い系サイトの情報がどんどんと入って来ます。今、フィルターがかけられて、出会い系サイトは少なくなっていても、それに代わるものとして、「掲示板」があります。ゲームの掲示板、学校掲示板、学校うら掲示版など。掲示板にアドレスを晒すということは、これはメールの交換だけでは終わりませんよ。これは必ず会おうということにつながります。会う目的は?』

 ごめんなさい、なかなか終わりません。また次に続きます。でも、こんな話をさせてくれる所は、まだまだ少数なのです。バッシングに影響されている学校や地域ではこれでも「過激な性教育」と言われるのですから。

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性教育バッシング⑧中学生に避妊を教える。

 これも、以前のブログでお話ししていますが、それでも、繰り返しますね。

 『(妊娠の結果は女性のからだが背負うということ、それがちゃんと分かっていないということをしっかり話したうえで)だからこそでもありましょうが、「避妊」が全然ダメ。この中のほとんどすべての人がいつかは、きっと避妊が切実になる時が来ますからね。

 時期はみんな違うでしょう。子どもを何人か産んだ後かもしれない、前かもしれない、間をあけたい時かもしれない、それから今はまだ分からないけれど、この中にも一生性交をしない人がいるかもしれない、それはそれでいいのですよ。みんながしなければならないものでは決してないからね。

 それから今はまだ分からないけれど、この中にも大人になった時に子どもができない人もいるかもしれない。それから、中学生にもなると自分で分かることなのだけれど、人を好きになる時に異性をではなく、同性を好きになる人もいるかもしれない。それはそれでいいのですよ。人を好きになる時に、男は女を、女は男をしか好きになってはならないことでは決してないからね。ただ、同性同士だと、赤ちゃんを産む、妊娠を望むには、いろいろとハンディーがあることも確かだね。

 そんな人もいるかもしれないけれど、ほとんどの人が、いつかはきっと避妊が切実になる時が来るから、最後に避妊の話をしておきますね。

 でもね、実は、皆さんたち中学生に避妊を具体的に話すことは禁じられています。本当は話したい、ちゃんと知っていてほしいけれど、話はできません。だから、数字を上げますね。この数字を知ってもらうだけでも意味はあると思うし、これくらいは話すことを許して欲しいと思うので。

 私が診た10代の少女たちが1000人になった時点でのデータです。1000人のうち、709人に性交の経験がありました。その709人と、相手の男性との間で行われていた避妊法、そしてその中のどれだけが妊娠していたかという妊娠率を調べました。

 女性は19才までだから、高校生が一番多かったけど、相手の男性は、半数以上が20才以上の大人、それから職業で言うと圧倒的に、4人のうち3人、75%が社会人でした。それから、たとえ生理痛で来ても、過去一度でも性交の経験がある人は全部このデータにいれているので、妊娠率は少し少なく出ています。だから、絶対数ではなく、比較を聞いて下さいね。

 一番多かったのが避妊していなかったというもの。その人たちの妊娠率が38%。基本的にコンドームを使っているけれど、使わないこともあったという人たち、実は、今はこんな人たちが一番多いのですね。コンドームを使う人は増えているようでも、使ったり使わなかったり、実にいい加減な使い方をしている。コンドームは、毎回かかさず、性交の最初から最後までというのが、基本なのだけれど。使ったり使わなかったりという人の妊娠率は34%。避妊しなかったという人たちとたった4%しか差がありません。ということは、一回でも手抜きをすると、ずっと避妊していないのと同じようなことになってしまうということですね。

 それから、これも増えてて、これは絶対アダルトビデオが影響していると思うのだとけれど。アダルトビデオは、もう見たことがある人がいるかもしれないし、これから見る人も多いだろうと思うけれど。A.V.は、性交の仕方を学ぶものではありませんよ。あれは、大人の娯楽として、多くは男性のマスターベーション用に作られている、演技の世界なのですね。

 A.V.の中で行われているのが、射精の時だけ外に出すという、膣外射精。若者たちは外出しと言っているけれど、射精の時だけ外にだしてもダメなのですね。その前にいくらか粘液に混ざって精液が出てきます。少しでも精液があると、その中には莫大な数の精子がいるのであって。コンドームを途中からつけるのがダメなのと、同じことになってしまうのです。』

