« 田村太郎さんと。多文化共生。 | トップページ | 「こだま」で平野寿将さんのお料理を戴く。 »

「さらば、悲しみの性」

 集英社文庫の「新版さらば、悲しみの性」。1999年5月に初めて出版しました。それからもう14年になります。

4087470504_21985年に、私の初めての本、原本の「さらば、悲しみの性」を高文研から出版しました。それは評判を呼び、次々と重版を重ねましたが、それをスッパリと絶版にし、全面リライトし、文庫にした物です。

 それまでの「さらば、悲しみの性」はまだまだ売れていましたが、その後社会の動きもあり、実状に合わなくなっていました。当時はまだ「援助交際」なんてありませんでしたし、「エイズ」も一般的ではありませんでした。だから、この元の本には、それらの記述がありません。

 書きなおすと同時に新しくそれらも付け加えました。

 元の本には、分娩室で赤ちゃんが生まれる所を収載して、それはまた感動的だと言われました。当時まだ一般的でなかった立ち会い分娩で、男性も女性も一緒になって赤ちゃんが生まれるのを迎えるという、そんな場面を写真家の英伸三さんが撮影して下さったものです。

Photo_2 こんな表装でした。それは、愛着があって忍びなかったのですが、絶版にした理由があります。

 1998年11月、同じ出版社から「さらば、哀しみのドラッグ」という本が出版されました。もちろん、著者は異なります。

 著者が私の本のタイトルが好きで、どうしても同じタイトルをつけたいと言っていると。でも、まったく同じではなく、「哀しみ」とするからと。

 私はびっくりして、悩みました。私が考えに考えてつけたタイトルです。私の本文に「悲しみの性だったのでしょう」という一文があります。そこからつけました。出版社が考えたのは「さようなら、悲しみの性」でした。それを私は「さらば、」に変えてと言いました。その方が毅然としています。私は、傷ついた少女たちに、しっかり顔を上げて毅然と生きて行ってほしいと思いました。

 私にとって大切な本のタイトルを全く異なる人が付ける、とても抵抗がありました。でも、その異なる人の本の後書きにでも、タイトルについて、何等かの一文があれば許そうと思っていたのですが、なんにもありませんでした。それで、私の本は絶版にしてほしいと言い切りました。それで、私はリライトして、文庫にすることにしました。

 そんないきさつがあった本です。

 先日、ちょっとしたことがあって、本の販売のサイトを見ていたら、私の「さらば、悲しみの性」のタイトルが「さらば、哀しみのドラッグ」のパクリだと書いてあって本当にびっくりしてがっかりしました。そうね、今やそちらの方がメジャーになっているものね、と納得せざるを得ません。

Rscn3941_1280x960 でも、昨日、朗報が来ました。文庫の「さらば、・・・」がまた重版になったと。今度は3000部。これでトータル12万部になります。

 ありがたいことです。印税が入ることもさることながら、若い人たちが読んで下さることが何よりです。

 今日は、ちょっとだけ人の悪口?を書いてしまいました。前にも書いたことがあるし、ちょっと後味が悪いのですが・・・。サイトに書いてあったことがとてもいやだったのと、重版がうれしかったので。お許し下さい。

『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。

広島ブログに参加しています。このバナーをクリックすると、
私のポイントになります。ご協力よろしくお願いします。
広島ブログ

|

« 田村太郎さんと。多文化共生。 | トップページ | 「こだま」で平野寿将さんのお料理を戴く。 »

