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「性風俗で働くということ」その2.

 その昔、私が「さらば、悲しみの性」を書いた頃ですから、もう30年も前になります。その頃は、まだ風俗はほとんどソープランドしかありませんでした。ソープ嬢とは、もちろん代を変えて長い間のお付き合いです。今はソープがかなり斜陽で、もっぱらデリヘルがメインです。

 ソープでは本番があるのが当たり前。だから、堂々とコンドームを使えます。それも、彼女たちは徹底してプロ意識を育てていますから、相手に気づかれないようにコンドームをつけることもできます。

 声を上げれば聞こえるお店の中ですから、彼女たちの身を守られてもいます。私は、その彼女たちがすごいなあと思うのは、やっぱりそのプロ意識です。

 相手がどんな人であっても、嫌いなタイプであろうと、しわだらけの人であろうと、口が臭い人であろうと、ちゃんと対応します。

 お金で性を売る、その一点だけで徹底しています。それは厳しい世界でもあります。

 「性を売る」ということが、そんな厳しい世界であるということが分かるはずもなく、若い女性がもっと気軽にできるものとして、デリヘリが広まっています。

 まだ、本当に触れば倒れそうなほど弱々しい女の子が涙一杯で、本番をされたと、緊急のピルを求めて来たことがあります。その彼女のことで、緊急避妊のピルを、それも代替に使われている中用量ピルをまとめてよこせと、暴力団の男に電話でがなられました。

 本番がある度にそれを飲んでおけばいいというような、そんな使い方はできません。体が壊れてしまいます。それを断って、その時だけの緊急避妊の薬を出しました。そして、ちゃんと低用量のピルで防衛するようにと話しました。でも、その後は彼女はうちには来ません。電話の男、それは厳しい言い合いをしましたが、私の所には来させるはずがないなあと思いました。

 彼女は、もう暴力団の手のうちに落ちています。そう簡単に抜けられるものではありません。

 援デリをしていた少女が何とか抜けたいと思っていたけれど、本通りを歩いていて、捕まってしまって。そんなに簡単に抜けられるものではないと嘆きました。それは、警察の力でもかりなければ、一人で対抗できるほどのやわなものではありません。

 いろいろな組織があっても、その多くは暴力団につながっているということを知らなければ。そして、するのも抜けるのも自分の自由という、そんな簡単なものでもないということをも。

 大きな会社に勤めながら、アルバイトをしている人もいます。そんな彼女が、もし会社の人や取引先の人などの知り合いが客だったらどうするのかと心配です。それは、私の老婆心でしょうか。そんなことになった時の対応法も身に着けているでしょうか。

 昔、私が大学生の時、そんな小説を読みました。あの、石原慎太郎の小説です。おそらく慶応がモデルと思うある大学生の女性が、当時は高級コールガールと言われていた仕事で学費や生活費を得ていました。ある日、ホテルに行った所、同級の大学生数人が待ち構えていて、集団でレイプされて、そして彼女は自殺してしまうという小説でした。(私、慎太郎の小説は好きだったのに、年を取ると、どうしてあんなクソじいさんになってしまったのかと思います)

 ところで、私の広島ブログのクリック数が日頃に比べて異様だったので、アクセスを見てみました。

Photo びっくりです。私の日頃のアクセス数は3000程度なのですが、昨日の夜遅く、なんと47000もになっていました。どうしてなの?その前日のCNBLUEなのだろうかと思いましたが、そうではなく、やはり「性風俗で働くということ」というタイトルでどっと見に来られたのかもと思います。一時的なものでしょう。でも、びっくりしました。

風俗の話、もう少し続けます。

 私は今日は車で出勤です。診療後すぐに車で大分に向かいます。夜の高速道を走ります。

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コメント

はじめまして。「性風俗で働くということ」の記事、大変興味深く拝読させて頂きました。以前に『初めてのsex あなたの愛を伝えるために』も読ませて頂いて、とても参考になりました。

アクセス数についてですが、GIGAZINEという有名なブログサイトが昨日の記事を紹介されていましたので(http://gigazine.net/news/20131210-headline/)、そこから見に来られた方が多かったのだろうと思います。