 長くなりました。続きは、明日にまた。避妊に続いて、出会い系サイトのことにも触れますね。

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性教育バッシング⑦「性的接触」

 「性交」や「セックス」も使用禁止。思春期の生徒を刺激するからの理由です。まるて゜言葉がりなのですが、でも、巷には、ネットをはじめとして、情報が溢れ返っています。それも、性を単なる遊びや娯楽として描かれるものがほとんどです。性には、当然妊娠や性感染症が伴うものであるということは、すっ飛ばされています。

 それらの情報にどっぷりつかっている若者たちに真正面から情報を伝えたい、それらを知ることによって、賢くなってほしい、賢く行動を選択してほしい、そんな思いで性教育に取り組んできました。

 でも、それらの言葉を使わないようにすれば、若者たちは刺激されなくってすむと思う人たちは、浅はかだと思います。隠せるものではないし、隠せばそれで若者たちが賢くなるかと言えば、そんなものではないのです。

 先日も言った、私たち、性教育に取り組んで来た産婦人科医の集まりは、年に何回か集まり、情報を共有し、合同の調査や発表をし、そしてまた全国に散らばっていきます。

 ある日、その会で若い男性のドクターが「みなさん、一枚スライドを見て下さい。私の小学一年生の娘が読んでいた雑誌です。」雑誌を見開きにして、デジカメで撮ってスライドにしてきていました。それには、

「小学校卒業までにくわえたおちんちんが10本」との見出しがつけられていました。さすが、それを見て私たちもうなりました。そこは東京だったのですが、参加している人から

「おい、今からそれを持って国会に行け。国会で山谷えりこ氏に見てもらえ」

 との声が上がりました。

小学生から、「おちんちんってなめるものなの?」という質問が出て、びっくりしたという話も聞きました。

 そんな情報社会だからこそなのですが。

「性交」や「セックス」や「エッチ」という言葉は使用禁止、代りに「性的接触」という言葉に置き換えられました。

「性的接触」と言えば、キスだってそうですし、それでは、「普通のキスではうつりません」というHIVなどの感染とその予防が正しく伝えられません。問題は、言葉を使わないようにすれば、それで若者たちの行動が正しくなるであろうという、そんな思い込みなのです。「性交」も「セックス」も医学用語なのですがね。

 性教育を、「セックス教育」「セックスを勧める教育」と、意図的に捻じ曲げた人たちや教育委員会から、ここでは、挙げませんでしたが、まだまだ数々の嫌がらせを受けながら、それでもめげないで性教育に取り組む仲間たちがいます。

 私は、「自由に言葉を使ってもいい」所に講演に行っています。講演を聞いてもらえば、その言葉を正しく使うことがなぜ必要なのか分かって頂けますし、リピートして戴いています。

 でも、中学生に「避妊」を教えてはいけないことになっていますので、それは仕方がありません。してはいけないことを話して、攻撃されたなら、そしてこれ以上講演ができなくなったら、その方が損失だから。だから、工夫をします。

 私は、すべての若者が避妊をちゃんと学んで社会人になってほしいと思っています。すべての若者がと言うからには、だから義務教育の段階でと。多くのカップルが子どもを沢山産まなくなった今、避妊はとても大切なことです。今のように、高校だと、高校に行かない人、中退する人は、こんな大切なことを何も学ばないままに社会に出、性を実行するようになってしまいます。知らないまま実行することの悲しさを私はいやというほど見てきています。

 もう何度も言っているように、中学生の妊娠の相手の男性は、中学生か社会人。高校生の妊娠の相手の男性は、高校生か社会人なのですね。

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 これらの私のクリニックでのデータを見ると、学生の間はセックスをしないようにとだけ教えておけばよいというのが間違いだと分かって戴けるでしょうか。社会に出れば、もう誰も教えてくれないのですから。自力で情報を得ようとすると、雑誌やAVからになってしまうのです。だからこそ、学生の間にしっかり伝えておきたい、そう思います。

 次回、中学生へどう工夫して避妊を教えるか、それをお話しして、そろそろこのシリーズもお終いにしますね。

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性教育バッシング⑥陰茎・膣

 七生養護学校の「ここから裁判」の勝利報告会が以下の如く案内されています。

 この案内にも出ていますように、七生養護学校へのひどい介入は、「見せしめ」とされ、そこから全国に波及していきました。

七生養護学校「ここから裁判」裁判 勝利判決が確定!  
  =七生養護学校「こころとからだの学習」裁判=
 ☆ 2・1勝利確定報告集会 ☆

   2014年2月1日(土)18:15~(18:00開場)
   全国教育文化会館・エデュカス東京7階ホール
     (四谷駅7分、市ヶ谷駅7分、麹町駅2分)


