性犯罪と届出。
先日、一人の女性から電話がありました。赤ちゃんを無事産んだという知らせの電話です。それを私に知らせたかったと。
もうずっと前、大学生の時、彼女は性犯罪の被害に合いました。それを抱え込んで、日常生活が送れなかった彼女は学校のカウンセラーに相談しました。カウンセラーは、私への受診を勧めました。そうして彼女は一人の患者さんとして私の前に現れたのです。
体にもまだアザが残り、痛々しいのですが、深い心の傷を負っていました。
私は、なにより彼女に自分を責めないようにと言いました。被害者は他の犯罪の被害者と異なって、自分自身を責めてしまいます。それがとても苦しいのです。相談を受けた周りの人もつい「あなたが○○だからよ」などと、被害者のせいにしてしまいがちです。自分が悪いのではない、あくまでもそのような犯罪を犯した加害者の責任であると、キチンと整理して捉えられら、まず立ち直りの一歩です。
彼女は一人で抱えて苦しんでいました。もし、相手を許せないと思ったなら、警察に訴えるのも一つの方法だとも伝えました。このままだと、泣き寝入りになってしまう、相手を罰したいと思ったなら、その方法もあるよ、と。しかし、警察に行くには慎重にしなければならないので、もし相談に行こうと思ったら、私に言ってね、と。
あなたが悪いのではない、あなたは被害者だ、それをしっかり持って、もしも警察に失礼な言動があったなら、すぐに立って「私は帰ります」と言っていいのだからと。性犯罪の加害者には、これは犯罪なのだとしっかり分からせるためにも、警察へ訴えたい所なのですが、でも、それはむりやり説得することではありません。
長い時が立って、結婚、出産、それを私に知らせてくれました。あの時、私の所に来て、立ち直れたと。今、無事赤ちゃんを産めたのは、私のおかげだと言ってくれました。私は、泣きそうでした。
私の先日の性犯罪の届け出についての引用にコメントが入っています。性犯罪の被害者を支援するサイトからの引用についてです。(5月20日・橋下市長への反論⑤)からです。
性犯罪の被害者が警察に訴えた率が13.3%であると(暗数と言います)。訴えなかったのは、被害が軽微だったからと。その調査の軽微だったからと答えた人の素数やどんな聴き方をしたのかが出ていないので、なんとも言えないのですが、私は異なる数字を出します。
内閣府の平成21年の調査 です。内閣府は、3年に一回、とても丁寧な調査を継続しています。
だれにも相談しなかったその理由も聴いてあります。
「恥ずかしくて誰にも言えなかったから」というのが、42.9%なのですね。「相談するほどのことではないと思ったから」というのは、14.3%にしかなりません。
これらの数字は無理やりの性交ですから、軽微な犯罪ではありません。
私のクリニックでも、性犯罪の被害にあって、とてもひどい被害でも、警察に訴えた人は10%にもなりません。むしろちかんなどの犯罪の被害は、まだ訴えやすいと思うのですが。
性風俗が性犯罪を減らすとは全然思わないという、橋下氏への反論とは少し脱線したかもしれませんが、大切なことなので、ここにデータを掲載させていただきました。
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