新幹線の中で急病と。
盛岡に行く新幹線。まずは、前日の診療後東京まで。予定していたのの一つ前のに乗れました。でも、チケットの交換までは時間がなくって、自由席、1号車に乗っていました。名古屋を過ぎてすぐ、
「6号車に急病の方がいらっしゃいます。医師か看護師の方がいらっしゃいましたら、6号車までおいで下さい」
というアナウンスが流れました。うーん、時々こんな時ことがありますが、私は駆けつけたことはありません。でも、急病の方が、もし女性だったら、妊婦だったら、とか考えると。まあ、行って見て、私の出番ではないと思えば、黙って帰ればいいのだから、と思って行ってみました。
すでに3人の内科医らしき男性たちと、車掌さんたちが集まっていました。急病の方は女性。お腹が痛いと苦しんでいます。いろいろとドクターたちが問診しています。お腹の下の方から痛みが来て、だんだんと上に上がって来たと。胆石の既往があるということ。乳がんをなさって、今お薬を飲んていること。
「私はギネ(婦人科)ですので、下の方の痛みでしたら、診ます」と言ったら、みなさんニコニコです。でも、どうも痛みは背中の上の方になっています。これは、私の出番ではなさそう。でも、聴診器も血圧計も何にもなし。誰も何も持っていません。顔色と、手首の脈からは、高血圧、低血圧はなさそう。不整脈もありません。そしたら、車掌さんが、新幹線に置いてある血圧計と聴診器を持ってこられました。
血圧、異常なし。一人のドクターが、お腹を押さえたり、聴診をなさったりしています。皆さんと相談なさりながら。車掌さんにしてみれば、本来の駅以外で、新幹線を止めて患者さんを降ろして救急搬送すべきか否か、の判断がほしいようです。名古屋を出たばかりで、次の新横浜には一時間以上もあると。
痛みの位置や様子からして、心筋梗塞ではなさそうで、このままで大丈夫そう、となりました。多分、胆石か胃炎か。私は、鎮痛剤を持っていましたが、私の出番ではないので、黙っていました。痛いのをこのまま我慢させるのはかわいそうとは思いましたが。
で、1号車に帰って、本の続きを読んでいました。しばらくして、声をかけられました。車掌さんが、先ほどは、ありがとうございました。お名刺があったら戴けませんか、と。私、びっくりして。
「いえ、私はなんにもしていませんもの。でも、良くここが分かりましたねえ」と言うと、ずっと座席を見てきました、と言われます。6号車から、ずっと。そして、一番端っこの1号車にやっと私がいるのを見つけられたそうです。
「私は婦人科ですので。赤ちゃんが生まれそう、というのでしたら、任せて下さい。」と笑いました。そして、「私は鎮痛剤を持っていますので、もしその方の痛みが強くなるようでしたら、おっしゃって下さいね。」とだけ伝えておきました。
もしも、ほかの方がいらっしゃらなかったら、私には何ができただろうかと考えました。産婦人科には、急性腹症・・お腹が痛い!!という方が飛び込んでくる所ではあります。日頃、診察に必要な超音波エコーがありません。でも、私たちは、もっとも基本である顔や目を診る、脈を取る、お腹を押さえる、という、原始的ではあるけれど、もっとも基本的な診察方法を学んできました。それと、東広島の、子どもから大人まで、それも整形から内科から外科、耳鼻科、何でも診る田舎の開業医さんに週1から2回、4.5年行って、子どもの風邪、お腹が痛い、お年寄りの血圧が高いだけでなく、けがの縫合をしたり、爪を抜いたり、膝に注射をしたり、いろいろと学びました。その経験は、今も生きています。
赤ちゃんが生まれるとなったら、これは大丈夫。腕一本で何とかなる、大量の出血があったら、腕だけで何とか止める処置もある程度できる、でも、もしその方が心筋梗塞や、脳出血などだったら、「早く搬送を」ということぐらいしかできません。医師と言っても、私は無力だなあ、そんなことをつらつら考えました。
あの、みっともない昨日の私の足、⑦パパさんから、日頃のほっそりした足を見せないとわからないとありましたので。どんなに足がむくんでも、一晩寝れば、ケロリと治まります。今朝の私の足です。やっぱりこの年になって、たとえ足にしても、体の一部を見せるのは、恥ずかしいです。
『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。
| 固定リンク
コメント
これは誠に失礼いたしました。いやいや本当に驚きました。
仰るとおり、大変綺麗ですね。ありがとうございました。
投稿: ⑦パパ | 2013年10月 5日 (土) 14時37分
河野先生、
私の経験では,長い間立っているには、ブーツをはいて足首をサポートすると、ウォーキング用のスニーカーやランニング用の靴を履いているよりは、疲れにくくなります。足首までの高さのブーツで十分ですが,靴ひもで足首をサポートできるタイプです。登山のためには、なぜブーツなのかが、歩かずに、ただ長時間立っているだけで、分かりました。
投稿: クロス | 2013年10月 5日 (土) 20時58分
お疲れ様でした。
アナウンスに4人ものドクターが駆け付ける。
これぞ世界に誇れれ日本の絆,クールジャパンの一つだと思います。
投稿: もみじ日記 | 2013年10月 5日 (土) 21時24分
⑦パパさま
いえ、恥ずかしい。でも、年を重ねるごとに足がむくむようになりました。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2013年10月 6日 (日) 11時03分
クロスさま
ありがとうございます。そうなのですか。足首をしっかり支えるのですね。ただ、私の講演はいつも二時間たちっぱなしですが、ほとんど室内で、はだしかスリッパなのです。行き帰りの新幹線では、靴を脱いで、足元に置いた荷物の上に置くのですが・・。今回はあんまりひどくって、つい恥ずかしい写真をお見せしてしまいました。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2013年10月 6日 (日) 11時11分
もみじ日記さま
一応かけつけましたが、でも、病院でないので、結構なんにもできないものです。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2013年10月 6日 (日) 11時12分