 長きにわたって皆様からご支援をいただいた、七生養護学校「こころとからだの学習」裁判の、高裁での勝利判決が確定いたしました(2013/11/28)。
 10年半にも及ぷ闘いでした。七生養護学校の教育への不当な介入は見せしめとされ、その後の教育現場、教育内容への管理強制強化につながっていきました。
 七生養護事件の真実、この間の経過、判決で勝ち取れたこと、これからの課題などを報告し、考え合い、壊されてきた東京の教育を取り戻すための、新たな第一歩となる集会にできればと願っています。
 お忙しい時期ではありますが、ぜひご参加ください。
「こころとからだの学習」裁判を支援する全国連絡会

 広島の地でも、保護者とともに作った授業をした学校に、統一協会系のPTA協議会の役員と市会議員が乗り込んで、資料を出せと迫ったこともありました。

 ある中学校に、やはりPTA協議会の役員の女性が乗り込んで、「ここはジェンダーフリー教育をしているから、トイレが男女一緒でしょう。トイレを見せて下さい」と言ったと。「いいえ、そんなことはありませんよ。トイレは男女別々です。見て下さい」と見せると、「アラ、ホント」と帰って行ったと。

 こんなばかばかしいでも深刻なことが、本当にあったのです。でも、何より深刻な介入は、「みんなかがやけ」という、男女共同参画に基づいた副教材を作る委員会に、やはりPTA協議会の役員の人たちが毎回乗り込んで、ひどい妨害をしたことでした。その委員であった大学の先生への数々の嫌がらせ、それは大変気の毒なことで、その先生は、とうとう広島から出て行かれたと。後で聞いて、何の支援もしなかったことが、本当に申し訳ないことだったと胸が痛みました。

生徒たち、子どもたちに「からだ」を教えることは、いやらしいことではありません。体は、生きる基本です。体に命が宿るのです。体を知らないと、防衛もできません。だからこそ、七生の先生たちにとってもどうやって「からだの繋がり」を教えるかが、課題でもありました。その工夫の中で生まれたのが、「からだうた」でもありました。

 わいせつとされたのは、「ペニス、ワギナ」というような性器の名称だったようです。で、文科省の教科書から消えて、変わりに「陰茎・いんけい」と「膣・ちつ」が登場しました。陰茎と膣だったら、わいせつではないというのが、またおかしなことで。

 文科省と交渉した人から聞きました。「医学用語」をつかえと言われたと。いえ、ペニスは医学用語です、というと、「英語を使う必要はない!」と。今の時代、英語を使うな、とはびっくりです。もっとおかしなこともあります。小学校低学年は「幼児語」を使えばいいと。「幼児語ってなんなのですか、おちんちんですか」と言うと、「そうだ」と。では、女のこは何と言えばいいのですかと聞くと、「いちいち私に答えさせるな!」と怒鳴られて、終わりだったと。

 本当にこのようなことがあったのですね。このような意識と知識で、国の教育の基本が作られて行ったのが現実なのです。

 

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性教育バッシング⑤国会と文科省

 様々な地方議会よりも先行してバッシングが行なわれたのが「国会」の場です。20002年6月当時の民主党議員を初めとして、78人の国会議員により「行き過ぎたジェンダーフリー教育や性教育から子どもたちを守るために」「健全な教育を考える会」(代表幹事は、それまでも、国会のさまざまな場で根拠のない質問と意見を繰り返していた山谷えり子議員)が発足しました。

 同年8月、2001年から配布されていた中学生向け性教育パンフレット「思春期のためのラブ&ボディBOOK」(厚生労働省所管の「母子衛生会」作成)を絶版とし、在庫は回収という措置が取られました。

 20003年2月6日、日本の家庭を守る地方議会の会主催「ぶっばせ!ジェンダーフリー~男女共生・児童の権利の政治的歪曲を許さない緊急集会」が開催され、高橋史郎明星大学教授と山谷えりこ氏が講演をしました。

