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中村隆子さん。

Rscn1767_1280x960 16日朝「血圧が計れません。PO2(動脈血中の酸素濃度)も計れません」という訪問看護師の連絡で飛んで行ったのは、中村隆子さんの自宅です。これまで往診に行っていました。とうとう終わりのときが来たかと、くらい気持ちで駆けつけました。ついている間、なんども呼吸が止まりました。長い無呼吸。これで終わりかと思えば、また息を吹き返しての連続でした。血圧は、触診で30から40の間。高熱も出ています。

 17日の血液の検査結果もひどいものでした。腎不全、肝不全、高カリウム、白血球数は白血病かと思うほどの値です。

 ところが・・・。昨日の往診では、すっかり状態が落ち着いていました。熱も下がり、呼吸もふつう。血圧もちゃんと計れます。PO2も90代。ほとんど出なかった尿もしっかり出ています。出始めた時には血尿でしたが、今はふつうの尿です。

 わあ、中村さん、よみがえった!!すごいね。強いね。がんばるね。うれしくて。私はこのまままた回復に向かってほしいと本気でそう思っていますし、それが不可能ではないと思えるほどです。

 実は、関東から、二人のお孫さんがかけつけてこられたのです。

 お孫さんに会えてうれしかったのだと誰もがそう言いました。中村さんには、一人のお子さんがいます。そのお嬢さんの二人のお嬢さんたち。お嬢さん自身は来ることができないのですが、お孫さんたちがベットサイドで励ましています。きっと聞こえているのでしょう。

 少し前、私の父が脳幹出血で意識がないまま寝たきりでいた時、娘が帰ってきて「おじいちゃん、○○よ」と耳元で話すと、父の目からぶわっと涙があふれたのです。「わあ、わかるんじゃね、おじいちゃん」と感動しました。きっと耳は聞こえているけれど、表現の方法が涙しかなかったのでしょう。

 中村さんは、元中国新聞の女性記者。多くの女性たちがその鋭くも暖かい文章に励まされました。私もその一人です。中国新聞を退社した後は「家族社」を設立。月刊家族の発行をはじめ、数々の出版やイベントをしてこられました。

 食道がんで声を失っても、中村さんの筆は力強いものでした。2003年出版された「お気楽フェミニズムは大忙し」は、駒尺喜美さんとの往復書簡です。私はこの本が大好きです。以前からの鋭さに加えて、女性たちへの優しさに満ちていると思いました。特に、自分の母親の描写がすごいのです。中村さんは、エイボン教育賞も受賞されています。

 中村さんの病床に、お孫さんや友人たちが集まって、夕飯のお好み焼きを食べながら談笑しているこの写真をブログに出すことは、みなさんからの要望です。何よりも自らも病床にあって、母親の危篤に駆けつけることができない、お嬢さんにも見てもらいたいとお孫さんたちが望まれました。(余談ですけど、二人のお孫さんも写真に写っている若い男性も、私が取り上げたのですよ!!あのときの赤ちゃんが!こんな成長した姿に接すると、やっぱり産婦人科医をしてよかったかな?とちょっとうれしくなります)

 暗かった私の気持ちも、一時的かもしれないけれど、この中村さんの頑張りに明るくなってきました。最後までキチンと付き合いたいと思います。

 今日は、布野の中学生に話しに行きます。帰りはひまちゃんちに行って、中村さんの往診に行って、それから22日の準備にクリニックに行くつもりでいます。


「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。

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コメント

記事にしてもらってありがとうございます。

母にはいろんな感情が混じり、ちと複雑な心境ですが、孫には自分の終末を見せることで、私との最期の練習をしてくれているのだと感じました。ありがたいなあ、やっぱりすごいなあ・・・です。

今更お礼も遅いですが、お世話になりました。そしてこれからの時間も母をよろしくお願いします。

投稿: 和子 | 2012年7月19日 (木) 19時02分

和子さま
和子さん、コメントありがとうございます。和子さのことを聞いて、本当に何ということかと、驚きました。つらいですねえ。
 和子さんのお産の時、中村さんが、さすがにあの中村さんがうろうろ、そわそわ、中村さんも人の親だなあと思ったのが、ついこの間のような気がします。和子さんが、産後大熱を出した時、やっぱり中村さんはすっかりうろたえてしまって、私は申し訳ないばかりで。
 あのときのお嬢さんたちに会えてうれしかったです。どうか、和子さんもお母様のことは心配なさらないで療養に専念して下さいませ。お母様は、しっかり診させていただきます。訪問看護の方々が素晴らしく、プロフェッショナルで、かつ親切で。中村さんも、心の中では和子さんのことも、それからお孫さんのことも心配だとは思いますが、いかんせん・・。中村さんのベットの回りには御嬢さんの絵が一杯飾ってありますよ。
 何かあればここのコメントに書いて下さいませ。アップしない方が良ければ、そうしますし。
 本当にコメントありがとうございました。どうぞ、どうぞ、お大事に・・・。
    河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2012年7月20日 (金) 01時54分

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