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中学生の妊娠④

 中学生に避妊を教えよといっても、具体的にはどういうことなのか、私が日頃中学生に話していることを書きますね。

「この中のほとんど全ての人が、いつかはきっと避妊が切実になる時がくるからね。時期はみんな違うでしょう。子どもを何人か産んだ後かもしれない、前かもしれない、間をあけたい時かもしれません。

 それから、今は未だ分からないけど、この中には一生性交をしない人だっているかもしれません。それはそれでいいのですよ。みんながしなければならないものでは決してないからね。

 それから、これも今はまだ分からないけれど、この中にも、将来子どもができない体の人だっているかもしれません。

 それから、中学生にもなると、自分で気付いているはずだけれども、この中にも、人を好きになるときに、異性ではなく同性を好きになる人だっているかもしれません。それも個人の選択ですよ。人が人を好きになるときに、女は男を、男は女をしか好きになってはならないものでは決してないからね。ただ、同性同士だと妊娠を望む、赤ちゃんをつくるということでは色々ハンディがあることは確かだね。

 そういう人がいるかもしれないけど、それでもこの中のほとんど全ての人が、いつかはきっと避妊が切実になる時がくるから。そのときのために、今避妊の話をしておきますね。

 ただ、今、中学生に避妊は具体的に教えてはいけないことになっています。本当はチャンと知っててほしいのだけれど、でも、それが出来ないから。だからデータを挙げますね。」

 こう話すと、中学生たちは、食い入るように私を見つめます。

 そして、私が診た10代の少女たちの避妊法と、妊娠率を挙げます。

「私が診た十代の少女たちが1000人になった時のデータです。1000人のうち、709人に性交の経験がありました。その709人と相手の男性との間の避妊法、そしてそのうちの何人が妊娠していたかという妊娠率を調べました。

 女性は10歳から19歳まで。10歳、11歳の小学生は、犯罪の被害者です。それもデータの必要上、入れています。それから、職業で言うと、女性は高校生が一番多かったです。十代の少女たちの性の相手の男性は半数を超えて20歳以上の大人です。職業で言うと75%と、圧倒的に社会人でした。

 それから、たとえ生理痛で来ても、過去一度でも性交の経験のある人は全部このデータの中にいれています。みんなが妊娠が心配と言ってくるわけではありませんからね。だから、妊娠率はちょっと低く出ています。絶対数ではなく、比較を聞いてくださいね。」


 基本は、膣外射精は絶対にだめ。コンドームを使ったり使わなかったりではだめ。避妊は毎回欠かさず、それも性感染症の予防のためにも、コンドームプラスもう一つと。避妊を教えることは、避妊の困難さを教えることでもあります。また、確実に避妊するために低用量ピルへの偏見も取り除いておきたいですね。この具体的な数値については、明日話しますね。

 こういうことを伝えようと思えば、性交という言葉が不可欠なのです。性交も、ましてやセックスも、エッチもそんな言葉は一切使ってはならないと規制されれば、私の講演の意味がなくなってしまいます。昨日の手紙をまた読み返してみて、まるで、私に保健の授業をせよということ自体、失礼なことだと思いました。それなら、教師が授業をすればいいだけのことなのです。

2012_01110001 私の男性の患者様で、折り紙をされる方がいます。毎年、創作のえとを届けて下さいます。今年のえとを持ってきて下さいました。一枚の紙からこんなのが出来るなんて、素晴らしい!! 老人介護施設のケアマネをされているのですが、こんな趣味をもたれると、職場でも皆さんに愛されますね。クリニックに飾っています。来られた方は、ぜひ見てくださいね。



「体の相談室」と「著書」の販売があります。
ぜひ、覗いてみてください。

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コメント

このシリーズを読んで旦那に今まで付き合った女性との性交で避妊をしていたか話しました。
答えはNo
深く考えていなかったと

男性ってこんなものなんですね。

私も避妊をしない方が愛されていると感じていました。そのため、避妊せずクラミジアになった時もクリニックの先生に「彼氏はそんなものにはなっていない!」とくってかかったし、(彼にも別の病院で検査してもらいました)、
そのほか毎度避妊をする彼には愛されていないと感じていました。

女性もこういう人は多いと思います。

この考え方にも男女の差があるのですね。
「深く考えていない」
「避妊しないことが愛情」

だから望まない妊娠をしたときに男性は中絶を軽々しく言い、女性は涙を流しながら産みたいというのですね。

でも、これから先の愛と責任のある性交をしていくため
には何歳になっても河野先生の講演を聞く、もしくは避妊の大切さを理解することは不可欠だと感じました。

私も今までが間違った感覚であったことを反省すると同時に妊娠しなかったのが、ただ「ラッキー」なだけだと実感です。

先日の先生のもとに届いた講演依頼のお手紙の内容は、こんな状態でも子供達にわかりやすい保健の講演をしてほしい、自分たちにはできないから…みたいな他人任せのお手紙だと思いました。
学校の先生が説明できない、ということは生徒の質問にも真っ向から向き合えていない証拠だと感じました。
こんな状態でも講演しなきゃいけない先生の御辛労お察しします。講演を保護者も聞いてもらえれば、遠まわしのまどろっこしい表現に保護者が学校に苦情を出して、学校側が反省するのではないでしょうか。

投稿: ケいちゃん | 2012年1月12日 (木) 16時46分

一連のためになるお話をありがとうございます。
特に避妊と性感染症予防は別個の視点で捉えることが重要だと考えさせられました。
一点だけ疑問に思うことがありましたのでコメントさせていただきます。

性的指向は個人の「選択」ではないと考えるのが現在の科学的なコンセンサスだと思います。
このことはご理解なさった上で、あえて行動の自由について書かれているのだと推察いたしますが、結果的にこのような言説が性的マイノリティの子供たちに不要な罪悪感を抱かせたり、同性愛者が不当な扱いを受けるのは自己責任であるとか、意志が強ければ変わることができる(変われないのは意志が弱いからだ)などといった偏見に結び付いたりもします。
そのため、性的指向は個人の「選択」ではないということが、あえて強調されるのだと思います。

同性愛それ自体が罪悪ではないとするならば、本来それが「選択」であったかどうかを問うこと自体がナンセンスです。
また石原慎太郎都知事が「同性愛の人間っていうのはかわいそう」などと放言してはばからないように、いくら性的指向は個人の「選択」ではないと主張したところで差別をしたい人たちには何の効果もありません。
それでも子供たちには、異性愛も同性愛も変わりなく、ただ自然な発育なのだと伝えていきたい。
たとえ今がとても辛いものであったとしても、生きてさえいればいくらでも幸せになれるチャンスはあるのだと安心させてあげたい。
そんなふうに思います。

投稿: てつしん | 2012年1月16日 (月) 23時08分

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