 そこに参加した人たが中心となって、各地方議会での根拠のない発言と報道が繰り返されることとなりました。

 そして、文科省は、これらの動きを受けて、指導要領の改訂により、「ペニス、ワギナ、セックス、性交」という言葉を教科書から消し、それらの言葉は使用禁止とされました。中学生に避妊を教えることも禁止です。

 エイズなどの性感染症やその予防は中学生で教えることになっていながら、性交という言葉も使えない、それらの言葉を使う外部講師の講演も禁止というそのような通達により、現場では、なんにもできない!という悲鳴やあきらめが広がりました。

 広島の地において、私は地方の経済界に売られる雑誌で、びっくり仰天の名指しの記事を掲載されました。例のごとく「若者たちにセックスをあおって、家庭を崩壊させ、革命を狙っている」という、お決まりの調子で、何の根拠もなく。

 医療の現場で、望まない妊娠、人工中絶、性感染症などが繰り返される若者たちに警告を発するために必死で行って来た性教育を、このようにゆがめて掲載されて、ほんとうにびっくりでした。その記事は、当時の広島市PTA協議会会長名で書かれた連載でした。

 その内容のあまりのひどさに、私は名誉棄損でその出版社とPTA協議会の会長を提訴しました。

続・いま“生きる底力”を子どもたちに!―性教育バッシングに物申す 産婦人科医・河野美代子の熱烈エッセイ&トーク

 診療や講演をしながらの、長く苦しい裁判でしたが、その闘いの報告は、この本に掲載しました。今読み返してみても、涙が出るほど悔しい思いと、負けないぞ!!とい思いで頑張り続けた裁判です。沢山の資料を集め、裁判官たちが良く分かって下さいました。多くの方にも支援して戴きました。PTA協議会の会長を相手にするということは、どれだけのリスクを背負うかということが問われることでもありました。が、それまで一方的な情報の提供で、ゆがめられ続けて来たPTA活動に、少しでも警鐘を鳴らすことができて、本当によかったと思っています。

次回、今の性教育の現状について、いまだに続くバッシングの影響などを述べます。
 

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性教育バッシング④ジェンダーフリー教育もセットでバッシング

 性教育へのバッシングと同時になされたのが、「ジェンダーフリー」へのバッシングです。ジェンダーフリーとは、性別によって差別を受けたり、生き方を制限されたりすることなく、すべての人間が多様な個性と能力を発揮できることを目指すものです。

 ところが、これを「性別をなくす」ことであるとか、「フリーセックス」を推奨するものであるとか、意図的にゆがめられて宣伝されました。あちらこちらの地方議会で「同じような意見書採択が試みられ、実際に採択されたところもあります。

 例えば、当の七生養護学校に乗り込んだ都議の古賀俊昭氏は、2013年2月14日、都議会一回定例会で

「ジェンダーフリーは、単純に男らしさ、女らしさを否定する次元の問題ではなく、日本人の人格を否定し、日本や家庭という共同体を敵視したあらたな革命運動であるとの、この思想の本質と恐ろしさを認識することが何よりも肝要であります。そしてこの新しい革命運動のもう一つの顔が今日、全国各地で問題となっている、常軌を逸した、異常な、露骨な学校での性教育であります。」

と述べました。

 2003年7月に鹿児島県議会で採択された、ジェンダーフリー教育に反対する陳情では、具体的な県・市・学校名を上げ、「男女一緒に上半身裸で身体検査をした」「ランドセルを男女ともに黒で統一した」「高校で体育の時間など男女が一緒の更衣室で着替えをさせられた」「修学旅行で男女が一緒の部屋で宿泊させられた」とっ言った例が挙げられました。

 これに疑問を持った「南日本新聞」の記者たちがチームを組み、具体的に名前の挙がった県・市・学校に取材をしました。そして、そのような例はどこにもないと明らかにしました。

8月5日付で『"極端"現場どこに―鹿児島県議会採択の「ジェンダーフリー教育反対」陳情』『「ジェンダーフリー教育反対」関係自治体・学校は否定―男女一緒の身体検査、更衣、宿泊』と見開きのページで掲載しました。

 私も、その記者の方とお話ししたことがあります。これはおかしいと疑問を持ち、名前が上がったすべての自治体と学校に取材をしたと。それは、たいへんな作業であったと。そして、どこにもそんな例がないことを確認した上で、その質問をした議員に取材、そしたら、それは筑波大学の中川八洋教授の冊子「これがジェンダー・フリーの正体だ―日本解体の革命が始まっている」(日本政策研究センター)を根拠としたものであると聞き出しました。