投稿: u | 2013年12月11日 (水) 11時54分

はじめまして。
昨夜アクセス数が急に増えたのは、はてなブックマークで多数ブックマークされたせいです。
理由がわからないと気持ち悪いかもしれないので、ご報告しておきます。

投稿: nessko | 2013年12月11日 (水) 12時10分

アクセス数のアップは、
昨日、NHKでこういう番組があったからなのでは?

http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/2013-12/10.html

私も番組を見て、関心を持った一人なので・・・。

こちらの2回分のブログを拝見し、
知的障害を持つ女性だけの問題ではないんだなと感じました。

このブログに書いてあるような、「援ヘル」(この言葉も初めて知りました)を簡単にするのがなぜなのか、わからないのですが、貧困が主たる原因なんでしょうか???
あるいは「寂しさ」かもしれないし・・・。

その女性だけの問題(自己責任)でかたづけてしまうと、問題解決は難しいということだけはわかります。

あまりに重いテーマなので、つい、知らないふり、見て見ないふりをしてしまいがちなのでは(特に男性)と思いますが、まずは知ることが第一歩!!と感じます。

また拝見させていただきます!

投稿: K子 | 2013年12月11日 (水) 16時11分

実は三十年前にかかれた先生の名著が心の中で感銘をえました。また三十年前のバージョンに記載されていた梅毒になったソープ嬢の話を高校の現代文の授業で読んで気になってました。自らもそういう業界に短期間勤めましたが短期間でよかったとも思うのですが、勤めた店もそれなりに健康診断などを力をいれていてありがたかったと感じます。それにしてもブログにかかれている店の店長ソフィアAなんか強引にだせなんて医師に要求するなんて犯罪です。簡単には出せない薬です。まして中容量ピルは重症の不妊症にも使えるものを簡単にはだせないと私は思う、個人なことですが、勤めた店や短期間でやめたままにしといてよかったと感じます。じつは、ソープランドやデリバリーやピンクサロンなど色々業種がありますが勤めた店すべてにコンドームは常時携帯して勤務することになっていました。またピンクサロンの先輩は新人に必ず身体検査を受けることや妊娠が怖いのなら子宮内に入れる器具があるから知っとくようにと言われましたが、今はそういう事をきちんと伝える先輩はいないってびっくりです。介護福祉士になる前になる前、ヘルパー1・2級は食べていけないと思い悩みながらヘルパーをしたりた、風俗業界や警備業界なども掛け持ちしてましたが、やっぱり不安定すぎるので、親から介護福祉士までのお金をだすから警備業界や風俗業界はやめたらといい、すっぱりやめました。介護福祉士とる三年間、市内で一番給料がよい訪問介護事業所にフルタイムに近いパートをしながら一発でとるような猛勉強をしてすごしてきました。資格取得の勉強しながら不安定で危険な風俗業界から足を洗うのもよいかもしれません。私みたいに逸脱した足の洗いかたはあまりできませんが、もしやめたいと思っているかたがいるのであれば待機時間に資格取得のための時間をさいたらいかがですか?そういう時間がかなりあったゆえの卵子の老化だと感じますまた、本当に不幸中の幸いのHIVやそのた感染症にも無感染で今一番厳しいIVFを迎えました。もう少し女性にやさしい職場がふえてくれて男性なみのお給料をもらえる仕組みになっていたらこんな思いはしてません。

投稿: あいちゃん | 2013年12月11日 (水) 16時30分

先生、スゴイ内容で驚いています。
こんな厳しい世界で恐い仕事の男性と渡り合って来ておられるなんて、本当に大変なお仕事ですね。
ところで先生、そうすると今日明日に、記念の400万アクセスに達するかもしれませんね。
これもまたスゴイことですね。

投稿: のぞみ | 2013年12月12日 (木) 07時09分

派遣型風俗店の責任者をしております、30歳の男です。
先生の風俗関連の一連の記事を拝見させていただきました。

記事の内容を読み、私なりに解釈をさせていただきました。
私は業界の人間ですが、先生が仰られていること、女性たちに知ってほしいこと…身にしみるほどよくわかります。無防備すぎる女性たちに警笛をならすという意味として、お医者様としての立場からこのように「すこし過激な」内容の記事を発信されることは非常に良いことではないでしょうか。


