小学5年生の理科の授業「人の誕生」
13日日曜日の性教協広島サークルの例会での城さんの報告。「生まれてきてよかったな」~5年生「人の誕生」で自己肯定感を高める~どの子にも自分の誕生を肯定的にとらえてほしいという思いで取り組んだ5年生理科での授業実践です。写真や動画や資料をふんだんに使った授業は、とても楽しくて、感動的でした。何より城さんには、29年間実践し続けた裏付けがあります。
1. はじめに
「生んでくれてありがとう」の前に「生まれてきた自分の力」を感じてほしい
よく、自分自身が生まれてきたときのことを、保護者に聞き取りして来ることがなされています。しかし、今のような社会になったとき、必ずしも実の親に育ててもらっていない子もいるし、また実際にあったことなのだけれど、「自分はいらない子だったけど、何かの事情で生まないといけなくなったんだ」と親に言われて、それをみんなの前で発表した子もいたと。女子の場合、「女でもよかったよ」と親に「でも」と言われた場合もあったと。必ずしもみんな回りから待ち望まれて生まれてきたという、こちらの思いを保護者が返してくれるとは限らないということでした。だから、城さんは保護者からの聞き取りはしない。生まれてきた自分自身の生命力を感じ取れるようにというのを心掛けた授業を行ったということでした。
さらに、これまでは理科でメダカの誕生か人の誕生かどちらかを選択するようになっていました。(これも性教育のバッシングの一つの表れでもあります)でも、城さんはどちらかはなく、両方やってきたと。一昨年度からやっと両方学ぶように教科書が以前のように戻ったとのことです。
2.授業
①産卵数・産子数
まず、サンゴの産卵の動画を見せてもらいました。とてもきれいな沖縄の海で、何十万個もの卵がさんごの口から放出されます。一つのサンゴから20万個。それが一斉ですから、大量です。そうして産卵された沢山の卵は海をただよいながら精子と出会い、受精します。それは幻想的ともいえる美しい映像でした。
そのあとに出てきたのは、なんとタラコの写真。これなーんだと。にタラコの実物を見せたこともあるそうですが。一腹のタラコの中に何個の卵があるか。実際に少しずつ分けてみんなで数を数えるという実践をした先生もあるそうです。一つのタラコで20万個の卵があるとのことでした。
さらに、どんな魚がいるかな?と、次々と魚の写真が出てきます。マンボウ、ブリ、タラ、アイナメ、コイ、トゲウオ。これらの魚が一回に生む卵の数が多いのはどれだろう? と。それは、ここに並べた順です。
マンボウは一回に約3億個。ブリは180万個。タラは20万個。アイナメは1万個。コイは6~9千個。トゲウオは100個なのですね。どうしてこんなに数が違うのか。上から三つ、タラまでは海中に生んで産みっぱなし。海の中でかってに育つのですが、その多くは他の魚に食べられたりで、実際自分で産卵できる大人になるのは1か2匹だけなのだと。アイナメとコイは、何かに卵をくっつけて漂わないようにするのでこの数でいいのだと。さらにトゲウオは自分で巣を作って子守りをするので、100個でいいのだと。こんなこと知らない私にはとても新鮮で面白いのです。
次に鶏の卵について、魚の卵と違うのは何だろう。固いからがある。からが大事な中身を守ってくれている。でも、困ったことがあります。からが固いと精子と出会うことができません。たがら、からができる前にお母さんのおなかの中で精子とであい受精をします。卵を産むのは鶏は一度に1個ですが、蛇は10~20個。かえるは1000から2000個なのですね。
②子宮で育てる動物
馬は一回に一頭。犬や猫は3~5匹。お母さんのお腹の中で育つので安全だから生まれるのが少なくていいのです。そこで、受精に行きます。鶏や馬などの受精ととともに、人の受精についても。たくさんの動物たちとともにさらりと語られますので、ちっとも違和感はなく、素直にはいります。
③人の受精
人の受精は動画でまたとてもきれいな映像が使われます。一回に約3億の精子が子宮の中に入って約数100が卵管に入っていき、出てきた卵に出会います。精子みんなで精子の頭のところにある酵素で、卵の回りの膜をとかし、やっとあいた一か所の一番そばにいた精子が中に入ります。このような映像を制作しているところはたくさんあるのですが、「一番先に卵にたどり着いた精子が入ることができる」とか「勝ち残った精子が入れる」とかいう表現は間違いなのですね。あくまでも偶然なのですね。そうして一個の卵と一個の精子が出会ってできたのが君たち自身なのだと。子どもたちからは「ラッキーじゃった」「奇蹟じゃ」とかという言葉が出たそうです。
長くなりました。また明日に続きます。
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