コメント

12万部というのは凄いですね。
ネットでも読めるようにしたら、一気に100万部行くんじゃありませんか。

投稿: 元安川 | 2013年2月10日 (日) 16時25分

我が家でも代々読み継がれている本です。沢山の子供たちに読んでほしいですね。正しい知識を持つことが本当に大切。

投稿: 初ちゃん | 2013年2月11日 (月) 00時27分

偽者が本物扱いされるのはあ堪らなく腹が立ちますね
ったく、世の中にはよくあるのでしょうね

投稿: ⑦パパ | 2013年2月11日 (月) 05時27分

パクったのは、マスコミでもおなじみの夜回り先生ですね。
彼の実績も評価されるものですが、ドラックだけでなく性の問題もあったでしょうね。でも専門家じゃないから無力だったのかもしれませんね。
ならば、夜の街で非行にはしっている若い女性の性については、自分は専門外だから、河野先生の著書を紹介し、自分の著書も同じように若い人達に立ち直って欲しい思いで、同じようなタイトルをつけたとすべきですね。
先生の著書のタイトルを知っていて、彼が望んだのですからね。

初版の時期が、先生の方がずいぶん前だと、知らない人が多いのかもしれませんね。

投稿: やんじ | 2013年2月11日 (月) 09時00分

私も、「さらば哀しみのドラッグ」を本屋で見たときはビックリしました。でも出版社が勝手に付けたのかと思っていました。ひどいなあと。真相を今知ってさらにびっくりです。好きな題名、って。唖然とします。でもどちらが早いか一目瞭然ですし、河野先生の本はバイブルですから。内容と題名が溶け合っている名著だと感じています。応援しています。

投稿: スヌーピー | 2013年2月12日 (火) 06時11分

元安川さま
そっかあ。これからはネット、電子書籍も考えた方がいいと。読む立場ばかり考えていたけれど。それもありだですね。まあ、時間ができるようになったらそれも考えましょう。ありがとうございます。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年2月17日 (日) 10時08分

初ちゃんさま
ありがとうございます。感謝です。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年2月17日 (日) 10時09分

⑦パパさま
それだけあちらの方がメジャーになったということなのですね。仕方ないことかも・・・。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年2月17日 (日) 10時12分

やんじさま
ありがとうございます。私、本文には書きませんが、ここにだけ。あの本の中の逸話には、若干疑問を持っています。それから、ネクタイ姿で立ったまま、しゃがんでいる子どもたち上から見下ろして「君たち、帰りなさい」とやっている姿は、私的には???なのです。ここまでは言ってはいけないのかもしれないけれど。まだいくつか疑問を持つエビソートがあります。だから、タイトルのことだけは確信をもって言ってもいいかな?と。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年2月17日 (日) 10時33分

スヌーピーさま
ありがとうございます。頑張りますね。こうのみよこ

投稿: こうのみよこ | 2013年2月17日 (日) 10時35分

はじめまして。私は現在26歳主婦です。結婚して約一年が経ち、愛する夫とこうのとりが来る日を待っています。私は高校3年生の時、学校の図書館で先生の「さらば、悲しみの性」を偶然見つけて読みました。
正直、高校生の私には刺激的でショックでした。でもそれと同時に自分の体は自分で守らなければならない。強くいなくちゃと感じたのを昨日のように覚えています。それほど先生の本に、言葉が心に響きました。

それから色んな恋をして、今の一緒にいて安心できる心から信頼できる夫と結婚することが出来ました。

先生の本のこと、時々思い出してはあれはどなたの本だったかな…と考えていました。(すみません。)今日、先生のブログに辿り着くことが出来たのも何かの縁だと思います。
新しくなった「さらば、悲しみの性」も全国の学校の図書館に置かれることを期待しています。

投稿: のこたろう | 2013年2月22日 (金) 19時41分

初めまして、滋賀県在住の山本です
息子が高校生の時「さらば悲しみの性」の本を読ませました。今から6年ほど前の事になります
今は私が子どもたちへ「性と生」の話をさせていただく機会をいただいています
このたび、養護施設の子どもに話をさせていただくことになったのですが、その時に河野先生の「大人になること」の中の「月経のしくみ」の図や,「射精のしくみ」の図を資料として使わせていただきたいのですがダメでしょうか?
お返事宜しくお願いいたします

投稿: やまもときぬえ | 2014年7月25日 (金) 22時53分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「さらば、悲しみの性」:

« 田村太郎さんと。多文化共生。 | トップページ | 「こだま」で平野寿将さんのお料理を戴く。 »