『だから、君たちは中学生にもなったのだから、家の中できちんと話し合いをしなさい。僕の部屋をあけるときには、ちゃんとノックをしてね。ノックをして、返事があって初めてあけてねって。それを言いなさいと伝えます。
そのかわり、君たちは親の寝室には絶対に入らないこと。もし、寝室に入る用事あるのなら、誰かがそこにいるときに、ちゃんとノックをして、返事があって開けること。誰もいないときに親の寝室にそっと入ってやれコンドームを見つけただの、親のエッチ本を見つけただのって、結構あるのですよ。
それは子供の側から親のプライバシーを侵害しているということなのです。侵害しておきながら、お父さんなんて不潔って、もう一緒の家の中で同じ空気を吸うのも嫌だみたいなことを悩んだりするのですよ。女の子が見つけたときなどは。
やっぱり私は家族同士といえどもプライバシーはあるということを、ちゃんと取り込んだ上での家庭運営というものがなされなければならないと思っているのです。
同時に、もうちょっと言いますけれども、先生、娘がこんな日記を書いていたんですとか、こんな手紙が着てたんです、今ではさしずめメールですよ。こんなメールがきてたんですって言って、相談に来られる方があります。日記を読むなんて、絶対にしてはならないことなのですけど。
お母さんにしてみれば、日記を読まないと、あの子のことが分からない、嘘ばっかりついて何をしているかわからないじゃないか、ないじゃないですか、とおっしゃるのですね。
そういう方に私は申し上げるのです。「お母さんね、思春期、中学生にもなったらね、子どもの全てを知ろうと思うのが無理なのよ、さびしいけどね。残念だけどね。大切なのは、子どもの全てを知ろうとすることじゃなくて、そうじゃなくて、私は子どもの全てを知ってるわけじゃなないということを認識すること、子どもは親に内緒のものをもっているって。それを知った上で、子どもとの関係を作らないといけないんじやないかね。」と私は言うのです。
私も娘が小学校四年生のときに、私に作文を見せなくなりました。先生には出すのに、私には見せてくれないって。あ、始まったなと思いました。そのときから私は、娘に「見せたくないものは見せなくていい」と言いました。
私にも覚えがある。おばあちゃんに日記を読まれてすごく嫌だったことがあるから、だから、見せなくていいんだって。でも、学校からの親への手紙は必ずあなたが責任をもって見せてねって。これを守ってくれたら、私はあなたがいないときにランドセルを探して、こっそり見るっていうことは絶対しない。絶対しないから、それは信じていいよ。
でもね、これだけは覚えておいて。これからあなたが生きていくのに、色々しんどいことがあるよ、お友達のこととか、進路のこととか、どうしたらいいかわからなくなって、自殺したくなることだってあるかもしれない。
そのときにはね、ここに相談相手がいるよ。私はあなたの親なんだから、あんたがしんどいときにはね、何があったって助けてあげたいと思うしね、あなたがどうしたらいいか分からないときには、一緒にどうしたらいいか考えあげることができると思う。ここに相談相手がいるっていうことを、これだけは覚えておいてね」って。
この「何かあったら助けるよ」というですね、このメッセージを繰り返し繰り返し、送ってきたと思うのです。
もう子育てって本当に大変で、色んなことがありますよ。いろんなことがあって、今はもう二人の子どもは大人になっていますけれども、これを伝えててよかったなぁと、私は今思っているのです。
私は、私の診察室で、「お母さんだけには言わないで。親にだけは知られたくない」と泣く子のことが本当につらいと思って来ました。一番身近にいる大人である親が、どうして相談相手足りえてないんだろうか、って。言いたくないためにさらに悲劇を膨らませてしまうのですね。
やっぱりプライバシーは守るっていうことと両立して、日ごろから、何かあったら助けるよっていうメッセージを伝えておいてほしいと思うのです。』
今、横浜です。ホテルの窓からのみなとみらいの景色です。昨夜遅くに到着した時から、一時半まで人と会って話をしていました。それなのに、朝は早くに目が覚めました。いつもそう。ホテルに泊まっていると、なぜか早ーくに目が覚めるのです。今日は、10時から午後3時までぴっちり研修です。
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