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性犯罪の被害者について。②被害を訴えるということ。

 昨日の続きです。

 集団の強姦の被害者である高校生は、事件後一人で悩み続け、体に異変が起きてから、産婦人科を受診しました。

 事件の直後であれば、私たちは彼女の合意の上で、体を診察し、証拠の採取をします。体の被害についてもカルテにしっかり記載します。

 そこで大切なことは、あなたが事件にあったのは、決して「あなたの責任」ではないということをお話しすることです。強姦事件の被害者は、後々まで自分を責めて苦しむことが多々あるからです。そんなことがないように、よくお話しします。

 私たちは警察ではありません。彼女の心に寄り添うことが何より大切なのです。一応、証拠の採取と保管はしますが、これをどう使うかは、あくまでも被害者本人が決めることです。

 もし後になって、警察に相談したいということになったなら、証拠は取っているからね、というお話しをします。

 それと、もしも相手を許せない、罰を受けて欲しいという気持ちになったなら、その時には警察に行く方法などをお教えするからね、相談に来てね、ともお話しします。

 でも、今回の被害にあった彼女は、その直後の受診ではありません。それでも、彼女は警察に被害の相談をし、警察はとてもよく対応してくれたそうです。

 彼女もつらい中、現場検証にも立ち会っています。万全で警察も4人の男を逮捕したのですが。

 このような時の「証拠不十分」、「証拠」とは、一体何なのでしょう。

 ある弁護士さんは、「合意のあるなしを問われたのかもしれない」と言われました。同時に「複数の人との性を合意するということは、そもそもありえないので、それを合意があったと見なすのはおかしいことなのだ」とも言われました。

 別の事件でお会いした検事さんは、今の日本の法律では「集団でも合意があるなしは問われる」と言われました。

 今回の被害に合った女性は、複数の女性と共にカラオケに行き、送って行くとの男たちの言葉で友人と共に送ってもらっています。先に友人をおろし、彼女一人を「ある飲食店」の二階に連れ込んで、そこでレイプしています。

 彼女が合意したのは、あくまでも「送ってもらう」ことであり、性交を合意したのではありません。

 そう考えると、一体「証拠」って何?となるのです。

 「セカンドレイプ」。被害を訴えた時、被害者は事細かく、いろいろと問われます。それは事件を立証する上でどうしても必要なことだと言われます。しかし、その調べが時にはとてもつらいことにもなります。だから、事件の被害にあっても、被害届けを正式に出さない方も多くあります。これ以上、つらい思いはしたくない、または家族の「させたくない」という思いで止められることもあります。

 そんな思いを乗り越えてでも、被害を訴え出るということが、どれだけつらいことなのか、警察も検察もそこの所がどれだけ分かっているのか、いつもそこを疑問に思うのです。

 この項、続きます。

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コメント

これは非常に難しい問題です。
私の検事時代の経験からすると,私も被害者の方から事情を聴くのは辛かった。
まして未成年者となると辛かったです。
しかし,犯人が争っているとなると,最終的には公判における被害者の方の証人尋問に勝負がかかります。
否認事件では供述調書を証拠とすることはおそらくできませんから。
その尋問に耐えるだけの応答ができるかという意味でも,事情聴取は根掘り葉掘り細かく何回もやらざるを得ません。
強姦致傷だと裁判員裁判にもなりますし。
証人尋問の際のビデオリンク方式,遮へい措置,被害者特定事項の非公開など徐々に法律は改正されていますが,現行法上被害者の方の感情に配慮しながら否認している犯人を有罪にするのは非常に難しいことだと思います。
立証責任は全て検察側にありますから。

投稿: もみじ日記 | 2013年12月17日 (火) 15時31分

もみじ日記さんが法律家さんなんてしりませんでした、いろんな法律家さんがいるなか司法当局の最近の女性の性にかんする判決などみるにつけ、実態や民法や刑法ばかりに目をつけられ産婦人科にかよう普通の女性の視点や産婦人科医の視点など排除する行為にもうけとられ、女性の幸せや平等に 対する見方には興味がなく冷たいと感じました、毎日、へどを吐く思いでたくさんの女性が、産婦人科にかよわれてます。その内訳として、性感染症、子宮がんや避妊や不妊、出産などです。司法当局にもっと産婦人科医への意見具申などしないのか、産婦人科医療への調査などを本当にきちんとしてくれていたら、性犯罪の判決にすべての女性がなっとくできるのにと感じました、もちろんもみじ日記さんみたいな努力されてる法律家さんもいるなかやっぱりがっかりです。もっと司法当局に産婦人科医療や産婦人科にかよう女性の声をきちんときいてほしい。まっとうな性犯罪判決をもとめて男女平等を追及してゆきたいと感じました。女性の視点や産婦人科医療の視点がない司法当局は男社会で強引に中立的意見にしてるのではと感じました。法律家や学者の立場ばかり優先された判決はいやです。

投稿: 愛ちゃん | 2013年12月18日 (水) 07時01分

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