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はだしのゲン閲覧制限について、さらに。

 はだしのゲンについて、いろいろと情報を戴きました。皆様ありがとうございます。

 まったくゲンを読まないでコメントする政府、大臣、記者の質問への答え方では、報道された以外は読んでいないな、ということがすぐにわかりますね。その意味で、松井広島市長も情けないことですが。読んでいないからこそ、松江市のことを批判する立場にはないなんて、あんな曖昧な応えしかできないのでしょう。

 島根の関係の人からの情報です。

山陰中央新報は、そのコラム、明窓 で、

「戦争と平和学ぶ種に」のタイトルで、「遠ざけるのではなく、子どもが持つ能力を信じて見守る。必要なら助言する。その中で戦争責任をめぐる論議や平和を考える種になることをゲンも望んでいないか。」

と述べています。本当は、全文転載したいのですが、無断転載を禁ずるとなっていますので、残念。青字の「明窓」をクリックして読んで下さいませ。

さらに、山陰中央新報の社説では、

「はだしのゲン閲覧制限/平和教育の原点に返れ」として、 「・・・市教委では昨年12月、この本を図書室から別の場所に移し、教員の許可を得てから子どもたちに閲覧、貸し出しを認める閉架とするよう全市立小中学校に要請。すべての学校が従っている。学校図書室で特定の本について閉架とするのは全国的にも例がないという。
 市の教育上の重要な問題は市内の有識者らを委員とする市教育委員会で審議することにしている。しかしこの問題については人事など重要案件には当たらないとして教育委員会には報告せず、市教委事務局で判断した。 ・・・漫画だからこそ子どもたちに訴える力は大きい。歴史的背景も分からない子どもたちに、その残虐さを直視させるのは平和教育の強要だと批判もある。しかしその残虐さの根源を考えさせる。その視点を大切にしたい。

などと述べています。これも、無断転載禁止となっていますので、一部の引用だけしかできません。

 昨日、教育委員会が開かれたようですが、結論が出なかったと。教育委員の方から、異論が出ないというのが、不思議で仕方がありません。島根気質というのがあるのでしょうか。
私は、結婚するまでは、本籍は松江でした。今は出雲のお墓に眠っている、島根師範学校卒の父がこのことを聞いたら、おそらく怒り、嘆くことと思います。

さらに、友人からです。

「県立図書館

   松江にある県立図書館の雑誌のコーナーで岩波新書の「世界」、「週間金曜日」が撤去されています。職員に理由を聞くと「持ち去りがあって困るので見たい人はフロントに申し出てください。」とのこと。

   撤去状態は少なくとも半年以上続いています。

   持ち去りの対応策なのか、見せないための対応なのか分かりません。

1ヶ月前に元に戻されたらどうですかとお話ししましたが、撤去状態は続いています。」

持ち去りがあっては困るのは、どの本でも同じこと。それが、「世界」と「週刊金曜日」だけというのが、おかしな話です。

また、
花山豊華さんからは、「図書館の自由に関する宣言」を教えて戴きました。以下、ウィキペディアからです。

図書館の自由に関する宣言(抄)[1]

 図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。

第1 図書館は資料収集の自由を有する。
第2 図書館は資料提供の自由を有する。
第3 図書館は利用者の秘密を守る。
第4 図書館はすべての検閲に反対する。

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。

神奈川新聞の社説 では、今現在では、少し変わった視点で「文化の海外展開」として、「
 広島に投下された原爆により家族を失いながらも懸命に生き抜く少年の姿を描いた中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」は多くの読者に衝撃を与えた。核兵器がもたらす悲劇がリアルに描かれ、目を背けたくなるような場面もあるが、連載されたのは少年誌だった。戦争の真実を後世に伝えようという編集者の気概が伝わってくる。・・・

・・・近隣の国々と歴史認識をめぐって摩擦が絶えない中で、文化を通して日本への理解を深めてもらう好機といえないか。たとえば原爆の悲劇は、まだ他国にきちんと伝わっていない。「はだしのゲン」を読んだ人の多くは、亡くなった人たちや被爆者の苦しみに素直に共鳴するだろう。」

などと述べています。

 松江の世論で、図書館からの撤去を妥当としたのは、1割に過ぎなかったということ、さらに
さまざまなメディアが今回の件を取り上げる中で、「はだしのゲン」の売上が急速に増えているというのが、救いですね。

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コメント

鳥取県でも実質的な閲覧制限をしていたようですね。
そもそも今回の議論に参加されている方のうち,どれほどの方が「ゲン」を読んだことがあるのか?
そのあたりからして疑問を感じます。

投稿: もみじ日記 | 2013年8月23日 (金) 14時40分

残暑お見舞い申し上げます。にわかに信じられないニュースでした驚いています。 『はだしのゲン』閲覧制限の撤回を求める教員・研究者有志からの呼びかけです。http://hadashinogenappeal.blog.fc2.com/blog-entry-2.html

投稿: 野樹かずみ | 2013年8月23日 (金) 22時03分

今回の件で、「はだしのゲン」が注目されて、閲覧制限を批判する人が多いことは、良かったですね。
それと、今までは表に出てこなかった閲覧制限もあぶり出さされましたね。
広島に住んでいると「はだしのゲン」は、当たり前のようですが、日本中ではまだまだ認知度は低いのかも。そのてん、全国報道で取り上げられたのも、怪我の功名ということでしょね。

怖いから、危険だからと、こんなことを避けていて、何を教えるのでしょうか。
怖さ、危険を知らずに育った子供のほうが、よっぽどどうかと思います。

投稿: やんじ | 2013年8月24日 (土) 05時11分

こんばんは。広島は雨が降っていますか?
愛知県は日照り続きでしたが恵みの雨に人心地です。
なんかうんざりですね。被爆して苦しんだ方々の神経を逆撫でするバカが多過ぎます。

でも、不思議と希望をなくしていません。はだしのゲンが今までになく売れているそうですが、ああ、日本人はバカばかりではないですね。
少年ジャンプで連載当時の編集長、長野規さんは労働争議をとても嫌い、たくさんの人を粛正しましたが、人気投票のあまり芳しくないはだしのゲンを子どもに読ませようと頑張りました。人気投票が全てという中で、なんとか子どもにゲンを読ませようとした心をわかる人がまだまだたくさんいました。少し前までコンビニエンスストアで廉価版が普通に手に入りました。良心は死なない。わたくしは思います。

いじめ、差別、民族問題、貧困、あらゆる困難に真っ直ぐ立ち向かう勇気こそ今最も伝えなくてはいけない。中沢啓治さんに申し上げたい。あなたが伝えようとした心を確かに受け取りました、と。

投稿: あらやん | 2013年8月26日 (月) 02時17分

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