政治を見る⑥「売ったらあかん」
昨日の、上関の原発建設に反対し続けている祝島に反原発の歌、その中に 「それでも原発ほしいなら 東京 京都 大阪と お偉いさんの住む町に 原発どんどん建てりゃよい」というフレーズがあります。
本当に原発が安全なものであるのなら、どこに建ててもいいのであって、そもそも「東京電力」が東京で使う電気を東京でない所、福島だの新潟の柏崎だのに作るということが、失礼な話だと思います。作った電気を延々と送るのも非効率的だし。近く、それこそ東京の中に作ればいいことです。
それは、絶対に安全であると言いながら、実は安全ではない可能性があるからこそ、人が少ない所に建てるという、事故が起こるかもしれないというのは、「想定内であった」ということなのですね。
そこで、私は思い出します。もうとても前、私が医者になり立ての頃、「新宿に原発を作ろう」という運動がありました。私、その講演というか、運動の会に参加したことがあります。本当に具体的に、新宿のここに原発を造れるという、土地の図面やら設計図やらを提示されて、単にジョークではなく、真剣に取り組んでいました。自分の身近に原発なんぞができるかもということになったら、東京の人も真剣に考えてくれるだろうと思いました。
その時のことをネットでさがしたら、そう、広瀬隆さんの「東京に原発を ! ―新宿一号炉建設計画」という本が集英社文庫から出ていました。それが出たのが1981年です。
危険なものは田舎に押し付けるという、都会人のエゴを、まさに原発が示しているということです。
原発と日本人―自分を売らない思想」のはじめ頃に岡部伊都子さんの「売ったらあかん」という詩が出てきます。あまりに有名な詩なので、もう知っている人も多いと思いますが、あらためて感動したので、再掲させていただきます。
「売ったらあかん」 岡部伊都子
友達を 売ったらあかん
子どもらを 売ったらあかん
まごころを 売ったらあかん
本心を 売ったらあかん
情愛を 売ったらあかん
教育を 売ったらあかん
学問を 売ったらあかん
秘密を 売ったらあかん
大自然を 売ったらあかん
いのちを 売ったらあかん
自分を 売ったらあかん
自分を 売ったらあかん
豊かな自治体を作るために原発を誘致するという住民の悲しい願いは、分からないでもありません。でも、それは「絶対に安全」という国や電力会社や経済界に騙されて来たということです。騙されて大自然を売り、仕事を売って来た、そして故郷も失ってしまった・・・いえ、そこの住民だけでなく、国民すべてが騙されて来たのですね。そして、安倍政権、電力会社はさらに国民を騙して原発を再稼働させようとしています。「もうぜったい安全になったのだから」と。
「原発と日本人―自分を売らない思想」のオビの裏には、「私たちには騙された責任、そして二度と騙されない責任がある」と大きく書かれています。
次回、「騙された責任」ということについて書きます。でも、私は私で感想を書きますが、すべての人に読んで戴きたい本です。様々な引用や、お二人の、特に小出裕章さんの人柄がまた素晴らしくて、感動が満載です。
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