福島の子どもの甲状腺がんについて
一昨日のテレビ、昨日の新聞で報道された「福島で子どもの甲状腺がん三人、疑い七人」と県民健康管理調査の検討委員会(座長・山下俊一福島県立医大副学長)が発表したというニュースについて。
いろいろなウェブニュースがありますが、このTBSニュースを見て戴くとわかりやすいかと思います。
三人については、すでに手術を終えたと。疑いのある(細胞検査により約8割の確率で甲状腺がんの可能性があるという)人を含めた10人の内訳は男性3人、女性7人で平均年齢15才。11年度に受診した原発周辺13市町村の3万8114人の中から見つかったとのことです。
そして検討委員会は、「原発事故との関連はない」と言っています。チェルノブイリ原発事故では最短で4年後に発症が増加しているからと。一方では子どもの甲状腺がんの発生率は「100万人に一人」が通説とも。それに比べ、大きく上回ります。
チェルノブイリでの子どもの甲状腺がんの発症は、「4年後から急速に増加したの」ですが、それは、「4年未満にはなかった」ということではありません。
菅谷現松本市長はベラルーシで子どもの甲状腺がんの治療に尽力した人です。その菅谷市長の東京新聞の記事がここに 分かりやすく載っています。
そこから画像を戴きました。チェルノブイリの事故は1986年。その1986年の子どもの甲状腺がんは2名。翌87年は4名。88年は5名。89年は7名。90年に29名と増え続けています。4年後から急増したのであって、それまではなかったわけではありません。
しかも、菅谷市長によると、86~97年の小児甲状腺がんの患者570人のうち、半数以上の385人にリンパ節転移が見られ、16.5%に当たる94人が肺に転移していたとのことです。
福島の親子に余分に心配をさせたくないという配慮はわからないでもありませんが、でも、それは正しいデータを隠すということに繋がってはいけません。
さらに、毎日新聞によると、福島健康調査検討委員長の山下俊一氏が座長を退く意向を示したとのことです。
あの、笑って過ごせば放射能の影響は起こらないと言った、秘密会などをしていて透明性が疑われる、そして甲状腺学会の会員に甲状腺がんの疑いのある子どもの二次検査はしないようにという通達を出した、あの山下氏です。でも、山下氏が退いても、まるで県民の健康の心配をするよりも、電力会社や政府をかばっているとしか見えないような人たちがまだまだ力を持っています。
今、福島の人たちに必要なのは、自ら考える材料とすべく、正しくデータを示すことです。そこに様々な操作は無用です。
先日、広島で東京大学の准教授の講演があり、聞きました。あまりにひどい講演で、体が震えました。そのうち、その放射線のスペシャリストと言われる人の講演について、しっかり反論をしますが、その彼のデータがあまりにでたらめで、科学者とは思えませんでした。
「チェルノブイリの事故で放射線の影響が出たのは、子どもの甲状腺がんだけです。甲状腺がんは、6000人がかかりましたが、でも死んだのは15人だけです。甲状腺がんというのは、死なない癌なのです。」
ああ、その15人と、その親たちはどんなにつらいことだったろうか、首の回りの赤いネックレスと呼ばれた手術痕をつけ、一生甲状腺沫を飲み続けなければならない子どもたち。そんなことを思ったのですが、でも、そのデータは間違いでした。6000人と15人は、ウクライナだけです。ほかにも、ベラルーシ8人、ロシア1人など、子どもの甲状腺がんの死者は出ていますし、まだ当時子どもで、今成人となっている人たちの甲状腺がんは増え続けています。
まだまだひどいことを一杯言っています。まるで放射線の被害は少ないのだとばかり言いたい、そのためのデータの出所があまりに不確かで、そんな人は科学者とは言えないと思いました。このような人が、日本では権威者とされているのですね。
どうぞ、福島の子どもたちの健康が守られますように。それが一番大切なことなのだと思います。
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コメント
まもなく3.11以来 2年を迎えます。
ヒロシマ原爆によって放出された放射性セシウムの
170倍ものセシウムが東日本に飛散してしまった過酷な現実の中で 私たちは生きていかねばなりません。
信じていたこの国は 未来を託す子どもたちを守ってくれません。悲しい事ですが・・・。
各自が正しい情報を得る努力をして 自分の判断で生きていく道と子どもを守るすべを探さねばなりません。
今日のブログにリンクして下さった菅谷市長の記事と
そこにリンクされてる FC2の小出裕章さんのお話は
沢山の人に聴いてほしい大切な情報です。
厳しい現実ではありますが こころを明らかに過ごしたいと思っています。
投稿: yuumin | 2013年2月16日 (土) 01時09分
yuuminさま
その通りですね。この週末には福島に行ってきます。そのひと月後にも行きます。少しでも自分でできることをしたいと思います。またお知らせしますね。いつもありがとうございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2013年2月17日 (日) 11時20分