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救急車に同乗して・・・愚痴です。

 私は今、京都にいます。昨夜診療後新幹線で来ました。今日は午前は中学生に、午後は高校一年生に講演をします。2時間の講演を二つするのは、かなりしんどいことなのですが、要請がある限り、頑張ろうと思います。

 今日は、ちょっと不謹慎なことを書きます。少し恥ずかしいけれど、でも、以前からもやもやしているので。

 一昨日、午前1時、患者さんからの電話で、クリニックに来るように言い、私は自転車で駆けつけました。心配だった若い女性です。診察で、緊急の手術を要すると考えました。本人を説得し、大学病院に電話をして受け入れをお願いしました。深夜で恐縮なのですが。いつもと同じく、まったく嫌がらずに受け入れて下さいました。本当にありがたいものです。

 カルテのコピーをしたり、紹介状を書いたりして、準備ができた所で(何しろ一人なので時間がかかります)救急車の出動をお願いしました。救急車は大学病院とやり取りした後、急いで運んでくれました。私はカルテや紹介状などを持って付き添いました。

 大学の時間外受付に入り、そこに婦人科のドクターも来て下さり、説明をして引き継ぎ、頭を下げて、お願いをして終了です。

 そして、そこからなのですが。時間外受付から外に出ると、暗ーいです。大学病院には最近新しい外来棟ができて、タクシープールがどこに行ったのかわかりません。分かっても、午前2時半、おそらく一台もいないでしょう。2号線に行けばタクシーがいるかもと、敷地の外に向かって歩きましたが、広くて、暗くて、寒くて、気味が悪くなりました。そして、情けなくなりました。いつものことなのですが、今回は特に深夜です。

 私は途中で回れ右をして、また時間外受付に戻りました。そこで、事務の方にタクシーはと聞くと、呼ばないといないといわれましたので、自分で携帯で呼んでタクシーに来てもらいました。

 そして、思うのです。救急車に同乗して患者さんを送って行って、どうして帰りは自腹で帰らなければならないのか、と。(これを言うのが恥ずかしいのです・・・)

 以前は、救急者に乗って連れて帰ってもらっていました。その時に、救急隊員の方たちと話すのが、楽しみの一つでした。この際とばかりに、私は産婦人科の救急について、知っていてほしいことを話していたものです。でも、それがいつからか、厳しく禁止になりました。「救急車は患者さんを運ぶ物」だから。同じ方向の、消防署とすぐ近くでも、ダメなのですね。タクシーではないのだから。

 前回も救急車に同乗した時、ほとんど明け方になっていましたが、さっぱりタクシーがなくって、覚悟を決めて、川沿いを歩いて帰りました。そしたら、一方通行で遠回りしたのでしょう、さっきの救急車が、私の横をすっと通り過ぎて行って、寂しい思いをしました。

 広島というまだ狭い範囲、タクシーで帰れる範囲だからいいようなものの、これが遠方だったら。そして、今回のように公共交通機関がない時間だったら。例えば、廿日市から広島市内に深夜に搬送なんて、よくあることだと思うのです。

 そう思って、ネットで調べてみました。そしたら、たくさんありました。帰りに電車に乗るのに、白衣で、アンビューという簡易の人工呼吸器を持って帰るのが人に見られて、つらかったと。白衣を脱げばいいようなものだけど、寒くて、とか。そういえば、私も今でも白衣の下は袖なしのシャツ一枚です。帰ろうと思ったら、お金持っていなかったとか。

 最高なのは、ヘリコプターで県外の病院に患者さんを運んで、そのヘリが帰ってしまったというものもありました。電車を乗り継いで、5時間かけて帰ったとか。今は、ヘリについては、ドクターを連れて帰ってよいという通達が出たようですが。ヘリだけです。私、せめて今回のような深夜だけでも、同じ方向なのだから、救急車に連れて帰ってもらえないかと、そう思ったのです。

 そんなのは、やっぱり虫がいいことなのでしょうかねえ。そうそう、、ネットには、救急車で病院に連れて行ってもらったのだが、請求書にドクターの帰りのタクシー代が記載されていたと。これは、払わなければならないものなのか、という、患者さんの家族からの訴えもありました。私は、もちろん請求したことはないけれど、立場が変われば、そうなるのですよねえ。

 愚痴を書いてしまってすみません。

Photo_2 東京、スカイツリーでのおみやげです。手前はラスク。いろいろな味のが6枚入っていました。後ろのが、スカイツリーの高さの縮小で、同じ形、63.4cmのバウムクーヘンです。面白いと思って買ったのはいいけれど、スーツケースには斜めにしても入りません。おみやげなどを送るためにヤマトの段ボールを買ったのですが、それにも入りません。結局私の2本と、姉が買った3本の計5本を束ねて、ヤマトで送って、無事でした。