 そして、記者は中川氏に会いました。中川氏は「実際学校には当たっていないこと、さまざまな資料から引用しつつ書いたこと、それぞれの事例は明星大学の高橋史郎教授に確認した」と記者に答えています。

 そこで記者はさらに高橋氏に取材をしました。そしたら、当該の学校に確認したわけでもなく、「東京女性財団が出したジェンダーフリー教育のビデオを見た」と言い、さらにそのビデオを確認すると、どこにもそのような事例はないことが指摘されています。

 この中川八洋氏の冊子は、広島県のPTA協議会の大会でも、多く売られました。それに、全国でこの冊子を使って、議会での意見陳述が行われました。

 広島県でも、ある議員が、議会で「小学生にピルを勧めたのだ」と演説をし、教育委員会から「そのようなことはあってはならないことです」との答えを引き出しました。実際、どこの誰がどのような現場でピルをすすめたのか、そのような具体的なことは何もなく・・・。

 「ウソも百回言えば」の如く、発言と報道が一斉になされ、性教育やジェンダーフリー教育へのバッシングのうねりとなったのです。

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性教育バッシング③男の子に排尿を教える教材もわいせつと

 七生養護学校で没収され、わいせつな教材とされたものの中に、「ペニス付きタイツ」があります。タイツにペニスがついている、それだけで、わいせつとされました。裁判の中で、教師が訴えました。男の子たちにおしっこの仕方を教える、そのために必要な教材だったと。

 私が、保護者などの大人の方たちに講演に行ったある時に、明らかに障がいを持っていると分かる大きな男性を連れて来られた方がありました。その方が、質問のコーナーで、

 「この子は、おしっこをする時に、どうしてもズボンもパンツもずらして、お尻を丸出しにしてするのです。パンツとズボンの前から出しておしっこをするようにとどれだけ言っても出来ません。学校にもそのような指導をしてほしいと言ってもしてもらえませんでした。」

 ああ、七生の教育がまさにそれだったのだけど、と思いました。男の子たちにおしっこの仕方を教える、こんな当たり前のことが、障がいを持っている子にとっては大変で、それを教えることも大切な実践なのです。そのためのわかりやすい教材作りでした。それすらも「わいせつ」とされ、没収され、「わいせつな教材」と展示され、報道されました。

 先生や、保護者の無念は如何ばかりかと思います。

 私が、この度、このようなシリーズを書こうと思ったのは、私たちは、性教育バッシングの嵐が吹き荒れ、大変な思いをくぐりぬけてきました。でも、今もなお全ての子どもたちに豊かな性教育ができる状況とは程遠い現実が続いています。

 そんな時、私たち性教育に取り組んでいる産婦人科医の集まりのメーリングリストにこんな書き込みがありました。許可を得て、転載します。

『先ほど

yahooニュースで以下の記事を読みました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131226-00001077-bengocom-soci

知的障害者への性教育についての記事です。

これによると

「知的障害のある児童・生徒に対し、歌や人形を用いる独自の性教育を行っていたが、一部の都議らがこれを「過激だ」などと問題視し、現地を訪れて強く批判したほか、これに同調した都教委が同校教員を厳重注意にした」

これに対し「教員や保護者らは不当な介入だとして、都議・都教委らに計約3000万円の損害賠償を求める訴訟をおこした」
というものです。

都議・都教委は知的障害者は性に関心を持つな!誰も教えるな!と言うわけですね。

ですが、知的障害者だからといって性に無関心ではないでしょうし、必要だと思います。

正しい知識をどのような方であっても正しく教えることは、必要です。それが望まない妊娠を避け、性病を避け、性犯罪を減らすことにも

つながると思います。

しかし、教え方は難しいと思います。

もしどなたか経験がありましたら、ご教示下さい。』

 これを読んで、感慨深く思ったのです。私にとって、これまでの一連の性教育の実践、その中で吹きすさんだバッシングの嵐、その象徴ともいえる七生養護学校へのバッシング、やっと裁判が完全に勝利となって、でも、今の状況はなんら変わることなく続いている、それらの一連を知らない若いドクターたちが、仲間にいるということがショックでもありました。

 でも、知らなくとも、彼の若い感性で、このような思いを素直に話してくれることの素晴らしさ!

