« 良かった!!宝塚市長選。 | トップページ | 「ヒロシマ」と「フクシマ」その⑦被爆者の後障害その2 »

「ヒロシマ」と「フクシマ」その⑥被爆者の後障害その1

 私が、しつっこくこのシリーズを書く目的は、「被爆者だけ医療費がただなのはおかしい」という声に、怒ったからというのが、本音ではあります。被爆者への医療補償は、決して国が率先して「くれた」物ではなく、どれだけの被爆者が命がけで闘かったかをキチンとみておきたいと思ったこと。そして今被爆者がおかれている状況が、どのようなものであるかということも。「被爆者だけでなく、国民の半分は癌になる」という声に応えておきたいと思ったのもあります。

 原爆医療法の制定と、いまだに行われているその改定にものちに述べますが、今日は、被爆者の後障害について、その悪性腫瘍などについての統計です。

この統計は、広島県健康福祉局 被爆者支援課 平成23年7月発行の「原爆被爆者援護事業概要」からです。

その第1章  原爆被害の実態 2.人体への影響の 後障害について。一部抜粋します。

『原爆放射線の人体への後障害のなかで最も重要なものの一つは悪性腫瘍の発生である。1950~1985年の35年間のRERF(放影研)の集計では、白血病、乳癌、肺癌、胃癌、結腸癌、多発性骨髄腫などにおいて明らかな放射線量との相関が認められている。白血病は1950年頃より、甲状腺癌は1955年頃、乳癌、肺癌は1965年頃より、胃癌・結腸癌・骨髄腫は1975年頃より優位な増加が認められている。被爆者集団の年齢増加とともに各種腫瘍における発生頻度の推移が明らかである。

1)悪性腫瘍

 白血病:1回に多量の原爆放射線を受けた被爆者のなかに白血病の多発がみられたが、原爆被爆者白血病には四つの特徴がみられている。a)原爆に起因したと考えられる白血病のピークは1950~1953年頃にみられたこと、b)被曝放射線線量の増加に比例して白血病の発生増加があり、線量と白血病発生率がほぼ直線的であること、c)同じ線量を受けた被曝群でも、被曝時年齢が若い人ほど、白血病発生率も高いこと、d)細胞形態別では、急性白血病と慢性骨髄性白血病の比は1.5:1で、日本全国平均では4.5:1であるのに比し、広島の被爆者では慢性骨髄性白血病の発症が非常に多いことなどである。

 甲状腺癌:甲状腺癌は被曝10年頃より増えはじめ、1970年頃まで発生増加がみられている。この多くは被曝時年齢が20歳以下の人で、しかも50rad以上の線量を受けた人に多い・・・。組織型のうえで、放射線誘発甲状腺癌に特有な像は見出されていない。

 乳癌:乳癌は被曝10年頃より増加しはじめ、20年後には有意の増加がみられている。乳腺組織に被曝した線量ともよく相関(線形)している。また、被曝時年齢が10歳未満であった女性にも放射線関連乳癌が過剰に発生しており、被曝時年齢が若い人ほど乳癌リスクが高い傾向にある。乳癌組織型上、被曝時年齢、放射線量などで放射線誘発癌を特徴づける傾向はみられていない。

 胃癌:胃癌は1975年頃より有意に増加してきており、発生率は高線量群に有意に高く、被曝時年齢が30歳以下の群に有意に高い。組織型別にみると、低線量群では高分化腺癌が多く、逆に高線量群では低分化癌が多い傾向にある。なお、最近の研究では血清フェリチン濃度が低い原爆被爆者では胃癌のリスクがとくに高いということが明らかにされた。

 肺癌:肺癌は1955年頃より増えはじめ、1965年以降有意に高く発生している。喫煙量が多いほど肺癌リスクも高くなるが、放射線はそれに相加的に作用していると考えられ、被曝線量が高くなるにつれて肺癌リスクも高くなっている。肺癌は、白血病・胃癌同様、被曝時年齢が低いほど、発癌リスクが高くなる傾向にあるが、当時の年少者(当時10歳以下)はまだ50歳代であり、最終的結論には至っていない。組織型では扁平上皮癌に比して腺癌が多い傾向が認められているが、まだ結論的ではない。

 骨髄腫:骨髄腫は1975年頃より増えはじめ、被曝集団の老齢化に伴い、1970年代後半には1Gy以上被爆者は0Gy被爆者に比して5.3の相対リスクを持つようになっている。骨髄腫の型では前骨髄腫ないし中間型骨髄腫とよばれるような、良性の蛋白異常症と悪性の蛋白異常症(骨髄腫)の中間に位置する所見をもつ症例が被曝集団で見い出されている。』

(まだ、白内障、染色体異常などが続きます。なお、掲載されている表や図は省きました。被爆と被曝の違いは、掲載されている通りに再現しています。面白くないことと承知していますが、もう少し続けます)

『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。

広島ブログに参加しています。このバナーをクリックすると、
私のポイントになります。ご協力よろしくお願いします。
広島ブログ

|

« 良かった!!宝塚市長選。 | トップページ | 「ヒロシマ」と「フクシマ」その⑦被爆者の後障害その2 »

コメント

他人の狂気の力によって病気にさされるのと、体の変化などで病気になるのを、同等に扱うのは間違っています。
病気で亡くなる人の数が○人だから、殺される人も数も同じであってもいいという発想ですね。

投稿: やんじ | 2013年4月16日 (火) 16時49分

やんじさま
ありがとうございます。これまで、この嫉妬混じりの攻撃には、結構被爆者を疲れさせてもいるのですね。恥ずかしいことです。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年4月23日 (火) 08時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「ヒロシマ」と「フクシマ」その⑥被爆者の後障害その1:

« 良かった!!宝塚市長選。 | トップページ | 「ヒロシマ」と「フクシマ」その⑦被爆者の後障害その2 »