子宮頸がん予防フォーラム・続きです。
一昨日の子宮頸がん予防のためのフォーラムでも、ワクチンの接種率とがん検診の受診率を上げるための工夫も指摘されました。でも、本当を言うと、「教育」をもう少し論議してほしかったと思います。
ワクチンの接種の公的助成が、中学生や高校生なのですから、その本人たちに、なぜワクチンを接種するのかだけでなく、子宮頸がんとは何なのか、何が原因で起こるものなのかを、そもそも今の学校教育でチャンと教えるべきだと思うのです。
私は、それが全く教えられないままに接種に来た彼女たちに向き合い、その原因から、ワクチンの意味から、今後のことなどを一人ひとりに話します。
今、クロスプロテクションという効果、すなわち子宮頸がんを作るウィルス、HPVの中でも一番多い16型と18型に対してのワクチンなのですが、それでも二価のワクチンサーバリックスでは、他の型にも効果があるということが示されました。その結果、今では約95%のウイルスをブロックすることかが認められると。それでも、まだ約5%、よく分からない部分があるので、将来、大人になったときには、年一回のがん検診をうけましょうね、と。これを伝えることがとても大切だと思います。
これは、すでにお話ししたことのあるグラフですが、世界の先進国の中で,子宮頸がん検診の受診率が日本ではとても低くて、情けない限りです。これを見ると、日本は先進国とはいえないなあと思います。
そもそも、HIV、エイズウィルスの感染も、日本は増え続けていて、これは世界の不思議とされています。これだけ教育が行き届いて識字率が高くて(字が読めない人はほとんどいない)、豊かな国(コンドームも買えないほど物がなかっり貧しかったりという国の状況ではないという意味です)で、なぜ感染する人が増えるのかという不思議です。
これは、もう教育にかかっているとしかいえないでしょう。HIVについて、その原因、予防法をちゃんと伝え、みずから感染しないようにという教育がしっかり行われていないからこそだと、これはもう分かりきっていることなのですね。
それと同じことが、子宮頸がんについてもいえるでしょう。ワクチン接種という格好の機会があるのですから、みんなにその意義を伝えたなら、子どもたち自身が接種しなければという意識になると思うのです。それが接種率の向上に繋がるものだと。
でも、それを伝えるためには、「性交」をきちんと伝えなければなりません。性交により、ウィルスに感染するのであると。それを学校現場では伝えられない状況にあるときには、頚がんについてもちゃんと教えるということは出来ないということなのでしょうか。
先日来掲載して来た、男の子への性教育、その講演録には、男の子だけでなく、男女双方に知っていてほしいこと、妊娠、性感染症、避妊、人工中絶などについての記録も沢山あります。これも引き続き掲載した方がいいかな?と思っています。飛び飛びになるかも知れませんが、せっかくのきっかけなのだから、と思っています。
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コメント
子宮頸がんについて、先生のおっしゃるとおり中高生への教育が必要です。学校教育の中でやっていくのが良いのです。学校で行うということを別の方向から見ると・・・、学校がパンクします。あれもこれも・・・学校です。情報教育、税に関すること、携帯に関すること、いじめ問題、薬物等の防止教育、防災に関することなどなど、何でもかんでも「学校」でになっています。食育なんて法律までできてしまいました。それほど、学校教育の中でやっていくのが効果があるということなのでしょうが・・・。
もっと、おとなや親が責任をもって次世代のこども達を育てなくてはいけないと思います。学校を当てにせず、自分のこどもは自分が責任をもって大人にしていきたいです。
投稿: momoko | 2011年12月20日 (火) 10時29分
momokoさま
今、親の子育て能力がとても減退している中で、学校教育の大切さがまた見直されなければと思います。momokoさまがおっしゃっているそのようなすべての総合力、生きる力をつけるのが教育であると思います。受験ばかりに重きを置かれているエリート校の生徒たちが大学生や社会人になって一体どんな人間関係を作っているか、ぞっとするものを見ています。健康教育の中で、性に関する部分がどんどん削除されている現状にやっぱり危機感を持たざるを得ません。コメントありがとうございます。こうのみよこ
投稿: こうのみよこ | 2011年12月25日 (日) 11時17分