しかし「性風俗で働くということ」というタイトル。
これだけはいまいち相応しくないと思いました。
しいて言うならば【安易な性交渉をするということ~違法風俗のケース~】
とでもして頂けませんでしょうか。この業界はひとくくりに言っても、色々あるんですよ。

なぜなら…。先生が例として上げられている女性たちは、みな「まっとうな性風俗」で働いている女性ではありません。言葉の綾だ、揚げ足取りだ!と言われたらそれまでかもしれませんが、法律に則り真っ当に頑張っている業界人からすると「大違いだぞ!」と思わずつっこみを入れたくなってしまいます。

記事を読む限り先生は「援デリ」と「デリバリーヘルス」を混同されているように感じましたが、これらは全くの別物です。メディアが便宜上「援デリ」という表現を使用していますが、援デリとはつまり"売春"であり援交の延長線上です。組織的に行われているものは不良のシノギであって風俗とは別物です。

また「ソープで働く女性はプロフェッショナルだから、せめて働くなら彼女達くらいのプロ意識と自衛意識を持って!」という表現も気になりましたが、(そのように解釈しました)まず1つ大原則として、法律上ソープランドとはお風呂屋さんということになってますので、性風俗ではないですよ。先生は政治活動もされていた?方のようですので、このあたりの法令に関する誤解を招くような発言は、取られようによってはうっかり失言になりかねないのでは…と思い冷やっとしました。
(そんなのわかってるよ!という余計なお世話かもしれませんが)

法令の話はさておきとしても、ソープランドもピンきりです。吉原などの高級ソープにいけば"NN(ノースキン・中出し)"が当たり前ですし、プロ意識に関しても本当に人それぞれですよ。

こちらの記事はすでにご覧になられてますか?
http://fuunews.com/archives/2211/

こちらから一部抜粋致しますが
「援助交際(という名の売春)とデリバリーヘルスを同列で語られ、それを性風俗としてひとくくりにされる違和感は、それぞれ飲食店に置換えてみると、より多くの人に実感してもらえるかもしれません。

保健所に食品営業許可申請をし、食品衛生責任者を置いて営業している、いわゆる普通のレストラン(デリヘル)と、道端で無許可におにぎりを販売している「ただの人」(援交)を、扱うものが同じ食品というだけで、どちらも同じ飲食店だと言っているようなものです。」

…これが業界人からの意見です。

ちなみに私の働く会社では、入店の女性にSTD予防のための講習や、定期検査を必ず行っています。驚かれるかもしれませんが、体と心のケアーのために女性社員も在籍しています。店舗の休憩所の壁にはSTDの症例写真や対応方法に関する掲示物が貼られており、「身を守る」ための知識を女性に学んでもらおうと取り組んでます。

言い訳がましいですが「性」を食い物にする以上、これがせめてもの責務…だと思ってます。

現代はネットの発達によって、女性も風俗業界に入る前に様々なリサーチを行うようです。「風俗のHOW TO」みたいなサイトもあったりして、当然STDのリスクなどの知識を持って面接に来られる方も以前より増えました。そのおかげもあり、こういった体制を整えているお店が業界でどんどん増えているんです。

なので一概に風俗で働くということはこうだ!と言われてしまうとなんだか悔しい気分になります…(苦笑)ぜひ業界の現状を知ってほしい。

世の中には色々な人が居ます。誰もやりたくて風俗を選ぶ人間は極稀ですが、その選択しか残されていなかった…という方も案外居るんです。3.11以降東北から出稼ぎに来た女性達が関東圏の風俗店を賑わしたのはご存知でしょうか?背景には政府の不十分な対応など、社会的な問題が色々あるのは一旦置いとくにしても、そこに「風俗」という職業が存在し、それによって食いぶちを得た人間がいることは確かです。

もちろん遊ぶ金欲しさで、STDの危険性も知らず、知識を持たないままに青少年が気軽に性を売り物にすることは言語道断だとおもいます。これについては性教育の現場から正しい知識を沢山届けてほしいな…と思っております。先生のご活動応援してます。

以上駄文失礼しました。

投稿: JONY | 2013年12月15日 (日) 00時11分

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