「夫」。昨日の続きも含めて。
先日の「高橋昭博さんを偲ぶ会」では、夫が事務局の一人として、いろいろと準備をしてきました。それは、新聞記者をしていた時代の夫と高橋さんとのお付き合いだけでなく、記者をやめてからも、高橋さんの本の出版に関してなど、ずっとお付き合いが続いていたからでもあります。
高橋さんが病気になられてからも、そして亡くなられてからのご遺族とのお付き合いも、ずっと続きました。だから、「偲ぶ会」の事務局として活動したのも、当然のことでもありました。
会がすんだ時。夫は、会場に飾られたお花を皆様に持って帰って戴く手配などを忙しくしていました。その夫が、「みよこ!!」と私を呼びました。「はいっ?」と答えてそばに行ったら、皆さんをお見送りするためにそこに並んでいた呼びかけ人のお一人が、「はあっ・・・」と首をふりながら言われたのです。
「みよこ!!だなんて。あの、河野先生をみよこって呼ぶなんて、そんな人はいませんよ。」と言われました。
夫は目をパチクリです。そして言いました。
「だって、僕は森滝さんをはるこって呼ぶわけにはいかんでしょう!!」と言ったので、そこに居合わせた人はみんな大笑いしました。たしかに!!
昨日のブログを書いた後も、そのことをずっと考えていました。私がいろいろとしんどいこともあったけれど、仕事を続けることができたのは、いろいろな人の協力があってのことでした。なかでも、やはり夫のおかげもあると思うのです。
ある時期、私は仕事に行くのを辞めていたことがあります。子どもと共に、家にずっといました。それは、ある上司とのさまざまな行き違い、よくある職場でのトラブルが原因でした。行きたくないというより、行けなくなってしまって。黙ってそれを見ていた夫は、それが一月続いた時に
「やめてもいいんか」と私に問いました。「これまでやってきたことを、たった一人の男のためにやめてしまってもいいのか」と。「知らん顔していけばいい。そんな男のことは、無視したらいい。」と。
その夫の説得もあって、私はまた大学病院に行き始めました。
いろいろとあったけれど、あの時の落ち込んでいた私を説得してくれた夫がいなければ、私はあのまま辞めていたでしょう。それだけでも私は夫に感謝しています。
もちろん、医者と新聞記者という厳しい仕事をしてる二人ですから、本当にいろいろとありました。さまざまな人に、特に子どもたちにも迷惑をかけてしまったこと、今思い出しても、胸が疼くことはたくさんあります。
これまでの途中、夫の大病で絶望的になることもありました。その時から、私は夫には生きてほしい、生きてくれるだけでいいと思ってきました。だから、今も生き続けて、一緒にごはんが食べられるという、それだけでも感謝なのですね。
もう一つ。仕事を続けるに当たって、どんな状況にあっても、仕事をセーブしなければならないことがあっても、とにかく続けること。細々とでもいい、続けてさえいれば、ほどなく、またフルにできる時が来ます。一旦やめてしまうと、社会は急速に進歩(良くも悪くも)します。どんどん変わってしまうことに細々とでもついて行くこと。これが一番大切だと思います。
子どもがいるために忘年会に出られなかった、一次会には出られても、二次会には行けない、お付き合いで飲みに行ったり、ゴルフもできない、そんなのは小さいことです。
ただ、今の若い人たちを見ていて、ずいぶん変わったと思います。二人で働いて、二人で子育てをするという意識を持っている人たちも多くなったし、それに社会もなんとか努力をするようになって来ました。保育所の整備、特に夜間保育も含めて、私が若かった頃に比べると段違いです。
女子学生を合格させないでという要望書を出した医師会は、子育てを頑張ったおかげで、社会を見る目や、言ってみれば、弱者や生活者の視点を持つことができ、一段と幅が広い医者になることができるという、そんな発想を持てなかったのでしょう。まさか、今もそう思っていらっしゃるとは思いませんけれど・・・。
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コメント
素敵なご主人とめぐり合われて先生はお幸せですね。羨ましいです。そして、黒目パッチリのお孫さん可愛いですね。これまた羨ましいです。
投稿: 想 | 2012年11月13日 (火) 11時59分
先生のブログを拝見して勇気をいただきました。
私は4月から産休から復帰予定です。子育てしながら仕事できるか不安でその上ついこないだおっぱいにしこりがあるのを発見し今、細胞診の結果待ちです。
結果がよかったらいただいた命と思って4月からがんばって復帰しようと思います。そして第二子も前向きに考えようと思います。
投稿: らら | 2012年11月13日 (火) 18時19分
私も仕事を続けることは大事だと思います。以前会社であまりにも子供の病気がひどく、月に8日程しか出勤できないことが続きました。本当に辞めようか、と思いましたが、その時の上司が「君が辞めたら、子供の病気が治るのか?休んだら評価は下がるけど、クビには絶対させないから、母としてがんばりなさい。」と言われ、本当に嬉しくて今でも感謝しております。ご主人もお仕事大変だったんですね。私も今の旦那だからこそ家庭生活がなんとかうまくやっていけているので、旦那にも感謝です。色々ありますけどね・・・。
投稿: きったんママ | 2012年11月13日 (火) 23時06分
想さま
引き続きありがとうございます。ええ、この年になると、赤ちゃんが本当にかわいく思えます。どの子でもそうなのですが、孫となると、一段と。子の子たちが幸せな人生を送れますように。そのために頑張ろうと思います。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2012年11月15日 (木) 10時10分
ららさま
そう、頑張って下さいね。少しはセーブしなければならないことがあるかもしれませんが。子育て中はそれは当然!!と思って。めげないでくださいね。それから、子育ては、一人の子を育てるより、二人一緒に育てた方が楽ですよ。私は上と下が一才一か月しか離れていません。一緒に大きくなってくれて、子育て期間が最短で済みました。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2012年11月15日 (木) 10時12分
きったんママさま
そうなのですか。そんな上司がいらっしたのですか。それはすごい人ですね。私も悔しいこと、忘れられないことは一杯ありましたが、今は続けて本当によかったと思っています。私もそんな上司になりたいと思ってきました。いつもコメントありがとうございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2012年11月15日 (木) 10時14分