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コメント

救急車の帰りってそうなるんですか…
初めて知りました。
ドクターもいろんな思いをされてるんですね。
頭が下がります。

投稿: K HOUSE | 2013年10月31日 (木) 03時04分

なるほどね~そう云う機会が無かったんで(当然ですが)
考えたこともありませんでした。確かに先生の仰る通りですげ
送っていく途中に緊急出動の要請があると、また困った自体が
起こりますよね。滅多に無いことだから、健康保険とか
公的な機関からタクシー代が支払われるシステムが必要ですね。

投稿: ⑦パパ | 2013年10月31日 (木) 06時18分

きょう講演を聞いた
京都産業大学附属高校の1年女子です。
河野さんのお話とても為になりました。
もう一度よく性について考えてみたいとおもいます。
広島県からわざわざありがとうございました。

投稿: 匿名 | 2013年10月31日 (木) 16時36分

自分もホント、頭が下がります。
 救急車はタクシーでは無いのは解りますが
なんか、納得出来ませんよね。以前は良かったのに・・
飲みに行く時、駅まで嫁に送って貰いますが、帰りは
迎えに来てもらえないのと・・あっ意味が全然違いますね(^^ゞ

投稿: テツヤ丸 | 2013年10月31日 (木) 18時05分

そのような問題点があるとは知りませんでした。
ということは,通りすがりの親切な人が倒れている人を見かけて119番通報し,救急車に同乗して行っても帰りは自分でと言うことなのでしょうか?
夜間歩いて帰って女性が犯罪の被害にでも遭ったらどうするのでしょうか。
誰か犠牲者が出ないと動かないのが我が国の公的機関のいつもの在り方ですね。

投稿: もみじ日記 | 2013年10月31日 (木) 20時34分

河野先生。
寒くなって来ました。
今月から広島市では胡子大祭 えべっさんがあり
広島ドリミネーションも始まりますね。

先生。私はちゃんと こういうケースの時の認識が出来たので これから先 万が一 私が救急車で医師の方に乗って戴けて病院搬送になった場合は 後日 元気になってから きちんと御礼の言葉と医師の方の交通費も含めて お話しさせてもらおうと思います。
先生がこうして事情をブログして下さるから 無知な私は色々と知って行けるのです。
先生 本当にありがとうございます。
これからも私の知らない世界を沢山 ブログにして教えて下さい。
私も今月から少しずつブログを再開して行きます。

明け方 特に寒さがありますので どうか御自愛下さい。
ありがとうございます。


投稿: 花山豊華 | 2013年10月31日 (木) 23時46分

この記事を書いてくださりありがとうございます。
私は、妊娠中管理入院していた病院から深夜に救急車で転院しました。その時、主治医の先生が救急車に同乗してくださいました。
おかげでなんとか転院先の県病院で25W400g台で出産。
ありがたいことに順調に大きくなり、その子も無事1歳を迎えました。

正直、産後も何カ月もNICU通いが続き
そこまで頭が回りませんでした。

今度、改めて病院へ出向き先生にお礼を言おうと思います。もし、お礼を受け取ってくださらなければ、病院への寄付という形ででも届けようと思います。

そのくらい、本当に感謝しております。

良い記事をありがとうございました。

投稿: もろちゃん | 2013年11月 1日 (金) 07時24分

わたしは訪問介護の介護福祉士ですが、会社から利用者の急変の際、救急車を使う場合は、利用者に帰りの交通費をいただくことができるということになってますが、あくまでもそれは勤め人の場合です、経営者で医師である先生は患者さんにそれはもとめるのは忍びないですが、我々産婦人科に通うものとしての常識として本当は緊急事態に備えて小銭を少しおもちして通院したいものです。本当にお互い様だとおもいますが、また介護福祉士の場合は、利用者がお金を持ち合わせてない場合は、会社にかかった経費を請求できます。本当に細かい千円などに崩したお金を別口に携帯したいと感じます。

投稿: 愛ちゃん | 2013年11月 1日 (金) 09時01分

驚きです。
驚きしかありません。
世間はこの事実を知っている人はほとんどいないと思います。
倒れて(芝居で)自分の病院に搬送というかたちをとりたいくらいですね。
県でどうにかならないものですかね。。。。

投稿: けいちゃん | 2013年11月 1日 (金) 23時19分

これは、行政が解決すべき問題だと思います。
救急隊員には、限られた治療しかできず、病院間の移送の時に医師が必要であったり、患者の希望であったり、移送先の医師との連係のために医師や看護師の同乗が必要と判断された時には、帰りのタクシー代を昼夜問わずに行政が負担すべきですね。

投稿: やんじ | 2013年11月 2日 (土) 07時49分

お話を聞かせていただいた、京都産業大学附属中学の2年女子です。ほんと、ためになる話をありがとうございました。改めて、性についてちゃんと考えることができたと思います。みんながちゃんと考えるべきなんだなと思いました。

1つ、お聞きしたいんですが。
男子は自分で性欲を解消する方法があるそうですが、女子の場合はどうなるんですか?