 私は若い仲間たちに今、性教育はどんな状況にあるのか、その立ち位置を知ってほしいと思いました。

 全国で講演が殺到している若いドクターたちに、講演の主催者から「ピルや避妊については話さないでください。中絶はしっかり脅して下さい」また、「性交やセックスという言葉は使わないでください」というような注文が入り、憤慨する人たちもいます。それらの注文がなぜなされるのか、ここに至る歴史(と言っても、つい最近のことなのですが)それを知っておいてほしいと思うのです。

 七生に象徴される吹き荒れたバッシングが、他の地方にもどんな事があったのか、統一協会に協力する国会議員たちがどんな働きをしたのか、その議員たちに動かされて、文科省がどうしたのか、そんなことを知ってほしいと思ったからです。

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性教育バッシング②没収された家族人形

 昨日の「からだうた」、娘に「この歌詞聞いて」とだけ言って、読みました。そしたら、娘は「素晴らしい!!」と言いました。娘は、今、学生をしていますが、実習に行ったのをきっかけに障がいを持った人たちの作業所にボランティアで行ったりしています。

 でも、その素晴らしい!!と言った歌が、使用禁止になったんだよ、と言うと、びっくりして、「どうして?」何がいけんのん?」「わいせつなんだって」「何がわいせつなん?じゃ、どう言ったらいいん?」「どうも言えんのんよ、教えたら、いけんのよ」「ええ?からだを教えたらいけんのん?」

 ここで初めて養護学校で生徒に体を教えるために先生たちと保護者が一緒になって苦労して作られた歌だと言いました。障がいを持った子どもたちには、体を教えたらいけんのんよ、となっていしまいました。誰が?国会議員や都議や教育委員会や文科省が。と、そうなってしまいました。

 七生養護学校に都議たちが産経新聞社の記者と共に乗り込んで没収した沢山の教材の中に、「スージーとフレッド」、家族人形があります。スージーとフレッドは、アメリカのジューン・ハーネストさんという発達心理学の専門家が作成したもので、世界中で使われています。

 私も、クリニックの書棚に両親とお兄ちゃん、お姉ちゃん、それに双子の赤ちゃんの人形を置いています。

Photo  この人形たちには、性器や体毛もついています。いつもは、きちんと下着や服を着ているこの人形たちが、スカートをまくりあげ、下着やズボンをずり下げ、性器をむき出しにして並べられた無残な姿で写真を撮られ、「まるでアダルトショップのよう」と新聞に報道されました。

 以下、昨日紹介した本から引用します。

「障がいを持つ子どもたちにとって、人形は親しみやすく、言葉や絵では理解がむずかしいからだのことを、目で見たり、さわったりして学ぶことができるすぐれた教材です。新聞に載った写真の人形は家族人形で、子どもたちから大人までの各世代の男女があり、性教育のときに出会う人形として、子どもたちに親しまれているものです。「頭はどこ?」と人形といっしょに自分のからだをたしかめたり、からだの名前を知ったり、人形で初めて背中に気づいた子もいます。障がいが重く、表情が乏しい子も、人形のほっぺに手を出してさわって、表情を見せたりします。

 性器のある人形は、本物のからだの代りになって理解を助けてくれます。「この子は男の子かな、女の子かな?」の問いかけで、授業がはじまります。「人のいる所ではパンツはぬがないんだったね。でも、今日はみんなのからだの勉強だから、みせてもらっていいかな?」と人形に断ってから衣服を脱がせ、「男の子(女の子)だったね」と男女の性器の違いを学びます。自分のからだも人形と同じであるとわかっ安心したり、異性のからだのことも学びます。

 大人の人形にはわき毛や性毛、女性の人形には乳房などがあります。人のからだにあるものが自然体で人形にもついていますが、からだや性を学ぶための人形ですから、ポルノとは全く次元の異なるものです。

 月経血がうんちの穴から出てくると思っている子は人形で膣を知ります。また、違和感から性毛を抜いてしまうような子も、大人になると人形のように体毛が生えることを知って受け入れます。」

