親に養育を放棄された少女たち。
昨夜は、福山市PTA連合会の女性婦の研修会で講演をしてきました。福山市内の小・中120校から代表の一人ずつの参加です。
PTAの方々への講演は久しぶりです。今では、もっぱら中・高の生徒たちや教員対象で話をしています。性教育パッシング以来、保護者からの講演依頼はとても少なくなりました。その一方で、私たちのような現場では、本当に大変なことが起こっているので・・・。世の保護者の方たちに、性教育の大切さを分かって戴きたいと切に願います。
2時間という限られた時間で、どれだけのことが伝えられたか、反省しきりです。自分では、あれもこれもと、伝えたい内容が一杯あって。でも、少しでも、これからの子育てのお役にたてれば、と願って話しました。
昨日、一昨日と、毎日新聞がシリーズを書いています。今日も、と楽しみにして朝早くに新聞を取って来ましたが、今日はシリーズはお休みのようです。でも、まだ終わっているわけではないので、明日を楽しみにします。
「漂流する10代」。一昨日、9月18日の一面に「自立援助ホーム」を退所後、1割が失踪していることという調査の内容を。それを受けて、社会面で「いつも一人ボッチ」という見出しでシリーズが始まっています。
広島でこの夏起きた「少女殺害事件」。少女が仲間の少女たちに殺されて、灰が峰の山の中に遺棄された、その事件、犯人として逮捕された少女の一人です。
『 「お母さんにほめられたくて家の掃除もした。妹の面倒もみた。でも、いつも叩かれてばかりだった。私もお母さんと一緒に住みたかった。認められたかった」
昨年8月末、広島県内の自立援助ホーム。少女(16)は自室のベッドに腰掛け、こう話すと大声で泣き続けた。施設長の男性は「頑張って自立したら、きっと親も認めてくれるよ」と励ました。少女は「頑張る」と誓ったが、数日後の夜中、施設を抜け出した。それから1年後の今夏…』
事件の直前に少女が書いたブログも載っています。
でもその翌日、19日のシリーズには、同じく養育を放棄された少女が自立援助ホームのサポートをうけながら、少年と共に赤ちゃんを育てている姿が紹介されています。ホッとします。誰かが、手を差し伸べれば・・・。
似たようなことは、私のクリニックでもよくあります。そっくりな現在進行形の少女が何人もいます。まさに「漂流する10代」です。
幼い時から一人で生きなければならない少女たちが、例え、風俗の世界でお金を得るすべを身につけたとしても、これは誰も責められない、と思います。でも、せめて自分で自分の身を守るようなすべを身に着けてほしい、と。そんなことしか私にはできません。
以前、広島ブログの仲間たちと「自立援助ホーム」を作ろうとしていた男性の話をうかがったことがあります。ホームのための家を借りるのに、何十か所も断られ続け、苦闘していました。今、希望していた所とは異なりますが、無事ホームを作ることができ、少女たちを何人も住まわせ、またホーム外に住む沢山の少年少女たちのサポートもしていらっしゃいます。その悪戦苦闘ぶりは、本当にたいへんで。
私は、あくまでも診療の一環としてサポートのサポートをするだけです。それしかできません。でも、親に見捨てられても、せめて、こうして一生懸命にあなたのことを支えてくれる大人がいるよ、Sさんは、そんな信頼できる大人なんだよ、ということを実感をしてもらえれば。幸せになる権利はだれもが持っているんだよ、とも実感してもらえれば、と思います。
昨日、少し早めに福山に行って、講演の前に友人の家に行きました。そこで、大ごちそうをしてもらいました。焼き魚は、のど黒ですよ!!しっかり戴いて、そして講演へ。幸せでした。右は、帰りに小谷のSAで見た真夜中のお月様です。中秋の名月。こんなのが見られるのは、今度は2021年なのですって?でも、私のデジカメでは、これが精いっぱい。まん丸の月の中にウサギが餅つきしているのが写るようなカメラがほしい!!と思い続けています。でも、そんなカメラを持った友人から、重くて、とても日常的には持ち歩けないよ、と言われて。それもそうだねと思いました。
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コメント
私も昨日、毎日新聞の記事読みました。
あまりにも若い二人が、精一杯子育てに頑張ろうとしている姿は
育児放棄が多い今の世の中で、「救い」と言う他ありません。
投稿: TM | 2013年9月20日 (金) 08時59分
暴力や悲しみの連鎖を断ち切れるのは信頼と愛情だと思います。
絶望の淵にいる少年少女たちが先生たちのような大人と出会い、明るい希望の光を見つけて幸せを感じられる日が来ますように。。。
投稿: みゅー | 2013年9月20日 (金) 09時59分
自立生活援助施設の子の悩みを直接聞きました。
知らなかった。具体的に書けませんが、少ない
ですが自己負担金が要るんですね。
投稿: ⑦パパ | 2013年9月20日 (金) 13時37分
昨日福山の公演会に参加させて頂きとても良い時間を過ごすことができましたぁ!
先生の話が心に染み涙が出てきましたぁ。
投稿: 西江 | 2013年9月20日 (金) 15時00分
Sさんの頑張りには頭が下がるばかりです。
益々のご活躍をお祈りしたいと思います。
投稿: もみじ日記 | 2013年9月20日 (金) 15時09分
先生、福山で講演なさってたんですか!
PTA役員だったら行けてたのかな。
双子のHの姉の方です。
今福山に住んでいて、第一子の妊娠見ていただいた子は今春小学生になりました。
引きこもりの方は今春保育士になりました。
先生が以前福山のサービスエリアで召し上がったのは鯛うずみだと思います♪
投稿: ぷりもこ | 2013年9月21日 (土) 12時46分
TMさま
そうなのです。妊娠や出産を契機に、しっかり立ち直る若者たちも多く見てきました。ただ、それを支える大人が回りに必要なのですね。頑張ってほしいですね。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2013年9月22日 (日) 08時21分
西江さま
聞いて戴いたのですね。ありがとうございます。私の思いが少しでも受け止められて、性教育の必要なことを分かって戴けたら嬉しいです。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2013年9月22日 (日) 08時34分
もみじ日記さま
弁護士会の作られたこどものためのシェルター、やめられるのですか?行政が厳しくなっている今、だれかが、何とかしないと。でも、Sさんは、ほんとうに苦労なさっています。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2013年9月22日 (日) 08時52分
ぷりもこさま
まあ、福山に住んでいるのですか?もう、小学生だなんて!妹さん、保育士になられたって、ほんとうによかったですね。自分が苦労した分だけ、子どもにやさしい保育士になられるでしょうね。またいつかお会いできますように。コメントありがとうございました。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2013年9月22日 (日) 08時54分
みゅーさま
私は、あくまでも診療の一環としてしているだけで、とてもささやかなのです。でも、自立援助ホームを頑張っているSさんなんか、本当に大変で。子どもたちのためにひたすら頑張っていても、まったく行政は冷たいし、世間の人たちは支援しないし。何とかその子人たちを支えないと行けません。そう思っています。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2013年9月22日 (日) 08時59分
⑦パパさま
自立支援ホームは、それ自体、自立していく組織としてあるので、食費と家賃として、三万円という自己負担金が必要とされています。でも、アルバイトなどで払えない子は当然いるわけで、そういう子は免除だそうです。
それよりも、Sさんはとっても苦労しています。行政も冷たい物で、今、広島県ではこの一軒だけになっているのですが、ここもつぶれるかもしれません。この前の続きのお話しを聞く会をして戴けませんか。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2013年9月22日 (日) 09時03分