中学生の妊娠⑩
私が大学病院から土谷病院に移って、十代の少女、主に高校生の受診が多いことに大変驚きました。その時の来院少女たちとのいろいろを書いたのが、「さらば悲しみの性」です。写真家の「英伸三さんに赤ちゃんが生まれるところを撮影して頂き、その写真を巻頭に入れた本は、大変な評判を呼びました。
様々なマスコミにも取り上げられ、本も次々と増刷されました。今、その本は絶版とし、代わりにリライトして集英社から文庫として出版されています。その頃には「援助交際」という言葉も、「エイズ」もありませんでした。それもリライトした理由でもあります。
その時代、土谷病院時代と今、実態は変わらずというよりも、そのまま年齢だけが低いほうにスライドしているといっていいでしょうか。その土谷病院を退職し、私のクリニックを開業して以来10年のデータをまとめ、発表して来ました。このシリーズ「中学生の妊娠」の②に掲載した、10代の少女たちの性と妊娠の相手の統計は、そのデータの一部です。その元になった、データを示します。初診時10代の少女たちのそれまでの職業別性交の有無と、相手の男性の職業別内訳です。
私は、若者の性というと女の子のことばかりが取り上げられるのが不満です。もっとも、女性が妊娠、出産を引き受けるということがあるからかも知れませんが。「相手の男性をちゃんとみなければ」というのが私の持論なので、相手についてもわかる範囲で調べています。
私が開業して以来10年のデータですので、もうこれは今から10年以上前までのデータで、古くなっています。でも、新たなデータを出すことはもう出来ません。大変な作業でした。一人ひとりのカルテを引っ張り出し、データを記載し、それをパソコンに打ち込むという、一年がかりの気の遠くなる作業です。もう少し私が若かったから出来たことです。
今、新たに開業している方のほぼすべては、「電子カルテ」なので、統計を取るのも、きわめて簡単でしょうね。でも、私はいまさら電子カルテにするのも・・・と、まだ紙のカルテですので・・・。
これらのデータを見ていただいただけでも、義務教育の段階で、しっかり教えることがどれだけ必要であるか、わかって頂けるかと思います。(これらの詳しいデータは、私の著書の中に記載しています) 社会には、性に関して、面白そうな、それも性感染症や妊娠や避妊などをすっ飛ばした情報が満開になります。それらに触れることで、性意識も掲載されるのですね。
さて、このシリーズも、まだ中絶や出会い系サイト、風俗など語らなければならないことが残っています。これまでもこれらを書くと、風当たりがとても強いです。でも、私の意見として聞いていただければと思うので、ここでも書いておきたいと思います。もう少しお付き合い下さいね。
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ぜひ、覗いてみてください。
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コメント
寒冷期の講演は移動も含めて本当にご苦労さまです。
でも、美代子先生のお話を聴けた生徒さんは 本当に一生の宝ものになります。
一人でも多くの若者に伝えて頂きたいと願いますが 限定や規制がある中では きついことですよね。
だからこそ。美代子先生にしか伝えられないことだと感じます。
先生のお体を心配しつつも、矛盾してますが
沢山の中学生に伝えて下さいと願わずには居られません。
原発を含めて 間違った情報だらけの現在、あきらめず正しい方向をめざしたいと
牛歩のごとく歩みます。
投稿: yuumin | 2012年1月20日 (金) 16時04分
今回は御講演ありがとうございました。全く知らなかったことをたくさん学ばせていただき、知らないというのは恐ろしいことなんだなあ、と感じました。今回のことを忘れずに生きていきたいと思います。
投稿: | 2012年1月20日 (金) 23時44分
Yuuminさま
ありがとうございます。中学生たちの真っ直ぐで真剣な目に支えられています。まだもう少し頑張れそうです。本当にいつもありがとうございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2012年1月29日 (日) 20時37分
宝塚の生徒さま
私のお話を聞いて下さってありがとうございます。それに、コメントもありがとうございます。とても元気をつけてもらいました。高校生になっても頑張ってくださいね。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2012年1月29日 (日) 20時42分