日本の女性行政。ピル、子宮頸がん予防ワクチン、緊急避妊薬。
先日のインターネットテレビで話したことなのですが。パソコンでなく、携帯やアイパッドでブログを読んでくださっている方には、インターネットテレビは見られないとの声が寄せられまし。そこでしゃべった中で知っててほしい大切なことを少しここで書いておきたいと思います。
まず、低用量ピルですが。確実に飲んでいれば、まず避妊は大丈夫というのは女性にとって大きな福音です。妊娠するのではないかとびくびくするのは、つらいものがあります。というとすぐに「そんな人はセックスしなければいい」と言う声が聞こえますが。セックスは、子どもを作る時だけするものと考える人は、その方の結婚生活は味気ないものなのだろうな、なんて考えてしまいます。
この低用量ピルが日本で解禁されたのは、1999年9月。欧米に遅れること40年です。それまで日本では許可されていなかったので、過多月経などの治療用の、ホルモンの量のうんと多い中用量ピルを代わりに飲むしかありませんでした。
子宮頸がんの予防ワクチンが日本で認可されたのは、世界の中で100か国目です。よその国でどんどんうたれているのを、日本ではそれを横目で見ているだけでした。
さらに、緊急避妊薬。レイプされた、コンドームが破れたという時などに後から飲む避妊薬です。72時間以内に服用すると、妊娠を防ぐことができるというこれも女性にとっての大きな福音です。ただし、確実に100%ではなく90%近くと言われています。これは、昨年の6月に日本でも認可されました。認可されるまでは日本では代わりにホルモンの多い中用量ピルを4錠もドーンと飲むしかありませんでした。
これが認可されたのは、世界の中でラスト6か国だったのですよ。イラン、イラク、アフガン、ペルー、北朝鮮、そして日本です。ここまでになってやっと日本でも認可されました。でも、認可はされたけれど、とても高い値段がつけられました。これは自由診療ですので、医療機関によって異なりますが、大体一回15000円です。それも医療機関に行かないと手に入りません。
イギリスでは、10代の人工中絶を減らそうという国家プロジェクトで取り組みがなされました。各地に設置されている保健センターでは、低用量ピルも緊急避妊薬も無料で提供されます。ただなのですよ!!でも、たとえばセンターが休みの日などは、スーパーマーケットのドラッグストアなどで自分で買って飲むことができます。それには教育がセットされませんので、有料で、それも少し高く設定されているそうです。センターでは無料でも、必ず今後の避妊のことなどの教育がなされますので。では、高くというといくらなのでしょう。大体一回1500円くらいだと。
日本では、医療機関に行って、教育とセットでも15000円なのですね。
低用量ピル、子宮頸がんワクチン、緊急避妊薬。こうして並べてみると、日本の女性行政がいかなるものなのかが、見えてきます。
さらに。子宮頸がんの検診率。先進各国と比べてください。子宮頸がんは今やアジアの病気と言われています。検診率も低く、予防ワクチンもやっとうたれ始めたばかりです。このグラフを見ると、日本はとても先進国なんて言えません。
また、新たなHIVの感染者も減りません。先進国の中で、日本だけが減っていません。これは世界の不思議と言われています。これだけ豊かで、たとえば貧しくてコンドームが買えないとか、物がないということもなく、国民の識字率もほぼ100%近く、教育熱心な国です。なのにどうして感染を減らすことができないのか。
こんな状況がなぜなのか、と問われます。このような状況にさせたい勢力があるということです。性教育をしてはいけない、避妊やコンドームを教えてはいけない、子宮頸がんの予防ワクチンはうってはいけない、緊急避妊薬は認可してはいけない。認可するのなら、値段を思いっきり高く。すべて、これらは若者をそそのかすことになる、こんなものを認可、また教えると、若者が興味を持ってセックスをするようになるではないか。教えてもいいのはひたすら「ノーセックス」と。それらの勢力が力を持ち、お金をだし、ここまで政治を動かしてきたということなのですね。
私は、これを訴え続け、裁判までして闘ってきましたけれど、結局は力不足ということなのですね。皆様、ぜひ、政治をウォッチングしてくださいませ!!
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ぜひ、覗いてみてください。
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コメント
いつも記事を読ませて頂き、ありがとうございます。
インターネットテレビを今回はじっくり見ることが出来ました。前回のものも併せて見ました。
どうして、もっと女性に優しい世間に成らないのでしょう。 記事の中にある会に参加してみたいなーと思いながら新潟からではどうしようも有りません。お金がなーーい。 東北に先生の会が有れば参加したいです。
まずは健康に気を付けてください。釈迦に説法ですが
投稿: さくらんど | 2012年4月 7日 (土) 10時59分
さくらんどさま
遠いところからどうもありがとうございます。遠くても、近くても関係ないのがネットのありがたいところですね。お近くに行くときにはまたご連絡いたしますね。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2012年4月 8日 (日) 11時11分
ノーセックスを語る人は、性交すればすぐ妊娠すると思っているのでしょうか。不妊に悩む人の多くは、正しい知識を持っていればもっと早く手を打ったのに、と悔やむそうですね。
子孫繁栄のために、若いうちに必要な知識を教えるという考えはないのでしょうか。
日本の少子化の原因は、間違いなくそこにもあると思います。
いつも思うことですが、私たちは自分の体のしくみを知らなさすぎます。
私は中学生のころに親から「さらば、悲しみの性」を渡されていたので、人よりも早く自分の体の維持について興味がありましたが、それでも妊娠後、妊婦向けの雑誌で初めて知ることも多くありました。
知りたくても学ぶ場がない、氾濫する情報のうち、どれが正しいのかわからない。そんな日本で健康に出産・育児をするには医療機関に頼るしかない。なにかがおかしいと思います。
投稿: 文月 | 2012年4月 8日 (日) 23時37分
すみません!
文章の途中で、送信してしまいました。(汗)
まさに、性=生。
数多くの情報社会の中で、正しい情報と誤った情報を区別する力が必要な時代ですね。
投稿: r.s | 2012年4月 9日 (月) 21時46分
文月さま
そうなですね。正面から体や性の情報を伝えて、若者たちに賢くなってほしいと思っています。だも、この国は全くダメなのですね。全く政治家の責任です。それと文科省。こんな状況に置かれている子どもたちがかわいそうです。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2012年4月15日 (日) 08時18分
rsさま
そうなのですね。情報が渦巻いていて、若者たちはそれにどっぷりつかっています。情報を正しく選択する力を得て、かしこく豊な大人になってほしいと思っています。でも、まだまだです。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2012年4月15日 (日) 08時20分