「性被害にあったとき、その意味もわからず、まして、人に伝えることもできない障がい児が多いなかで、人形で学習していれば、子どものほうから人形を使って表現することができるでしょう(河野注:実際、アメリカでは、性被害にあった子どもに、どんなことがあったのか、人形を使って尋ねることも行われています)有効な教材を子どもの実態に応じて選ぶことは当然のことです。

 写真には無残な姿で人形が並べられていてやりきれない思いがしました。人形そのものよりも、あのような写真の撮り方にこそ、剥き出しのポルノの視線を感じ、記事にした人たちのセクシュアリティ(性に対する考え方)を疑いたくなります」

 

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性教育バッシング①七生養護学校「ここから裁判」勝訴確定

 2013年11月28日、最高裁第1小法廷は、都立七生養護学校で行われていた性教育(こころとからだの学習)に、都教委、都議3人、産経新聞社が介入した事件に対し、上告を棄却するとの決定をしました。これで、2005年に提訴された裁判も、原告の勝訴が確定しました。

 提訴した先生方や保護者の方々、本当にお疲れさまでした。長い長い闘いでしたね。

 この結果に、かげながら拍手をした人たちも多かったことでしょう。それは、性教育バッシングの嵐に必死で対抗してきた、多くの性教育にかかわって来た人たち共通の思いでもあったことでしょう。

 都立七生養護学校は、日野市にある小・中・高等部を持つ知的障がい児の学校です。生徒の半数は、隣接する七生福祉園から通ってきます。生徒の中には親の顔を知らない、幼児期から虐待を受けてきたなどの子も多く、また集団生活ということで、性的な行動に発展してしまうことも多くありました。 障がいを持つ人にたいしての性教育は、その必要性が認められているにもかかわらず、なかなか実践されません。難しいと足踏みする状態が続いていました。このような事態をなんとか打開したいとはじまったのが、「こころとからだの学習」でした。

 その学習は、教師や保護者も共に、丁寧に子どもたちと向き合いながら、実践されたことです。そのために、多くの教材が集められ、また、手作りされました。

 ある日、突然に都議が産経新聞社の記者を伴い学校に乗り込んで来て、多くの教材が没収されました。

 そして、都教委は校長を平の教師に格下げし、多くの教師を処分し、他校に転校させました。まさに戦前の大弾圧ともいえる状況が展開されたのです。

 それまで校長会などで大絶賛されていた「からだうた」の禁止、「家族人形」の使用禁止、性教育の禁止、これらは他校にも及びました。

「からだうた」は、知的障がいのある子どもたちに、身体のつながりや名称を意識させたい歌遊びです。都議会では、この歌が「とても人前で読むことがはばかられるもので・・・きわめて不適切な教材でございます」と当時の教育長は答弁しました。

そのからだうたはつぎのようなものです。

「あたま、あたま、あたまのしたには首があって肩がある、肩から腕、ひじ、また腕、手首があって手があるよ(右と左をくり返す)胸にオッパイ、おなかにおへそ、おなかの下がワギナ・ペニスだよ、背中はみえない、背中はひろい、腰があって、お尻だよ、ふともも、ひざ、すね、足首、かかと、足のうら、つまさき(右と左をくり返す)おしまい」

 この歌詞に、子どもたちにとって受け入れやすいメロディと、子どもたちの感覚に合わせたリズムを大切にして作られました。

 知的障がいの重い子どもたちに「からだ」を教えるこの歌が、なぜわいせつとされたのでしょう。

次回、まるでアダルトショップのようとされた「家族人形」についても述べます。

なお、このシリーズは、

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 2003年12月に緊急出版されたこの本から多くを引用して書きます。この本は、編著「浅井春夫・北村邦夫・橋本紀子・村瀬幸浩」、この4人の方も含めて、計22人(私も一部書いています)の人が分担して書いています。今も続く性教育バッシングがよく分かる本です。


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年賀状の「エオの谷」について。

 いま私は日常の生活を送っている広島からは隔離された大分にいますので、届いているであろう年賀状も見ないままです。

 昨夜は、義母と河野のお姉さん一家と実家でお正月のお祝いの卓を囲みました。その時に姪に、馬はどこで乗ったの?と尋ねられました。私たちの年賀状を見ての疑問でした。

 背景は実家の裏の杉の木に登ったハヤトウリ。そこに合成したのが、午年にちなんでの私の乗馬姿です。「エオの谷」で昨年秋に撮った写真です。それについては、ここから 二日間にわたって書いています。

