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「若年で出産を望む人への対応」

 先日の「東京での避妊教育ネットワークで行ったミニレクチャーのスライドです。すでにこのブログでもデータの一部はお話ししています。今回、単なるデータだけでなく、具体的な対応をどうすべきかということをお話ししました。

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 スライド④の後に、今私のクリニックにかかっている中学2年生、14才の少女のことのスライドになります。これはここには公表できませんが。ただ、私が何度も言っているように、
「性というのは妊娠する行為」ということをしっかり伝えないまま、「人工中絶は殺人」ということのみで脅すと、育てる力も無いままに生むという選択をする少女が増えています。自分が妊娠すると思っていないのですから。でも、それで妊娠を自覚すると、「赤ちゃんを殺すのはいや!!」となってしまいます。

「どこで育てるの?」「家賃はいくら?」「生活費は? 電気、ガス、水道、食費いくらくらいだと思う? 」「誰がどこで働いていくらお金がもらえるんだろうか? 」という経済的なことも含めて、生むということは、育てるということ。育てるというのは、生活なんだと。その生活する力があなたにはあるか? と、これは本当に具体的に問わなければなりません。

 そのようなことをきっちりやって、それでも生むという主張をする場合。様々なクリアすべきハードルがあります。この少女は、まず親に言うということから始めなければなりませんでした。言えないままに生むという選択をしたのですから。


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 今、彼女に残っているハードルは、学校のみです。これまで、中学生の妊娠、出産は数々当たってきましたが、本当にうまく卒業し、場合によっては進路も保障して順調に子育てをしているのは、「学校には内緒で」生んだ場合なのですね。学校もそのことを承知して、ちゃんと少女を支えながら学業も出産も子育てもというのは、まず無理なのです。今の日本では。学校がそのことを知ると、まず「学校に来なくてよろしいとなるのが普通なのです。

 今、少女はこれがクリアできないままにいます。さあ、これをどうするかが、一番の課題なのです。これらに丁寧に向き合うことが、私たち産婦人科医にも問われていると思うのですが・・・。

( ブログをアップしてみると、文章とスライドがばらばらになってしまっています。スライドの横の文章は、スライド④の後に入ります。そのように書いたつもりだったのですが・・・。今、修正するのが難しくて。スライドを全部幅いっぱいにすればよかったのですね。)


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広島ブログ

 

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