投稿: | 2013年11月 2日 (土) 17時24分

全国的な問題ですよね?医師会とかで話し合い、しっかり政治的に解決すべき話だと思います。誰かがまとめて話をしないと。

投稿: さとうしゅういち | 2013年11月 3日 (日) 23時30分

K HOUSEさま
そうなのです。真っ先にコメント、ありがとうございます。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 08時46分

⑦パパさま
想なのですが。今の健康保険のシステムから、タクシー代を払う何て、絶対にありえないことです。せいぜい、当の本人から徴収してもいいとの指示を出すくらいでしょう。でも、その指示はどこが出すべきものかわかりませんね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 08時48分

匿名さま
感想を寄せて下さって、ありがとう。高1なのですね。どうぞ、これからも充実した楽しい高校生活が送れますように。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 08時50分

テツヤ丸さま
あはは、それとこれはちょっと違うような…。でも、むなしさは同じかも、ですね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 08時51分

もみじ日記さま
そうなのです。こんな状況もあるということを知っていただけただけでも、今回思い切って書いてよかったと思います。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 08時53分

花山豊華さま
お元気になられたようで、良かったです。でも、あまり張り切り過ぎないでね、ぼつぼつでいいのですよ。楽しみに見させてもらいます。コメント、うれしかったです。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 09時40分

もろちゃん様
コメントありがとうございます。気づいてくださって。お礼に行かれると、きっと先生もとても喜ばれると思います。また教えて下さいね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 11時30分

愛ちゃん様
コメントありがとうございます。でもね、お腹が痛かったりお腹に出血したりして苦しんでいる人に、私の帰りのタクシー代をくださいとはとても言えませんね。皆様に、知って戴いただけでも良かったです。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 11時34分

けいちゃん様
そうですね。こういうことはほとんどの人に知られていないと思います。こんなことは、やっぱり言ってはいけない事みたいな後ろめたさがあるものですから。でもわかっていただいて。ありがとうございます。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 11時36分

やんじさま
そうですね。誰かが声を上げなければ、なかなか動かないのでしょうが。医師会の中でもそんなことは言われていません。そんなことを言うこと、それは恥ずかしいだと思われてるからでしょうね。いつもありがとうございます。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 14時46分

お名前がありませんが。中2の生徒さんですね。
質問ありがとうございます。あのね、ちゃんとお答えします。女性だって男性と同じですよ。ではまた何か疑問があれば、質問して下さいね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 14時51分

さとうしゅういちさま
うーん、医師会はこんなささいなことは取り上げないでしょうね。一人ひとりにとっては、結構深刻なことなのですが・・・。ありがとうございます。お元気ですか?こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年11月 4日 (月) 14時58分

これはひどい
緊急の患者が世界に一人なら帰りが歩きでも医師が大変なだけで大事にはならないだろうが2人目以降は対応出来ないじゃないか。
医者が帰りの救急車に乗れないとかふざけたシステムを考えたのは誰だ。むしろ医師専用の移動手段を用意するべき案件ではないのか。
この問題を放置して自腹でタクシーで帰るのも所謂サービス残業と同じ扱いじゃないか。

こんなの不謹慎でも恥ずかしいことでもない、むしろ自腹で帰るのが普通だという業界の雰囲気自体が間違っている。

投稿: とおりすがり | 2015年8月23日 (日) 20時33分

こんにちは
自分も全く同じ思いを感じております。
産婦人科医ですが、夜中3時に周産期センターへ切迫早産の患者を搬送した後、帰りの救急車には乗れませんと言われました。
開業の産婦人科医にとっては、一人で当直していてお産や外来がいつあるかも分からない中、救急搬送に同乗しているという現状があることがわかってもらえないのでしょうね。田舎で夜中の3時にタクシーとか帰りの手段を準備する事はかなり困難だと思います。
産婦人科学会等から、声をあげても良い懸案であると思います。ただでさえ、開業の産科医つらいのに、帰りの救急車にものれなくなったら、よけいやる気無くなりますよね、、、

投稿: takashi | 2016年4月12日 (火) 10時13分

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