 でも、読み返してると、エオの谷について、ほとんど書いていません。私にとって、エオの谷を知ったこと、そこで生活と活動をされているご一家を知ったことは、また、感動でもありました。「ホースセラピー」という言葉も初めて知りました。

 自分たちで馬場を切り開き、ログハウスを作り、沢山の馬と共に生活をされているご一家。

 私たちの当初の目的は一人で頑張っている「ひまちゃん」に馬に乗ってもらおうというものでした。でも行って見て、ひまちゃんはもとより、私たちが「癒された」と実感したのです。確かに、ホースセラピーでした。

 エオの谷のホームページはここに あります。そこにあるTearさんのブログもぜひ覗いてみて下さい。雪景色のエオの谷、雪を喜ぶ馬、そしてそれに乗るTearさんの姿(落馬したのかな?)など素敵な写真も沢山あります。

 ひまちゃんのブログはここにあります。遡って戴くと、12月2日のブログにエオの谷でのひまちゃんの報告も出ています。

 その日、エオの谷でTearさんにお話ししてもらったこと。

Photo

 ひまちゃんが馬に乗る時のために木で壇が作られていました。ゆっくりと階段を上がり、何人もが上がれる広く作られた壇。そこから直接馬の背中に乗るようにしてありました。それは、以前ひまちゃんがエオの谷に来た時に、乗るのがとてもむずかしかったので、そのために丸太を切って新たに作られたのだと。 それから、ひまちゃんが馬に乗った時に、掴まる所がうんと下で、馬の背中の所なので、それが難しくて怖かったと言われたと。もっと上に掴まる所があれば、とひまちゃんに言われたと。

 「そうして、お一人ずつから教えられながら、教えられながらなのですよ。」

と言われました。そういう謙虚さがすごいと思いました。私も、患者さんに教えられながら歩んで来たはず。それを現実の厳しさの中で、ともすれば忘れそうになることもあります。気をつけなければ、と思ったのです。

 それにしても。馬に乗って、「大丈夫です。一人で山道を行けます」と言われて、おっかなびっくり。いざ乗って見ると、とても高くて、心細くて少しだけ後悔したのですが、それをやってのけたひまちゃんの勇気、すごい、拍手!全てを受け入れ、前向きに望みをかなえて下さるエオの谷のご一家もすごい、拍手!あらためて感動しました。

 今日の夜、娘が東京からここに来ます。義母と一緒にごはんを食べて、明日は、娘と一緒に入院している兄のお見舞いに行きます。

 昨年暮れに、新年を迎えるにあたって、まとめておきたいことを考えていました。でも、いろいろと出来事があって、できませんでした。それを新年にあたってシリーズで書きたいと思います。一つは、貧困、それも子どもの貧困について。もう一つは、性教育バッシングについてです。ぼつぼつと書きますので、ぼつぼつと読んでみて下さいませ。よろしくお願いします。

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別府湾の初日の出。

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 別府湾の初日です。

と言いたい所なのですが。

実は、雲がかかっていて、ダメかなと思っていたのですが、家の二階から

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こんな丸い初日が見えました。屋根の間に別府湾の海が見えるのですが。で、それっと外へ出て、車で海が見える所に行ったら、もうこんなになっていて、丸い太陽が見えなくなっていました。

ああ、残念。でも、赤い空がきれいなので、恥ずかしげもなく、アップします。ヤシの木がちらっと見えるでしょ?

 この後、空が全部真っ黒い雲に覆われたり、今はまた太陽が出ています。不安定なお天気の元旦です。

 私は、昨夜遅くから、それこそ元旦にかけてレセプトをやっつけて、今、やっと終了です。

 これからお風呂に入って実家に向かいます。

 皆様いいお年をお迎えでしょうか。いい年にしましょうね。(何度も言ってますが・・・)


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皆様、あけましておめでとうございます。

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ほんとにいい年にしたいですね。

 紅白歌合戦、とぎれとぎれに見ました。ちょうど見ることができた三輪明宏さんの「ふるさとの空の下に」、涙が噴出しました。一昨年の「よいとまけの歌」もすごかったけど、今回は舞台の照明も合わせて、圧巻でした。これを見ることがてきただけでも、紅白を見る価値がありました。

 皆様、本年もどうぞよろしくお願いします。

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